本文の先頭へ
報道の脳死 出版記念トークショー 新宿紀伊国屋 南口店で開かれる。
Home 検索

2012年4月18日(水)午後6時半から烏賀陽弘道氏による『報道の脳死』出版記念トークショーが行なわれた。 場所は「紀伊国屋書店南口店三階 ふらっとすぽっと」 「ふらっとすぽっと」は本を出版した著書や編集者が読者とフラットな視点で交流できるように、と設けられたイベントコーナーであり、トークが気に入ればその場で本を購入できる。

読者が著者の熱意や体温を感じられる、画期的なコーナーだ。 今まで神秘のベールに包まれていた感のある作家や編集者を生で見ながら本を買うかどうか決められる直販方法に、出版社の危機感をひしひしと感じた。

トークショーの内容の一部から著者の報道の脳死の症例が見えて来る。 日米の記者クラブの違い、新聞社が事件を総合的に解る様に記事を掲載しない(断片化)などの日本の報道についての病巣を明らかにした。

そして脳死ならまだ蘇生の可能性も有るかもしれない、それは、読者がどうアクションを起こせば良いか、どう報道に向かってアクティブに向き合えば良いか、 治療方法を30人以上の聴衆を前に熱く語った。

「パクリ記事」 「どの新聞社も横並びに(気仙沼から鰹水揚げ)と漁業が用意したイベントを記事にするので同じような紙面になる記者がニュースを探さない。 報道全体を駄目にしている」

「日付主義」 「3月11日生まれの赤ちゃんを探して、記事を書く。 えくぼ記事、美談記事を一律に書く。 美談があっても良いが、イージーな方法での記事作り。 談合もあるだろう。 記者クラブから出たネタでもない「街ネタ」ですら記者クラブ的な記事になる」 と厳しく批判した。

「これからのジャーナリストの役割、仕事の変化について」 烏賀陽氏は記者の仕事、報道の形がインターネットメディアの台頭に伴い、形を変えて行くとして、「私の仕事は広大なネットの海から正しい情報を選び出すナビゲーターという形になるだろう。濁流の中からくみ上げて分析して情報に溺れている読者に『これが正しい!』と浮き輪を投げる、そういうナビ、司会役のような形にジャーナリストの仕事が変わっていくような気がする」 と、未来型の報道人の姿を語った。

質問コーナーで。

筆者も質問してみた。「この本を読んで3・11後のメディアの読者に対しての不実な態度に怒りを持っている、なんとかお灸を据えたい、そしてこれから読者は何が出来るか、教えて頂きたい」

烏賀陽弘道氏はこう答えた。

「3・11が日本の社会が残した良かったところは日本人を賢くした。 記者クラブ系の新聞テレビが不甲斐ない。 警戒区域の被災地に行かず、電話取材しかしない腰抜けなところ。 知る権利の代理人だと思っていた大手メディアは「この程度か」と知ってしまった」

「日本の経済社会からしたらとても程度の低い人が作ってるという事を知ってしまった。 我々は幻滅から出発する事しかないのです」

そしてどうするか。 「次の世代の報道を育てるには人材とお金を投入する。 記者を育てる。 ノウハウをマスコミの中から外に出す事」

烏賀陽氏は「うがやジャーナリストスクール」を作り、実践中だ。

「新聞テレビ以外の報道にお金を回す。 そしてその記者と読者とのマネタイズのシステムを作る ドメイション(投げ銭)(寄付)がスムーズに行なわれる様になる事。 教育、人材開発の実務を開始しないと報道は死ぬと思います。 新聞・テレビは自己改革意思も能力もない。 このまま立ち枯れをして行く」

と、きっぱり既存大手メディアの蘇生論は切り捨てた。 さらに読者が、今までの報道ビジネスから脱却して、新しいジャーナリズムを会得した人材達を養い育てる文化を作る事だと語った。

日本の報道の脳死の姿、そしてその治癒方法と、悲観論だけではない、未来型の報道モデルをも示唆した有意義なトークショーとなった。

報告 上田 眞実 写真はトークライブでの烏賀陽弘道氏。

2012年4月20日 


Created by mu07. Last modified on 2012-04-21 10:44:12 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について