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投稿者:勢子船
随想
 映画「チャイナ・シンドローム」とフクシマ原発

チャイナ・シンドロームという題名の映画があった。三〇年も前のこと、原子炉にメルトダウンが起きたら高熱で原子炉格納容器を溶かし建屋の床を破った核燃料は重力で地盤、岩盤も突き抜けて地球の裏側の中国まで達するのだという冗談とそんな事故をめぐる出来事の症候群ということをテーマとした題名の映画だと言われていた。テレビの映画はあまり見たことはないけど、偶然NHKのテレビ番組に出たのを見て急いで観ることにした。

あらすじは、テレビで売れっ子の女性キャスターが、原子力発電所の見学番組の取材を担当することになって、発電所に入ったところ突然運転トラブルが発生、深刻な事故へと進んでいく怖れから、操作室内でのおおさわぎを目撃、同行のフリーのカメラマンが隠し撮りでこれを撮影、発電所側ではそれが放送されたら大変というので、猛烈な隠ぺい工作を開始する。

一方設備上の欠陥を知った技術責任者が建設工事の手抜きを発見、責任を隠す動きと重なって次々と事件が広がっていく、そして最後には運転停止を強行しようとした技術責任者が狂乱者として、警察の特殊警備隊に射殺されてしまうというスリルとサスペンス一杯の映画だった。

三〇年も前にアメリカでこんな映画が作られていたとは、題名の意味だけは聞いていたけれど、どんな筋書きで何をテーマにしたものであったかは知らずにいた。この映画が出来て半月もしないうちにアメリカのスリーマイル島の原発事故があり、大変な話題を呼んだものだったといわれている。

その数年後、あのチェルノブイリの原子炉爆発が起きて原発事故の恐ろしさが世界中に知られることになった。そして原発の危険性というものについて、その科学技術的な誤り、コントロール不能の核物質、放射能の物理的作用としての重大な災害が問題と考えられてきた。

しかし映画チャイナ・シンドロームが描いていたのは、原発事故の危険さということ以前の原子力という危険なものを取り扱う原発企業の在り方、事故が起きた際の計り知れない損害への社会的責任に対して企業がどのような行動をとるかという角度からの問題だった。

原発で起きた事故がどんな意味を持っているのか、いまだ完全には人間の手に負えない核反応と放射線を扱う原子力技術が、投資の対象となりビジネスとして扱われることになった場合の本質的な危険性というものについて考えさせられる映画だった。

企業秘密を洩らし投資の邪魔をしたり収益を損なうことは、不法行為として裁判となり損害賠償の対象として裁かれるのだというビジネスルールによって企業活動が進められているのが現代社会だ。このルールの下、映画では恐るべき事故が起きる兆候を見たことを絶対的な企業秘密として守り通すことをめぐって事件が展開する。

原発の稼働停止が一日何十万ドルの損失を招く、数百億ドルの投資が危険にさらされる、そして十億ドルの賠償請求の裁判が起こされることになるという脅迫によって、テレビ会社を含めこの秘密にかかわる関係者の中で様々な行動とスリルを生み出していくというのがこの映画の内容を作り上げている。

こうした内容から見れば、今日の原子力問題の本質を衝いたものとして見逃してはならない素晴らしい映画だったといえる。福島原発によって引き起こされた災害が原子力という危険な科学技術の誤った利用が問題というよりも、それへの投資、ビジネスとした企業活動そのものこそ、追及し解明すべき問題ではないかと思う。

原子力への投資、そこからの収益を求めようというビジネスそのものが、反社会的企業活動であり許されるものではない。原発、原子力ビジネスは、危険の隠ぺいによって成り立っているのだということを映画チャイ・ナシンドロームは、見事に描き出している。フクシマ原発事故を通じて改めてこの映画が提起している問題がいかに重要なものであるかを考えることになった。

映画チャイナ・シンドロームを今こそ多くの人たちに観てもらう必要があると思う。原子力産業、原発企業の歴史と成り立ちというものを考え、それによって引き起こされたいくつもの事故と災害、それの意味するところを深く考えてみなければならない。一〇万年以上にわたって厳重な管理をしなければならない危険物を作り出してしまったのだということを人類の歴史という観点からその責任を明らかにすることが重要だ。
二〇一二・一〇
高田勢介

原発川柳             勢子船
原発の儲け返して懺悔せよ
口ぬぐい尻ぬぐわせるのか原発屋
国外へ逃げるか原発投資家よ
核投資つぎの狙いはどこの国
株価格気になりベントをためらった
投資家が安全神話で国壊し
原発の神話で国策推進す
その昔神話で戦争した日本
投資家が安全神話で国壊し
原発の神話とお告げで国壊し
反人類原発ビジネスグローバル
メルトして神国日本の底が抜け
原発の神話で国策推進す
原発の神主お告げのウソがばれ
原発の神の神域人住めず
人影の絶えたる里の放射線
放射線乱れ飛ぶなか里帰り

投資、収益、企業という現代社会の経済活動の在り方について考えるべき時代に入っている。

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