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*以下、レイバーネットTV第12回放送(5月5日)をテキストでまとめてみました。ご活用ください。(ゆか)


土屋:第12回 恐怖の原発 導入のシナリオと労働組合 推進したのは誰か?そして 労働組合はどう反応したのか。について探っていく。


松元:一緒に番組を変えていく、作っていくというところが魅力なので、放送中にでもどしどしメッセージ、質問などお寄せください。


【ニュースダイジェスト】


・派遣切りに損害賠償を命じた判決のニュース。

愛知連帯ユニオンの原告2名が、パナソニックエコシステムズと派遣切りの不当性を3年越しに争っていた裁判の判決が4月28日名古屋地裁でありました。

判決では、複雑な仕事に励んでいたのに、代わりが見つかるや、だまし討ち的に派遣切りを行ったのは著しく審議に反する、職種を偽装して安定的な就労を期待させながら、違反が明らかになるや、何の落ち度も無い原告らを一方的に切ったのは不法行為、など、詳しく事実認定し、原告2名それぞれに慰謝料100万円と30万円の支払いを命じました。

愛知連帯ユニオンと共闘の仲間は、当日早速、パナソニックエコシステムズの正門に行き、「さっさと慰謝料支払え!」と呼びかけましたが、会社は即日控訴しました。

・5月1日はメーデー。

各地で集会やデモなどが行われました。

東京の代々木公園には、2万1千名が参加し、第82回、中央メーデーが開催されました。

冒頭、東日本大震災の犠牲者に対し黙祷が呼びかけられました。

被災地の宮城県労連からも訴えがあり、震災復興の名を借りた、財界、大企業の大規模開発に釘を刺しました。

集会後、3コースに分かれてアピールウォークを行いました。

首都圏青年ユニオンの組合員は、ACジャパンの「ありがとウサギ」を模したうちわを作り、表参道に買い物などに来ている若者たちにアピールをしました。

東京の日比谷野外音楽堂には1万2千人が集まり、日比谷メーデーが行われました。

宮城県から参加した、宮城全労協の議長の、大内忠雄さんは、

「震災で新自由主義、政治経済の矛盾が明らかになった。被災地では、医療や福祉の労働者がめいっぱい働いているが、もう限界だ。公務員の削減が原因している。長い戦いになるが、一緒に戦おう」

と呼びかけました。

決意表明では、非正規職差別と戦う東京東部労組メトロコマース支部や、不当解雇と戦うJAL不当解雇撤回裁判原告団などが訴えを行いました。

また、他民族多文化メーデー合唱団が登場し、「POWER TO THE PEOPLE」を英語と中国語、タガログ語、日本語を混ぜながら、力強く歌いました。

最後に「団結がんばろう」を行い、デモ行進に出発しました。

午後2時からは、沖縄を踏みにじるな 緊急アクション実行委員会の新宿ど真ん中デモが行われました。

沖縄から駆けつけた、高江住民の会の、清水さんは、高江での米軍ヘリパッド建設反対を訴え、平和で安心して暮らしたい、高江で座り込みを続けていることを広く伝えて欲しい、と話しました。

マイクアピールでは、弱い所に危険な施設を押し付け、反対の声を圧殺するやり方は、沖縄も福島も全く同じ、など原発に反対する発言が続きました。

午後3時、過剰で異常な警備を跳ね返して180名のデモ隊は太鼓や楽器を手ににぎやかにスタート。

♪基地も原発も要らない 要らない のコールが新宿の繁華街に響き渡り、通行人の注目を浴びていました。


【木下昌明の今月の一本】


原発問題といえばこれまで専門家任せでやってきたが、でも今回の事故でそれではいけないということがよくわかった。

原発後どう対応していくかを我々1人1人が考えていかなくちゃいけない。

「100,000年後の世界」

マイケル・マドセン監督、渋谷アップリンクで公開中。

http://www.uplink.co.jp/100000/

本当は秋に公開だったが予告無に今回に早まった。

若い人がぎっしり満員で観客に多かった。

最初は少ない上映館数だったが50館に増えた。

<予告編編集版>

監督が闇の中で3回マッチをする所が重要なシーン。

フィンランドのオルキルオトという小さな島に原発から出た高レベルの放射能を埋蔵する。

フィンランドは現在4基稼動している。

5基目は今作っている。

日本では今稼動していないものも含め54基稼動している。

世界では30カ国で435基稼動している。

しかし、永久処分場を作っているのはフィンランドのみ。

後は全部中間貯蔵という形で山の中などに放置している状況。

実際には永久処分場を作れていないというのが現状。

そういう中でフィンランドが永久処分場を作ったことは非常に有名になった。

武谷三男の言葉を引用。

「原発とは『トイレのない、汚物を溜め込むマンション』」

原発問題の中で一番の問題はこれ。

問題はゴミが今もずっと生き続けているということ。

10万年後も生き続けているんじゃないか、という存在。

人間を侵し、地球を侵していく。

これをオンカロープロジェクト、オンカローとはフィンランド語では「隠し場所」という意。

未来の人類に、いまの人類が死んだ後の人類に、近寄らせないようにするために作ったもの。

日本人の政治家や科学者は先のことを見ていない。

そのことが今度の事故でよく現れていると思う。

そことフィンランドの考え方の違いは、哲学の問題じゃないか。

人間や地球の生き物が最後まで生きるか殺すか、考えて作られている問題です。

渋谷アップリンク、有楽町ヒューマントラストシネマ有楽町、吉祥寺バウスシアター、池袋シネマ・ロサ、板橋ワーナー・マイカル・シネマズ板橋、武蔵村山ワーナー・マイカル・シネマズむさし野ミュー、立川シネマシティ、品川キネカ大森、などで公開。

http://www.uplink.co.jp/100000/theater.php


【特集 恐怖の原発 誰が原発を推進したのか】

右:たんぽぽ舎の山崎久隆さん

左:全国一般東京東部労組の石川源嗣さん


松元:山崎さん、今現状はどうなっているのか?


山崎:建物の中に入れない状況ですから、中に入って何かする前段、現状がどうなっているか知り、次何をするか対策を立てて、対策に向かって手順をふんでいく、という入り口。現状を知る、ということがまだできていない段階。中がどうなっているか誰も知らない、という現状。


松元:建屋の中に人が入るか入らないか、という状況だったが。


山崎:入りましたね。午前11時半から作業開始。排風機(空気清浄機)を取り付けただけ。

中の放射線があまりにも強すぎるため、それを下げるため、排風機を取り付け、数日経てば人が入って作業できるであろうと。


松元:福井にも放射能漏れがあるのではないかという話ですが。日本には54基ある。原発がどういう意図で、誰が原発を導入したのか、現状を。


山崎:現在の福島第一原発の状態を、写真も含めて少し説明したい。

津波で壊れた、といわれているが、はっきりとは確認されていない。

実は地震で起きたのではないかと思われることがあります。

原発というのは、「冷やす、止める、閉じ込める」と三つの機能が働かなければならないと言われているが、最初の「冷やす」には電気が必要。

電源喪失が一番危険な、最初の入り口になるわけです。

従来は津波でしか言われてなかったが、ここで一つ重大な写真をお見せします。

Google earthの地震が起きる前の写真。

ここに鉄塔が建っている。

Google earthの地震が起きた後の写真。

地震後、地すべりが起きた。

この鉄塔の位置が地震によって倒壊した。

この建屋は福島第一原発5号機6号機の送電設備。

送る一方で戻ってきません。受電はできません。

ここにある小さな鉄塔、ここにもありますね。

これが受電用の鉄塔で、ここから初めて電気を取り入れられるんです。

この鉄塔が倒れてしまったため停電した。

つまり地震によって福島原発は停電した。これが重要。

地震によって壊れたのではなく、津波によって壊れたのだから、津波自身は異常災害だから、東電社長は免責になるんじゃないかとはとんでもない話で、地震により鉄塔が倒壊たことを、隠してはないが表立ってはあまり言わない。

そのため異常災害によって壊れた原発という印象が強いが、私たちはこれを異常な災害ではなく、通常の地震でも十分起こりえる事故だと。

福島第一だけではなく、全ての原発に起こりうる共通危険事象だと私たちは考えている。

全電源喪失事故=ステーションブラックアウト。

これは日本の原発ではしょっちゅう起きている。

例えばできたばかりの青森東北電力の東通原発。

地震の時止まったが、その後の余震でステーションブラックアウト状態になった。

なぜそうなったかというと、非常用ディーゼル発電機が壊れていて、外部電源を失った。

失った理由は地震ですから、外の電気が止まってしまえば内部の電源だけ、内部電源の非常用ディーゼルで発電しようとしたらディーゼル3台のうち2台は点検中で分解していた。

残る1台は壊れていた。

止まっていた原発だが、中には使用済み燃料大量にありますので、放っておけば福島第一4号機のような状態になりかねない。

ということが震災の後にも起きている。

日本だけではなく世界でも起こりうること。

アメリカでは竜巻被害が多発している。

それによってアメリカ南部のブラウンズフェリー原発3台動いていたが、竜巻によって送電線が破壊され、それで全電源、外部電源を失いました。

この場合非常用ディーゼルが起動したので、それで持ってる。

外部電源を失い、非常用ディーゼルがダメになれば、福島と同じことになる。

アメリカでも起きかけていた。

そのことを考えなければいけない。

今世界中で稼動している430基の原発全部に襲いかかる可能性がある。

原発というのは、停電したら福島第一のような弱点を抱えている。

福島第一の写真。

建屋上部が吹き飛ばされたという状況。

念のため、これは破局的災害ではない。

この先がまだあり得る。

この時点だと、原子炉格納容器、圧力容器はまだ原型をとどめている。

2号機の格納容器は破壊されたと見られている。

これを見ると、3、4号機から大量に放射能が出ているように見えるが、2号機から一番放射能が出ている。

2号機海側からの写真。

パネルが吹き飛んで水蒸気が出ている。

中の圧力が上がりすぎるとパネルが吹き飛び蒸気を逃がす設計になっている。

中の格納容器が壊れているので、ここから放射能が大量に出ている。

圧力容器から格納容器には放射能が噴出してしまっており、格納容器からでた放射能はそのまま大気中に放出されている。

3号機は使用済み燃料の所から蒸気が上がっている。

ここから大量に放射能が出てしまっている、という現状。

つまり、今この瞬間にも福島からは大量の放射能放出が続いている。

このことは忘れてはいけない。

もう一つ、見えない所からも出ている。

ここは海。船着場。

ここは閉じてなくちゃいけないけど、ここが津波で壊されているようで、外海に向かって開いている。

この手前の岸壁の所は、コンクリがひび割れだらけ。

こういう所から内部の水が漏れ出しているであろうと考えられています。

2号機前からジャバジャバ出ているのが止まったので止まったかのように言っているが、話はそう簡単ではない。

タービン建屋の下には計6万トンと言われているような汚染水が溜まったままです。

それを移送しようと準備しているが、タービン建屋のコンクリもひび割れだらけになっているだろうと考えなくちゃいけない。

手前の排水溝からも大量の放射能が出ている。

ここで出ているということは、タービン建屋からも流出している、しかもはっきり経路がわからない。

おそらく地盤を通じて地下水を通り、地下水を通って出てきているんだろう、と考えざるをえない。

5,6号機にも地下水がたまり始めている。

地下水を通じて汚染水が外に漏れ出しかねない、ということと、5、6号機は内部電源が取れている。

外部電源が取れているので、使用済み燃料冷却用のポンプを回すことができる。

冷却装置は動いているが、電源盤そのものがタービン建屋の地下室になる。

そうすると、そこがかん水してしまえば、電源破壊されてしまうので、そこに水がいかないようにしなくちゃいけない。

5、6号機タービン建屋に水が溜まり始めているのが非常に大きな問題となっている。

現在進行形で事態は一進一退を繰り返している。

人間側が事態を収束できるのかは、現場をよく把握して、的確な行動をできるだけ早くとることができるかどうかにかかっている。

残念ながら危惧せざるをえない状況。

福島第一所長は、何を心配しているかというと、もう一回同じことが起こればもうダメだろうと。

緊急で防潮堤を建てて欲しい、と現場の所長は要求している。

東京電力側はそんな事言われても、という態度だったが、急遽、仮設の防潮堤を建てる、という話になっている。

仮設は役に立つのかどうかという問題があるので、ちゃんとした防潮堤を建てる、という作業もしなくちゃならない。

汚染水を外に出さないような緊急の対策もしなくちゃならない。

その為には敷地の中にボウリング掘削をやって、そこにコンクリを流し込むなどして、少なくとも地下20メートル位まで止水できる防波堤を地下に入れないといけない。

ということも考えられています。

これだけ破壊されたので、次の地震に耐えられるかわからない。

つっかいを入れるなど破壊された格納容器の補強工事をやらなくちゃならない。

やらなくちゃならない課題はわかっているが、それを実行できる人が今いないというのが一番問題。


松元:原発推進を実行、導入したのは誰か?


<映像 「原発導入のシナリオ+〜冷戦下の対日原子力戦略(1)」 http://www.youtube.com/watch?v=ZnPdkg-lZE8%EF%BC%9E


松元:世界のみんなと共有したいとアイゼンハワー言っていましたが。核の平和利用、ということでしたが。


山崎:アメリカは第2次世界大戦中の核兵器開発で(=マンハッタン計画)、当時の20億ドル、おそらく2000億円以上使って核爆弾を作った。

広島長崎に核爆弾を落とし、アラモゴルドで核実験を行って。

その後核兵器を拡大再生産しようとしていくわけですが、その後ソ連に追いつかれる。

核軍拡競争に入っていく。

要は、軍事予算だけで核爆弾を作り続けるということは、相当な重荷。

従って、この技術を平和利用するには、3つあった。

動力炉(飛行機や船のエンジン)、原発、放射線利用(医療工業用)などの分野に、核を拡散させる。

拡散させることによって原子力産業というものが生まれる。

その結果、核兵器産業だけではまかないきれない膨大な資金、及び労働力を民間の資金と労働力を使って拡大することができる。

核兵器は、ウランを濃縮すればポンとできるものではないので、巨大な産業技術の集大成みたいなものだから、裾野に大きな産業基盤がなければならない。

マンハッタン計画でも20万人の労働者が働いていたと言われているから、ものすごい規模の工場を作った。

それと同じものをずっと維持し続けて核の独占体制をアメリカが維持できるかと言えば、とっくに独占は崩れていき、ソ連が核兵器を持ち、イギリス、フランス、中国と続いてゆく。

そういう構造は誰でも予見ができた。

核兵器の独占が崩れた後も優位性を保つためには高度化する、数をたくさん持つ、などやらなければいけない。

そのためには軍事予算だけでやっていたのでは破産してしまうので、民間の資力や労働力を集約する。

そのための原子力産業を育成するために「平和利用」ということを言い出すわけです。

それが最終的に原発問題に集約されていく。

現在では原子力産業の中でも特に原発をどれだけ世界に売り込んでいくか、ということが原子力産業にとっての生き残りの最大のテーマになっているということからもわかるとおり、核兵器保有国が自国の核兵器を高度化し、維持するためには、民間部門における原子力開発を協力に推進していかなければ成り立たないという構造ができてしまっている。

では日本は、核兵器を保有しないのにどうして巨大な原子力産業を作ることができたのか?

日本では基本的に核兵器を自力では持たないという非核三原則(まやかし性が非常にあるが)を唱えた。

そのことによってアメリカもその他の国も含め、日本は核武装というチャンネルを直接は通過せずに、原子力産業の巨大な市場になるということを選択したので、それなら安心して売り込めるということになる。

最初はイギリスから入ってきてフランス、アメリカ、そういう国々が日本に対して原子力技術を売り込んでくる。

日本はそういう技術を日本に吸収しながら各国から買ってくることで巨大な原子力産業を日本でも育成することが可能になった。

それを推進したのが政治家でいうと中曽根康弘、実業界でいうと正力松太郎。


<「原子力と日本人」中曽根の写真 「大事故は遺憾千万 親切は難しいが 原発政策は推進を」>


外国から見れば日本は核武装せずに巨大な原子力産業のマーケットを作ってくれた、ということになるが、日本の国内ではそのままでOKだったのかといえばそうではない。

日本は核武装のオプションを常に維持している。

核兵器はいつでも持ちたくなれば持てますよ、という技術力を有しておきたい。

そのポイントは、国際的には「潜在的核保有国」という言い方をするが、各技術は充分持っていて、唯一核爆弾を持たないという政策をすることによって、抑止力を働かせている。

日本にちょっかい出せば、日本は数ヶ月で核武装して、攻撃してくるかもしれないから、日本に対してちょっかい出せない、という核抑止の第二戦略を採用しようとした。

日本は憲法上核武装できるというのが政府解釈であり、どの政権であろうがこの立場一貫している。

日本は核兵器を保有できないという立場には立っていない、というのが重要なポイント。

しかし、法律の上では、非核三原則を具体化する原子力基本法において、日本の原子力政策は平和利用に徹する、と、核兵器は作っちゃいけないように書いてあるが、これは法律だから、国会の過半数で変えられます。

従って、もし日本が緊急事態になった場合、国会が臨時会を開き、過半数で核武装を議決してしまえば、その場で核武装にGOサインが出せる。

ところが憲法は変えられない。

3分の2以上、国民投票などでどう考えても何年もかかる。

従って、憲法上の解釈がこの場合重要になるが、日本の内閣法制局は常に、憲法上日本は防衛的な戦術核兵器なら、保有を禁じていないという解釈をとっているから、憲法上はOK。

日本が戦術核兵器を作れる程度の技術力があるということを常に見せつけなければいけない。

それはどういう所でやっているかといえば、高速増殖炉もんじゅ。

それから、それの燃料を再処理するために現在設計しているRETFというリサイクル機器試験施設。

これは、核兵器級プルトニウムを取り出すことができる技術であり、また、生産できる原子炉。

それを日本はまだ保有し、放棄していない。

これが日本の核武装オプションを具体的技術的に保障している役割を持っている。

これをやめさせない限り、日本の非核化はできない。


<正力松太郎 動画>


土屋:この人はどういう人?


山崎:元々初代原子力委員会。元読売新聞社主、そうですね。

この人と中曽根康弘が組んで、日本最初の原子力開発予算235億円を国会で通した。

その時中曽根康弘氏は自民党じゃない。改進党。

(正力は)「札束でひっぱたかないと政治家は動かない」と言ったのが有名になっている。

マスコミを使って一大キャンペーンするわけだが、読売新聞社主だから自分のところの新聞を使って、従って読売が原子力推進。

原子力推進のために読売を利用した。

世論を作っていった。

つまり日本国内において、原子力反対と推進がなかなかリンクできないのか、その間に楔を打つのが日本の大手マスコミ。

日本のマスコミは一貫して反原発に対して極めて冷たい。取り上げない。

20,000人デモというのがチェルノブイリの翌年、1987年にあったんですが、それもベタ記事。

アメリカやヨーロッパのほうではもっとたくさんデモがあったのは取り上げたが、同じ時期日本で20,000人とか3万人とかデモをやっても、取り上げない。

なかったことになる。

今回も高円寺デモとか、大手マスコミは全く載ってませんね。


松元:東京新聞は取り上げてますよ。


<東京新聞 記事 「『政党色なく』『音楽の力』 反原発デモ 若者なぜ集う」>


松元:「若者なぜ集う」は「なぜもっと集わないのか」では(笑)?

今は若者だけでなく、日本国民全員が集わなければならない。

一番最初に影響があるのは、原発で働いている労働者が問題。

そこで石川さんにもおこしいただいてます。

組合も平和運動、反核運動はよくしますよね。

原発に対してどうして反対してこなかったのか。

そういう歴史があるようですがそれは何故なのか。


石川:日本でナショナルセンター(=全国組織)は3つある。連合、全労連、全労協。

それぞれ原発に対してどういう方針だったのか。

連合は一昨年、原発新設増設容認、去年推進。

3・11以降は棚上げ凍結。

中身的にはほとんど変わらない。

内部に大激論があれば違うが、それはちょっと難しいと思う。

全労連は、原発に関しては今まで方針はなかった。

大会の方針でも一切出てこない。

3・11以降は脱原発というのが出てきている。

それを是非定着させていただきたい。いいことなので応援していきたい。

私も入っている全労協は、結成以来、反原発の方針を載せている。

個々の全労協加盟組織では、結構反原発闘争を現地でやっている。

例えば浜岡、静岡県共闘はずっと浜岡原発反対闘争をやっている。

それから上関、祝島は連帯労組山口がやっている。

東部労組でいえば、1988年から反原発を運動芯のひとつにしている。

個々にはやっているが、じゃあ全労協全体だったらどうだったのかというと、運動としてはきっちりやってない。

そういう点では問題があるだろうと思う。

労働組合が日本の大衆組織の基礎的な組織としてやらなきゃいけない。

こういう事態になる前から労働組合としてやってきたのかといえば、全労連にしても全労協にしてもきちんとした対応がやれてなかったというのが実状。


松元:電力総連に行って、反原発脱原発運動をしていくということは、そこで働く仲間の仕事を奪うことになるからかと思ったが、そうではないですよね?


石川:何故(運動を)やれなかったかについては、2つあると思う。

一つは原発の危険性に対する無知が非常に大きい。

もう一つは生産力が向上するのはいいことで、不況にならないで生産力が上がって賃上げを要求していくという基本的な枠組みがあって、これが大きいんじゃないか。

明治維新以降富国強兵でやってきたが、戦後は強兵は隠れているが、実際には富国に足をすくわれていた面が強いんじゃないか。

生産力至上主義に絡めとられた面があるんじゃないか。


松元:先日KPFAというラジオから取材を受けたが、生産の手段を労働者に託さなければならない、と言っていた。


石川:将来的にはそういうことでしょう。

今の社会そのものをゼロから見直す、ということを3.11以降僕らに問われている気はする。

当たり前と思っていたことをゼロから見直す。

高度成長じゃないと、生産力が発展しないとダメなのか。

僕らはゼロ成長=不況、失業という考え方が強い。

そうじゃなくてゼロ成長で雇用を確保する、労働条件をよくする、ということが不可能なのかということをやらないといけない。

原発に対する方針自体、労働組合では、論争が起こるべきことが起こっていない。

それのほうが不思議で、もっとこういった論議をきちんとやっていかないと、本来は労働組合が日本の大衆運動、社会運動を牽引していかないといけないのに、市民運動におんぶにだっこをやっている。

これは基本的な問題だと思う。


松元:電力総連に突撃取材に行った。

電力総連は22万人の組合員のうち半数ほどが日本の電気会社に勤務する組織。

<日本の原子力発電所と製造したブランドメーカー>

日本の原発は54基、そこに働いている組合員。


<松元ちえ 突撃取材映像>


会長が海外研修に行っていて不在。

この後電話して、電話のとき映像と画像による取材はお断りと言われた。

労組はPRしない。アピールする必要もない。

活字による取材は受ける、とのことで活字で取材してきた。

原発の近くに作業に行け、と言われたら皆さん不安じゃないですか?

と聞いたら、電力総連事務局長内田さんは「わが社の社員はモラルや意識のレベルはそんなものじゃない。放射線の管理下で仕事するとか(不安は)考えない。緊急事態があるかもしれないから家で晩酌もしないで待っている。家族もその体制を守る。」

海外メディアはこのようなことを「カミカゼ」「特攻隊」と呼んでいたが、そのようなものではないか。


土屋:労働組合がわが社の社員が、というのが違和感ある。(笑)


松元:基本的な労使は対立の姿勢だが、電力総連は、「労使協調の基本理念。対立という言葉は使わないでください。協力しないと電気産業の発展が遂げられない」と仰っていた。


山崎:放射線被爆に関しては労働安全衛生の観点から労働組合は必ずものを言わなければいけないはずなんですが。


松元:それも聞いてみました。労働者の健康と安全を守るべきでは?と聞くと

「そういうものは会社の責任。東電の労組がやっている。そのために防護服を数合わせて、食料も調達するし、シャワーも使えるようにしたし、今はちゃんと横になって眠れる」


土屋:もともとこういう事故に至るまでの話はすっとんでますね。


石川:その点では松元さん行かれてびっくりしたと思いますが。


松元:そうなんですよ。戦うのが労働組合ですよ。


石川:松元さんは驚かれますが、彼らは彼らなりの、いわば出世コースの一段階で労組の出向をやっている。

すかいらーくの労働組合が全く一緒。

組合の委員長が社長になるケースが結構多い。

全部そうじゃないと思うけど、連合的に言うと、労使協調、それならまだいいが、実態は労使癒着だと思う。

経営側、資本の側が強いので、その方針で全部やるってこと。

原発のことも全部同じ。

連合傘下の労働組合幹部は、そういう実態が強いんじゃないか。

木下武男さんという学者が言っているが、「1975年以降、大企業の労働組合が御用組合幹部に、御用派に占領された」

それが現在まできている。

それが僕らのような組合からしたら違和感だが、向こうにとってみれば当たり前。


松元:そうですね。私たちの知っている労働組合は会社に訴えるのですが、電力総連は訴えもしない。


石川:何でもかんでも労使がけんかすればいいってもんじゃない。必要なときにけんかして、労働者の利益を守らないような労働組合は、労働組合と名乗れるのか、ってこと。

そこが問題。


松元:電力総連の内田さんは、「福島第一第二の支部があるらしいが、そこが直接声をあげて組合員の声を上げてきている」という。


ツイッターからの声で、「電力正社員も被害を被っているのではないか」と。


松元:正社員も被害を被っている。


ツイッターから、「原発に対する労組の方針は、非正規雇用に対するとすごく似ている」と。


山崎:電力社員も放射線被爆量としては大変な被爆量になっているはずです。

250ミリシーベルトを突然導入してくるわけですね国が。 それまでの2.5倍。

それに対して現場の下請けの社長が「とんでもない。うちの職員を働かせられない」と、自主基準を作って100に下げるんですよ。

労働組合がその時言っているのかいないのか、全く見えない。


松元:内田さんは「5年間の累積放射線量の上限が決められている。1日で5年間分浴びてしまうと、仕事できなくなるだろう」とそこで止まる。

そうじゃなくて、その人の命の問題じゃないですか。


山崎:そんな被爆をしない現場管理をしないといけない。その要求をする所が入り口。


土屋:それすらしてなかったってことですね。


松元:今もしてないと思いますけど。

これから、そこで働く現場の皆さんが声を上げて、電力総連の内田さんは「権利という言葉、イデオロギー的で嫌いだ」と仰っていたんですが、権利を主張していただきたいと思います。


石川:ツイッターの話で、東電社員も被害者、というのはものすごく強い。

それは労働組合で守らないといけない。

にも関わらず労働組合の今の執行部の人たちが会社と一体になって、労働者の利益じゃなく会社の利益、となっていることが問題。


松元:いくら上部団体が電力総連であれ連合であれ、私たちの働く仲間。

派閥が云々とか、どこの団体は違うとかじゃなく、原発の現場で働く労働者、非正規であれ正社員であれ、全労連や全労協もあるし、そこで声を上げていくべきじゃないか。

運動を一つにしたい。


ツイッターからの質問

  1. マスコミ同士で、同盟を組んでいるということはあるのでしょうか?
  2. なぜ日本は原発輸出国にまでなろうとしているのか。


山崎:同盟という明確なものではないが、大手マスコミには記者クラブ制度というのがあり、そういうクラブに入っていると、例えば突出した報道をすれば、国や電力会社は、報道各社に対する一律の説明の時排除されるということがあり得るので、一人一人の記者がそういう認識であるかはわからないが、突出した報道をしにくい構造を作っている。

もう一つ、大きいのはスポンサーの引き揚げ。

TVではものすごい広告費を電力会社とかは払っているから、気に入らないからとスポンサーを引き揚げれば、経営的に非常に打撃を受けるので、そういうことをやった番組は次の改変期で終わってしまうとかになるので、これはものすごいお金を使った圧力。

これは日常的にかかっていると言われてますね。

これをやられると報道も当然萎縮してしまう。

それから、2.の日本の原子力輸出について。

いわゆる成長戦略神話の中で、日本が何を輸出していくのか、その中で世界の各国が原子力産業がもうかなり衰退してきているという状況がある。

チェルノブイリ以降ヨーロッパでは新規率殆どない、アメリカでもスリーマイル以降ない、ということで、世界の原子力産業は再編を繰り返した結果、日本の東芝や三菱が日本のトップにたつという位置づけになってしまっている。

東芝や日立などが世界に原子力を売り込みに行くとなった場合、トップセールスを狙う。

政府ぐるみで色々おまけをつけて。

韓国にはUAEに原子炉を売り込みに行く時には軍事援助つきで。

テロ対策部隊130人くらい送って、UAEの軍隊を鍛える。

国が債務保証した形で原発を売り込んでいかないといけない。

原子力は非常にお金がかかる上、相手の国が政変が起きてキャンセルされるとかあり得る。

だから一旦作っておいて後払い、という形になる。

ODAとか政府開発援助で原子力を売り込むのはできない構造になっているので 、政府が借金の裏書をする。

最悪の場合、日本政府が責任を持ちますよ、とすることでトップセールスで売り込んでいく。

つまり政府一体とならないと、原子力はリスクがある。経済的にもリスクがある。

政変が起きてキャンセルされると何千億もの原発資材が宙に浮く。

ということがあり得るので原発輸出をする際には政府が援助する。

援助と言うのはお金じゃなく、政治的な支援をするので一緒になって売り込みに行こう、という構造を作った。

それが成長戦略の中の原発輸出戦略。

その最初のターゲットがベトナムだった。

実はその一つ手前でサウステキサスプロジェクトというアメリカに新規原発を立地する時、東芝は単独で東電と合弁を組んで契約をしかけていた。

今回の事件で白紙になるようですが。

ベトナムに関して言えば、リスクがあるということで政府のお墨付、政府同士がトップセールスをやって、色んな援助を日本がやる場合、トップセールスで政府がやらなければできない。

という構造になってきているから、日本政府が原発輸出という政策をとり始めた。

自民党でもやらなかったことを今やり始めています。


石川:労働組合としての価値観を転換しなければいけない。

ゼロ成長でも失業の無い、労働条件を低めないという課題はあるが、それをやるためには労働者が労働組合に団結して戦わないとできない。

そこが課題。

つぶされない労働組合をどう作っていくかが課題。

少数組合から多数組合になるのが課題。

電算中国は一貫して反原発で戦ってきた組織だった。

96年9分割されてつぶされたが。

組織を残す、労働者の利益を守るような労働組合をどう作っていくかというところが課題。


松元:組織的には一応組織されてる。

ユニオンショップだから、どんな労働者であれ、組合に入っている。

ただ、自分が組合員であるってことを知ってるかどうかは問題だが。


土屋:デモの映像があるんですよね?


松元:5月7日に反原発の運動が全国各地でくり広げられます。


<映像 2011年5月1日>


松元:5月7日、全国各地で行われるデモに皆さん是非参加してみてください。


【スペシャル 原発不満自慢】(写真)


右:ジョニーHさん

左:乱鬼龍さん


ジョニー:原発安全神話偽装洗脳教育について。

先生が原発について発言しない。特に首都圏の先生が声を上げない。

子どもたちはかなり不安になっている。

私は地学、理科を教えていて、地震津波についてはきっちり教えていたが、まさか原発が壊れるとは思っていなくて教えていなかった。

子どもたちに謝りたい。

電気料金値上げ16%、なんで我々が払わなきゃいけないのか。

4月25日福島の小学生の父のブログを紹介。

「牛乳はまだ飲ませたくありません」と手紙を持たせたが、牛乳を強制的に飲ませる先生。

お国のために、福島のために飲め、と言われているようで、何もせずに信じろと言われても。

文部科学省と経済産業省資源エネルギー庁が立ち上げていた「原子力ワールド」HPでは放射能の危険性を必ず伝えるように、という指導があったが、現在削除。

3月11日以降、学習指導要領が全て「安心で安全です」で通っているらしい。

2007年以降、放射線に関する授業を中学社会理科、小学校は6年生あたりにやりなさい、となっていた。

「偉人たちとの授業」(電気事業連合会とエネルギー教育全国協議会が協力、放送映画制作所 http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/sonota/1197266_1511.html  現在無料)を買わせて教材に。

現場には浸透していない。予算だけ食いつぶしているのでは?

小学校6年生では「ひらけエネルギーのとびら」(2010年2月発刊、1万冊を3千万の予算で作成。希望校に7500部配布)という教材が急遽回収になった。

理由は29Pに「日本はどこから輸入しているの?」というところに福島第一原発の写真を使っているから。

東京では、中学教師が東電の教材を使えと主幹から言われた。

家庭科教師は、原子力の危険性をやっていたら校長からやるなと言われた。

小学校では、「原子力発電所はクリーン」という内容の授業をやれと言われやっていたが、本当はそうじゃないと本当のことを言ってしまい、おそらく関係者のお子さんより教育委員会に伝わり、毎日のように教育委員会にその教師に対する苦情電話があって困惑している。

福島の教育現場については次週。


<川柳>

乱:「川柳マガジン」で震災特集。

私は中曽根と同じ上州の生まれ。

生まれたところは邑楽郡(おうらぐん)という足尾鉱毒事件の地元。

まさにこれは今日の鉱毒事件。


田中正造「現在を救え ありのままを救え」

対句は鶴彬「凶作を救えぬ仏を売り残している」

「平成七年一月十七日 裂ける」時実新子

「楽観の上に原発立っていた」川柳マガジン 5月号より

「絶対に起きない事故に無い備え」笑い茸 2011春 No.2より

「原発震災罪は万死に値する」諷刺の種4月号 乱鬼龍


乱:中曽根は初代科学技術庁長官で、戦前の慰安婦問題にも中曽根は暗躍している。

川柳は民衆のホンネの声 みんなで川柳デモをやろう!

100人が100人の思いを形にして、1000人が10000人になる。

労働者は労働者なりに、酪農家は酪農家なりに、主婦は主婦なりに、それぞれの思いを表現したほうがいい。

戦争責任を問えなかったことを今後繰り返すのか、という歴史的岐路に我々は立っている。


聖者が町へやってくる の替え歌

「原発不満自慢テーマ曲」


未来の大人のために 止めろ原発今すぐに

不満だぜ オー町に 汚染物質が街に

原発 こわれて

汚染物質が街に


不満だぜ オー学校に 汚染物質が学校に

砂場校庭 水たまり

汚染物質が学校に


不満だぜ オー子どもに 教師不信が子どもに

安全神話 吹っ飛び

教師不信が子どもに


不満だぜ オー原発で 汚職教育原発で

天下り裏金 根回し

汚職教育原発で


未来の大人のために 止めろ原発今すぐに


松元:まだまだ原発特集は続きます。次回は5月19日木曜です。


土屋:レイバーネットTVは皆様の寄付で運営されております。

ご協力よろしくお願いいたします。


松元:今年からレイバーネットTVでは、インターネットTVの中継がしたいという団体をお手伝いする事業を始めました。

イベント中継のご相談お寄せください。


土屋:ネット環境がなくてこの番組が見られない、というジレンマを感じている方は、数人で家に集まって、みんなで見る宴会などやっていただければうれしいです。


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