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DVD『スカーフ論争〜隠れたレイシズム』発刊 | ||||||
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======================================= ●作品紹介 第二次大戦後、フランスは大量の移民労働者を北アフリカから導入したが、やがて「移民第二世代」が登場し、学校にイスラムのスカーフを着用して登校する生徒が現れると、しだいに問題視されるようになった。学校でのスカーフの着用がフランスで大きな論争を呼ぶのはなぜか。果たして政教分離や男女平等などの理念に反するからなのか。あるいは、ムスリム系マイノリティに対する差別事件として捉えるべきなのか。スカーフをまとう当事者たちの声を拾い上げたジェローム・オスト監督の渾身のドキュメンタリー。 ●作品解説 「スカーフ論争」とは、フランスの公立学校においてイスラム教のヒジャーブの着用を認めるか否かをめぐる論争である。第二次大戦後のフランスは、戦後復興を支える安価な労働力として大量の移民労働者を北アフリカから導入したが、1980 年代以降、「移民第二世代」が登場し、学校にスカーフを着用して登校する生徒が現れると、しだいに問題視されるようになった。「公立学校でのイスラム・スカーフの着用は、政教分離の原則や男女平等の理念に反する」というのが、その建前である。 最初の論争が起きたのは1989 年だが、その後15 年あまりの論争を経て、2004 年には「宗教シンボル禁止法」なる法律が制定された。公立学校において「宗教への帰属をこれ見よがしに示す標章や服装の着用を禁止する」という内容である。たしかに法律はイスラム教のヒジャーブだけではなく、ユダヤ教の帽子や大きすぎる十字架など、宗教シンボル一般を禁じている。しかし、その主要なターゲットがスカーフをまとうムスリム系の生徒であることは明白なため、成立した法律は一般に「スカーフ禁止法」と呼ばれている。 学校でのスカーフの着用という一見他愛もない事柄が、フランスで大きな論争を呼ぶのはなぜか。果たしてスカーフ禁止論者が主張するように、「政教分離」や「男女平等」などのフランス共和国の理念に抵触するからなのだろうか。むしろ、階層格差の拡大や雇用不安を背景とするマイノリティへの差別事件として理解すべきではないだろうか。本作品は、この15 年の論争をふりかえることにより、問題の所在を浮かび上がらせていく。 本作品の最大の功績は、過熱するスカーフ論争でもほとんど取り上げられてこなかった当事者とその支援者の声を拾い上げた点にある。監督のジェローム・オストは、スカーフ禁止法に反対して立ち上がった人びとの姿を追いかけ、マスコミで悪魔化されるムスリムの少女像と、彼女たちの素顔との間にあるギャップを明らかにすることによって、論争の背後に潜む人種差別や性差別の構造を浮き彫りにしていく。 撮影中、オスト監督は脅迫や数々の嫌がらせを受け、作品の完成後も、ロビー団体の抗議活動によって上映が何度も中止に追い込まれた。しかも中傷や脅迫は保守層や移民排斥を訴える極右だけでなく、通常はリベラル派を自認する左派からも寄せられた。スカーフを被る少女たちの権利を擁護することは、21 世紀のフランスにおいて四面楚歌に陥ることを意味する。本作はそうしたリスクを引き受け、強い覚悟をもって作られた貴重な作品である。 しかし、そうした圧力にもかかわらず、本作は2004 年の初公開以降、フランス全国の市民団体などのイニシアティブによって、今日まで400 回以上、上映されてきた。上映会の後にはたいてい討論の場が設けられ、作品に出演したスカーフの少女たちやその支援者と聴衆の間で議論が行われた。観客の反応には「当事者の声をはじめて聞いて、スカーフを着用する少女たちを見る目が変わった」「スカーフ禁止法に対する考え方が変わった」という好意的なものが多かったという。 2004年にスカーフ禁止法が制定された後も、スカーフ論争は事あるごとに蒸し返されてきた。2010 年にはブルカ禁止法が制定され、2013 年現在では公共部門で就労する者にスカーフを禁止する法の是非が議論されるなど、沈静化の兆しは見えていない。9・11 以降のヨーロッパにおいて、反イスラム感情の拡大に歯止めをかけることは容易ではない。しかし、その可能性が少しでもあるとすれば、それは本作品が試みているように、当事者の声を地道にすくいとって人びとに届ける作業にかかっているだろう。 フランス語/ 75 分/ (c)HProduction 2004 Created by staff01. Last modified on 2013-05-12 19:29:58 Copyright: Default |