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第83回メーデー開会あいさつ

2012年5月1日 
全労連議長 大黒 作治 

 第83回メーデー中央集会の開会にあたって、実行委員会を代表してご挨拶申し上げます。

 昨年の3・11東日本大震災から1年2ヵ月近くが経過しました。ご承知のように被災地の復興は遅々として進まず、福島第1原発の収束がままならない中、仮設住宅をはじめ全国に避難されている方々も含めていまだに34万人以上が避難生活を余儀なくされています。私達は、1日も早く被災者本位の復興に尽力し、放射能汚染による除染や損害賠償などを政府と東京電力が全責任を果たすよう強く求めるものであります。

 さて皆さん。今年のメーデーは、野田内閣が命をかけてと公言する「社会保障と税の一体改革」、さらには、大飯原発の再稼働、TPPへの交渉参加などの暴走を許さないために、これまで築いてきた到達を共有し、さらに闘いを発展させる決意を固めあう場にしたいと思います。

 まず第1に、国民の暮らしぶりを見た時、この10数年の間に、可処分所得は1997年の596万円から、2010年には504万円と92万円も減り、消費支出は429万円から370万円へと59万円も減り続けています。しかも社会保障は、国民健康保険料や介護保険料、「姥捨て山」と言われた後期高齢者医療制度など負担増と給付の切り下げ、年金制度の改悪によって国民生活には耐え難い犠牲が強いられ続けてきました。収入減と将来不安が付きまとう中で物が売れない、仕事も減るというこの悪循環を断ち切ることが求められています。

 その点で当面の焦点が、消費税率10%に引き上げる庶民増税を許さないたたかいです。

 今回の消費税10%への引き上げと年金削減などを合せると新たに20兆円、1世帯当たり実質25.5万円もの負担増と所得減少になり、税収の落ち込みは97年の時よりひどくなることは目に見えています。財界やマスコミは、もろ手を挙げて消費税増税の後押しをしていますが、そういう中でも国民の6割以上は反対という世論結果であり、反対世論は日毎に高まってきています。

 私達は、消費税をあげなくても、社会保障を改悪しなくても財政危機を打開する道はあると考えます。その方向は、「構造改革」で優遇してきたほんの一握りの大企業や資産家の税制を改め、憲法の精神に立脚した「応能負担」の原則と税の再配分機能を強め、改悪に次ぐ改悪でズタズタにされた社会保障制度を修復する。同時に軍事費や米軍の思いやり予算、大型公共事業など無駄を削減することに政治が踏み出すことだと思います。そして冷え切った国民の懐を温め、消費購買力を高めることです。国民の暮らし第一の内需拡大に向けて政治が大きく舵を切り替えれば、疲弊している地方経済も立ち直ります。この道こそ、確かな未来を切り開く鍵だと思います。

 第2は、春闘再生に向けた取り組みの強化です。経団連は、270万社と言われる法人企業のうち1%にも満たないほんの一握りの資本金10億円以上の大企業が266兆円もの内部留保をため込んでいるにもかかわらず、「国際競争力の強化」を旗印に賃上げを拒否し、定期昇給も企業の負担になっているから見直せと提言しています。そして、政府には消費税の引上げ、TPP参加、労働諸法制の見直しを求めるなど、その横暴さは目に余るものがあります。

 こうした中でも私達は、今年の春闘を「雇用と仕事の確保、賃上げ、社会保障の充実で内需中心の経済、震災復興を」のスローガンを文字通り実現するために、取り組みを強めてまいりました。これまでの集計では咋年水準を若干上回り、中小や建設関係などは引き続き交渉が続いています。公契約適正化では、首都圏をはじめ多くの自治体で条例化の動きが広がってきました。未払い残業の改善など「働くルール」とILOが提唱する「ディーセントワーク」を追求し、賃金の底上げと最賃の大幅引き上げ、安定した雇用を確保するために公契約適正化運動をさらに発展させようではありませんか。

 日本航空の不当解雇と闘う原告団に対して、東京地裁はJALの言い分を丸呑みした「不当判決」を出しましたが、原告団は控訴し闘う決意を表明しています。旧社保庁職員の分限解雇も人事院の公平審理の中で、厚労省が「分限解雇」の回避努力をして来なかった事実が明らかになり、夏以降にも人事院の判定が出されるという局面を迎えています。また製造大企業が非正規労働者を使い捨てにした不当性を争ったホンダ、いすゞなどの裁判でも、企業経営優先の判決が続いています。

 働く者は、何よりも安定した雇用、まともに暮らせる賃金・権利の確保を求めています。財界や政府による「解雇の自由化」を許さず、「空の安全」や「安心できる年金制度」を求めて、働く者の団結と連帯をさらに強め、全国的な支援を呼びかけるものです。

 第3は、野田内閣の原発再稼働ありきの動きに対して、原発なくせの全国的な運動がこれまでとは違う国民的運動として草の根から広がっていることです。

 震災・福島第1原発事故から1年目の3月11日、「被災地の早期復興、原発なくせ」の要求での運動が全国各地に広がりました。政治信条などをこえて青年や「パパ、ママ」、市民が声を出し、行動に立ち上がりました。その行動は変化し、政治を変えなければと国会にも目が向かい始めています。

 政府や財界は、福島原発事故収束のめども立たないのに、今後のエネルギー確保を口実に「原発推進・再稼働」を画策していますが、5月6日を迎えると日本の54基ある原発はすべて停止し、原発ゼロの日が実現します。「電力不足」や「安全神話」に基づく原発推進・再稼働をストップさせ、再生可能な自然エネルギーの活用などエネルギー政策の転換を求めていこうではありませんか。

 TPP(環太平洋連携協定)への交渉参加に反対する世論の高まりとJA中央会や日本医師会などとの中央・地方における共同も大きく広がっています。この間JA中央会は野田首相あてに「TPP交渉参加反対」の態度を表明しつつ、農業だけの問題ではないと署名活動、集会、シンポジウムなどを展開し、このメーデーには連帯のメッセージを頂いています。日本医師会も各地でJAや私達との共同を追求し、国民的な課題として発展させようとしています。

 私達も雇用、仕事、公務・公共サービス、金融・サービス部門や働く者の賃金・労働条件などへの影響を明らかにしながら、対話と共同を繰り広げてきました。農業問題だけでなく、医療・金融・保険・雇用などの分野でもアメリカ政府や議会、自動車・電機など一部輸出大企業の利益確保と引き換えにTPP参加を推進する財界のいうがままになれば、国民生活は大きな打撃を受けます。TPP問題をきっかけに、21世紀の日本社会のあり方とも結んで、東南アジア諸国との主体的な関税自主権・食料主権を尊重した経済圏の確立を追求することが求められていると思います。

 今年は1952年に締結された日米安保条約60周年の年です。エネルギー主権を脅かす原発も、食糧主権を脅かすTPP参加も、沖縄の米軍基地建設も日米安保条約の存在が根っこにあります。今日のメーデーを機に、改めて安保条約廃棄の旗を掲げて日本の未来を見つめる機会にしていきましょう。

 皆さん。本日のメーデーを契機に、財界・大企業とアメリカに追従する野田内閣の暴走を食い止め、「貧困と格差」の解消、安定した雇用と社会保障の拡充をはかれの運動を強めようではありませんか。長い間続いてきた日本の社会経済の閉塞感を打ち破り、成長が止まった日本経済を立て直すために、今こそ労働運動が社会的役割を発揮できるよう奮闘しようではありませんか。

 消費税増税と社会保障改悪・TPP参加反対、そして世界が見つめる大震災からの早期復興、原発をなくして希望に輝く未来を語れる社会をめざして力を合わせて闘いましょう。

 世界の労働者団結せよ。第83回メーデー万歳。

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