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LNJ Logo 果てしない悪平等へ誘導する「駆け込み退職」バッシング
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News Item 0126kiji
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今朝(1/26)の東京新聞の「発言」欄にもありましたが、「駆け込み退職」へのバッシングが目につきます。以下は、都内の区役所に勤める私の友人のメールです。少しでも有利な条件を選ぶのは、生活者、労働者として当然のこと。生保費削減の攻撃も然り。果てしない悪平等へと、まっしぐらに世論が誘導されています。背後で悪だくみをする者たちの尻馬に乗るメディアの劣化に、情けなくなります。(Y)


*写真=1/26の「東京新聞」

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 埼玉県の教員が、年度末を待たずに1月末で駆け込み退職しているとテレビなどで話題になっています。公務員の退職手当削減は、全国で行われており、この問題は埼玉だけはありません。私の働く、東京・特別区も退職手当削減が提案されており、削減反対闘争の最中です。

 埼玉の話では、まじめに3月末まで勤務したほうが、退職金で150万円、2・3月分給与を加えても、70万円以上損するそうです。制度に問題があるにも関わらす、退職した教職員が批判されています。

 退職手当削減を強行した上田・埼玉県知事も、辞めた教員を批判してます。しかし、批判されるべきは、現場に混乱をもたらす制度を短期間で決めた上田知事自身でしょう。また、背後にいるのは、公務員人件費削減を推進する政府であり、総務省です。

 話は昨年3月に戻ります。人事院は政府の要請を受けて、退職後の給付についての民間と公務員の差を報告しました。公務員の方が402万円多いとの報告でした。これに基づき、野田内閣は退職手当削減法案を閣議決定。ねじれ国会のもとでは審議されることはありませんでしたが、衆議院解散が決まり、解散の日11月16日たった1日の審議で法案が成立。法案も駆け込み成立でした。

 国家公務員の退職手当は、今年1月1日から3年かけて、平均402万円削減、支給額で2700万円から2300万円への削減が決まりました。その際、地方自治体にも削減を促しました。

 おおくの地方自治体では、12月議会で今年度からの退職手当削減が決められました。労働組合がそれなりに抵抗しているところは、実施を4月以降に遅らせているものの、金額は国並みに削減されています。

   退職手当は、賃金の後払い的な性格があり、大幅な削減はとても認められません。公務員は退職手当の比重が大きく、そのため、在職中は法令を守り、上司のいうことを聞きおとなしく働いているのです。

 さて、もう一度、話を昨年3月に戻します。人事院の報告は、退職金と企業年金の合計について報告しました。退職時から死亡するまでの年金受給額と退職金との合計を、公務員と民間とで比べると、公務員のほうが402万円多いというのです。

 内訳を見ると、退職金は公務員の方が多いのですが、年金は民間が多いのです。その差を埋めるには、別の方法もあるはずですが、政府は退職手当を削減する方法を選びました。  

*民間の企業年金及び退職金の調査結果(人事院・平成24年3月)

民間 2547.7万円(退職一時金 1041.5万円
           企業年金     1506.3万円)

公務 2950.3万円(退職手当 2707.1万円
          共済年金職域部分 243.3万円)

 この数字が、正しいのか検証されていません。しかし、報告を信じるならば、公務員の年金が恵まれているというのは、ウソになります。また、東京特別区は、この報告の退職金よりも200万円以上少ないです。在職年数が短い現業職員はさらに少なく、千数百万円程度であり、今提案されている削減案では、勤続25年程度でも1千万円を下回ります。

 退職金削減の次には、地方公務員の賃金削減が控えています。また、政府は同時に生活保護費の削減や、国民年金切り下げなどを行おうとしています。退職金削減は、労働者全体の賃金や社会保障費削減の一環であることを押えてください。

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Created by staff01. Last modified on 2013-01-27 08:08:16 Copyright: Default

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