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LNJ Logo 新採教員自死事件・木村百合子さんの公務災害を求める裁判の控訴審開かれる
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故木村百合子さんの公務災害を求める裁判、控訴審に傍聴席の倍の支援者

 5月10日、故木村百合子さんの公務災害を求める裁判、控訴審第1回が東京高裁で開かれ、傍聴席44名に80名以上の支援者が集まった(東京高裁第24民事部、三輪和雄裁判長)。

 2004年9月静岡市磐田市で新人教師、木村百合子さんは通勤途中に自ら命を絶った(享年24歳)。地方公務員災害補償基金静岡支部(以下「基金」)は3年後に「公務外」と認定、再審査請求も棄却された。ご両親(写真上)は、「公務外処分取消」を求め2008年に静岡地裁に提訴した。

 裁判は3年余に及び昨年12月15日「公務外災害認定処分取消」の勝利判決が出された。判決は、経験の浅い百合子さんがクラス運営に「苦悩しながらもできる限りの努力や責任感を持って対応した」ことを認め、困難を極めた児童への指導では「新規採用教諭に対し高度の指導能力を求めること自体酷」と認定し、新採教師に対して「十分な支援が行われていたとは到底認められない」断じた。

 この裁判は、百合子さんの置かれた状態が決して「特別」ではないこと、全国各地で特に弱い立場にある教員が窮地に追い込まれていること(毎年5000人を越える精神疾患による休職教職員の存在に端的)を示した。また、一たん下された新人教師自死への公務外認定を地裁で覆した初めてのケースであるということから、まさに快挙であった。

 しかし、これを前例としたくないと念じた被告「基金」は不当にも控訴、裁判は舞台を東京に移し東京高裁で引き続き争われることとなった。

 この日、法廷の廊下は支援者であふれかえった。裁判は、書面を取り交わしたあと、一審原告側から要請した証人(百合子さんが自死された当時の学校長)の採用について、裁判官3人が協議。結局証人は認められなかったが、裁判官の協議中に「基金」側弁護士から「なぜ校長先生を証人申請するのか」と個別に質問、木村弁護団の塩沢弁護士が「必要だからです」と答えるシーンがあった。実は「基金」側は、控訴しても新たに証人を立てるわけではなく、また新たな主張をするのでもなく、控訴状でもこれまでとまったく同じ主張をくりかえしたのみであったのだ。

これまでと同じ主張とは、「学校側には、これといった落ち度はなかった」ということだ。つまり、一審判決の「反論」ができないことが明らかになった裁判でもあった。

 裁判は早くもこの日結審し、次回は判決である。

 今回、法廷に多くの支援者が集まった要因として、東京で「故木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判を支援する会・東京」がたちあがったことが大きい。「支援する会・東京」会員は現在70名。静岡にある「木村百合子さんの公務災害認定裁判を支援する会」会員は239名、闘いは静岡にとどまらない勢いをつけ始めた。 判決に勝利する為には、次回判決に今回以上の支援者が集まることが必要だ。「支援する会・東京」は、全国に「会」への入会と裁判への支援を呼びかけている。(湯本雅典)

*次回木村百合子裁判 判決

7月19日(木)午後1時15分 東京高裁(地下鉄霞ヶ関駅 A1 出口からすぐ)717法廷(予定)

*「故木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判を支援する会・東京」へ入会(会費:1000円)を!
 事務局 佐藤博 sato1507@gmail.com
*木村裁判の実際を事細かく報告した本が出ました。
「新採教師の死が遺したもの 法廷で問われた教育現場の過酷」久冨善之・佐藤博編著
高文研 1500円+税 http://www.koubunken.co.jp/0500/0478.html

動画(YouTube ユニオンチューブチャンネル)


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