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*レイバーネットTV第18号放送「非正規・派遣問題はいま」(9月15日放送)テキスト記録(作成=ゆか)

キャスター
右:土屋 トカチさん
左:松元 ちえさん


土屋:震災以降、どさくさ紛れの色んなことが起こってますけども、その中で、派遣契約などの非正規労働者がバンバン切られている事態も起こっています。
今日は、非正規労働者の闘いを続けている首都圏青年ユニオン書記長である日本のマイケル・ムーア、河添誠さんをお迎えしております。
「特集 非正規・派遣問題は いま」は、8時20分頃からお伝えいたします。

松元:今晩のレイバーネットTVは、新宿三丁目の第三スタジオ、バンブーからお伝えしています。
たくさんの方がスタジオにお集まりです。

土屋:ありがとうございます。(拍手)

松元:スタジオの外からもツイッターで質問やご意見などお寄せください。

土屋:ここで恒例のワンポイント英会話ですけども、大量解雇が起こっている、ということでですね、もうこれ実践的ですね。
「解雇しないで」ということをですね、英語で言う時にどう言いましょう?

松元:解雇というのは、Dismissal.[dɪ,smɪ'səl]
でも動詞はDismissなので、Don't dismiss me.[doʊ'nt dɪ,smɪ's mi:']
あんまり言わないですね(笑)。

土屋:もっかいもっかい。

松元:Don't dismiss me.

会場:すみません、ファイアミーとは言わないんですか?

松元:Don't fire me.[doʊ'nt fai'ɚ mi:']
言いますね。

土屋:そっちのほうが覚えやすいかもね。

松元:Don't fire me.

土屋:いざという時は、Don't fire me.と言って皆さん切り抜けていきましょうね。

松元:上司が言ってもわかんなかったりして(笑)。

土屋:わかんなかったら、わかる言葉で言いましょうね。
英語を知ってると随分役に立つこともあるかと思います。
外資系で働いてる方なんてね、Don't fire me.で切り抜けていきましょう。
ということでですね。

松元:はい。
では先ずは、今月のニュースダイジェストをお送りします。
尾澤さん、よろしくお願いします。

【ニュースダイジェスト】

担当:尾澤 邦子さん


こんばんは。
3月11日の大震災から半年、全国各地で原発に反対する様々な取り組みが行われています。
9月11日、東京では3ヶ所で脱原発アクションが行われました。
午後1時半、日比谷公園を出発したデモ隊は、東電前で「原発はいらない」「東電は責任をとれ」などのシュプレヒコール。
3時半からは、約2000人が手をつないで、経済産業省・原子力安全保安院を人間の鎖で包囲しました。
午後5時からは、若者2名が経産省の前で10日間の「将来を想うハンガーストライキ」に入りました。
2人は「僕たち若い世代は、原発の負の遺産をこれ以上背負いたくありません」と、上関原発計画の白紙撤回や原発の再稼働反対などを訴えています。
ハンガーストライキは、現在4人の若者で行われています。
11日、「素人の乱」呼びかけの新宿サウンドデモは、デモ出発時から警察の激しい規制があり、12名が不当に逮捕されました。
<逮捕時の動画、画像>
暴力的なデモ弾圧と不当逮捕に断固抗議したいと思います。
午後6時からの新宿アルタ前街頭宣伝行動には、約2000人が集まり、人並みでうまりました。
警察も手を出せず、再び「原発やめろ広場」が出現しました。
評論家の柄谷行人さんはマイクを握り「デモで社会を変えられるのか?とよく聞かれるが、“確実にできる”と私は答える。
なぜか。デモをすることで“デモをする社会”をつくれるから」と訴え、聴衆から大きな拍手が起きました。

次です。
シャープ系工場で外国人労組結成!のニュースです。
8月18日、三重県松阪市にあるシャープ系工場で、200人規模の労働組合が結成されました。
現場となったのは、液晶パネルを作成している、シャープ三重第2工場と第3工場。
シャープ工場の下請け企業ミエテックの業務を請け負っている「ジーエル」で働くフィリピン人による労働組合です。
名前は「ユニオンみえ・シャープピノイユニティ」。
ピノイユニティの労働者たちは会社に対して、「有給休暇はとれない」「社会保険には入れない」と書かされた違法な覚え書きの撤回、現在の1ヶ月単位での雇用をやめて雇用を安定化すること、会社のアパートへの転居を強制しないことなどを求めて、話し合いを要求しています。

次は、なかまユニオンの「希望のバス」韓国ツアーのニュースです。
「希望のバス」とは、韓国最大の造船会社韓進(ハンジン)重工業の170名の整理解雇撤回を求めて、クレーン上に200日以上籠城するキム・ジンスクさんを応援しようと、韓国全土から市民が駆けつけるという運動です。
7月30日には1万5千人の市民が集まりました。
なかまユニオンの組合員たちは、8月26日、プサンの韓進重工業85号クレーン前を訪れ、高空籠城を続けるキム・ジンスクさんを直接電話で激励しました。
そして被解雇者家族対策委員会と交流しました。
家族会代表から「2003年には、整理解雇に反対した組合員2名が、世間の無関心の中で自殺しました。
しかし今は、もしかすると勝てるかもしれないという希望を持つことができるようになりました。
それが、希望のバスの成果です。
整理解雇問題を考える動きが生まれたのです」という話しがされました。

それでは最後に、郵政労働者ユニオンのストライキのニュースです。
日本郵政はこの9月末に、65歳を超えたことを理由に、全国で14000人にも及ぶ期間雇用社員の一斉雇用打ち切りを計画しています。
郵政労働者ユニオンは、「働く能力も意欲もあり、働かないと食べていけない人がたくさんいる。人を一方的にクビ切るのは許せない」として、あす抗議のストライキを決行します。
是非、注目・支援をしていきましょう。

以上、ニュースダイジェストでした。

土屋:はい、尾澤さんありがとうございました。
Don't fire me.ですからね。
皆さん言っていきましょう。
続いては乱さん、ジョニーさんの「不満★自慢」、オリジナル原発ソングのコーナーです。

【不満★自慢】
右:ジョニーHさん
左:乱 鬼龍さん


オリジナル原発ソング特集。


15、16、17と 福島の3月ヤバかった
過去はどんなに隠しても 夢じゃない被ばく

昨日一号今日二号 明日は三号か四号か
壁は儚く落ちてゆき 夢じゃない被ばく

安全神話は嘘の花 エコやクリーンも嘘の花
嘘で魚も汚されて 夢じゃない被ばく

一から十まで嘘でした 責任反省ないけれど
忘れられない事故ばかり 夢じゃない被ばく

のっけからこれは、前回「あたまきた音頭」の、ササキシロウさんの作品でございます。
「でんこの夢じゃない被ばく」という曲でした。
おなじみのエチゼンクラゲさんも出してますね。
「放射能がいっぱい」という、きれいな曲なんですけど、聞くとちょっとヤな感じです。(笑)


古い原発の中に 隠れて 放射能がいっぱい
原子の火を灯した 日付は 遥かなメモリー
時は無情のつながりで 津波を 思いもしないね
手に届く大気は限りなく 汚れて 君を包んでいた
ガン死の階段登る ただちに影響は無いんだ
除染は誰かがきっと やってくれると信じてるね
被曝だったと いつの日か 思う時が来るのさ

卒業式で皆さんこの歌を歌ってください。
学生は結構卒業式で歌うんですけどね、哀しいですね。
こないだ僕は野菜デモに参加したんですけども、そこでオオニシユタカさん、こないだいっぱい歌をやった、エグレ笹島さんと一緒にやってる方なんですけども、オオニシさんが送ってくれた「ソーラー節」です。
エネルギーシフトパレードというのを歌ったので、そのテーマに丁度いいんじゃないかなと思って。


屋根にソーラー ソーラー ソーラー ソーラー 発電
ハイハイ
地震来たので原発こわれ あとに残るは放射能
ヤサ エンエンヤーサのドッコイショ
アア ドッコイショ ドッコイショ

変えよう 地熱に 風力 ソーラー発電
ハイハイ
(繰り返し)

デモ用ですから繰り返してね。(笑)
ノリはよかったみたいですね。
野菜たちも喜んでましたね。
で、エグレさんはこういう明るい曲は嫌なんだ、と。
向こうにいる人たちにとってはちょっと失礼じゃないかなって。
まあ色んな考えがあるんでね。
エグレさんは色んな歌を作ってる最中で、特に彼女はさっきの郵政ユニオンの話なんてのは、多分ものすごく怒ると思います。
なぜかってと彼女は、70までに全国デビューしたいと。
65で切られるとたまったもんじゃないということです。
彼女は今、頭の中の発想であるのは、科学者たちが作ったもんなんだから、放射能を消す薬を科学者が作れ、と、放射能が一瞬でシュッと消えてしまう。
製品名はもう言ってあって、考えて、「ノンシーベルト」というんだそうです。
それで儲けろ、と彼女は言ってますけども。
彼女の作品は「平成会津磐梯山」。


エイヤー 東京電力 土下座をしても
もとにゃもどらぬ ええまた この大地
チョイサ ヨイサ
おはら庄助さん 何で身上つぶした
原発こわれて 身上つぶした
あーくやしいな くやしいな

エイヤー 会津盆地の 緑の夏を
もとにもどすぞと ええまた 立ち上がる
アースッチョイスッチョイスッチョイナ

ちゃんとエールまで送って、素晴らしいなと思います。

実はここんとこ、変なニュースがありまして。
僕らは「脱原発なんて当り前」って高校生に言うと、高校生が「今頃”推進”とか言う大人っているんですか?」なんて平気で言うんですけども、「いるんだよ」っていうと、「えー!?」ということで、そういう人もいますよと。
で、どうしてかっていうと(説明して)、わかるよね、と言うと彼は「わかる」って彼は言うんですが。
こんなのありますね。
会長がこんなこと言ってるから職場としてはどうしようもないと。
連合最大の労組であるUIゼンセン同盟の落合清四会長が、9月7日の大会で、”原発稼動は必要だよ〜ん。原子炉は残すべきじゃ〜ん?”と発言したと。(笑)
軽い?まあでも、中身は軽いじゃないですか。
だって意味ないんだもん。
安全なものから動かすって、誰が安全って決めるんだこの野郎!(笑)
今安全な原発どこにあるんですかということです。
失礼しました。
もうちょっと丁寧に言いましょう。(笑)
それが連合通信に載ってたんですけどね、政官財学、僕学校関係だったので反省してます。
マスコミに加えて労働組合も「官」だって自覚が全然ないということなんですよ。
これに対して、乱さんの一句を。

乱:「ダラ幹が 原発神話 まだほざく」
この期に及んでもまだ原発を推進しようとする勢力はね、やはりあっちゃこっちゃでまだまだ言いたい放題言ってるから、もうこれから先の闘いの中で、こういうのを各個撃破しなくちゃいけないと思いますね。

ジョニー:新たな神話を作ろうとしてんじゃないですか?

乱:うん。

ジョニー:やだね(笑)。

乱:もうとっくの昔に神話なんてのは死んだという風にしないと。

ジョニー:後半はよくわかりませんけど。(笑)
でもいい川柳。
ありがとうございました。
こんな奴らがまだいるんでね、大賞がいっぱいあると思うんですけど、原発御用大賞を作りましたんで、そのテーマ曲を作ってみました。
景気よくいきましょう。
元歌は銭形平次でございます。


(1)
放射能もれても 誠意に欠ける
欠けていなおり 毒を吐く
誰が呼んだか 誰が呼んだか 原発御用
恥も知らずに 嘘八百で
裏で汚い 裏で汚い 銭が飛ぶ

(2)
道はときには 曲がりもするが
曲げちゃならない 人の道
誰がとるのか 誰がとるのか 御用大賞
レイバーネットの フェスタの中で
発表されたら 発表されたら にが笑い

ジョニー:ハイ今日はこのへんで。
また次回よろしくお願いします。
ありがとうございました。
ジョニーHと。

乱:乱鬼龍でした。

ジョニー:私、明日16日、ライブこんな感じでやりますので。
もしお時間とご用ない方ありましたら、どぅたっちで19時からやっておりますので。
駒込でございます。
それから私も参加しているノレの会でCDが、10周年記念ということで、日本語で。
「うたOh!」というのは、オリジナルでございます。
そんなのを作りましたので、1,000円でございますので、是非是非買って皆さんで歌ってください。
宣伝しちゃってすみませんでした。(笑)

乱:23日のレイバーネットTV大阪版もよろしくね〜。

ジョニー:ありがとうございました〜。

松元:乱さんジョニーさんありがとうございました。
次は「特集 非正規・派遣問題は いま」のコーナーです。

【特集 非正規・派遣問題は いま】

ゲスト右:鈴木 重光さん
ゲスト左:河添 誠さん


土屋:密度が広がりましたね(笑)。
今日ご紹介するのは、首都圏青年ユニオンの書記長、河添誠さんと、ユニオンのメンバーであります鈴木重光さんです。
首都圏青年ユニオンは、一人でも入れる労働組合として、主に若い人たちの職場での問題に取り組んできました。
これまでも、牛丼で有名なすき屋、SHOP99などで権利を侵害されてきた仲間たちと共に立ち上がっています。
鈴木さんは、もう一人の同僚と2009年6月に三菱ふそうトラック・バス株式会社と派遣会社、計5社を提訴。
今年7月28日には和解が成立し、長きに渡った裁判が終結しました。

会場:かっこいいぞー!(拍手)

松元:河添さん、鈴木さん、こんばんは!
よろしくお願いします。

河添、鈴木:こんばんは。

松元:まずは勝利和解、おめでとうございます。
長きに渡った裁判、もう2年ぐらい経ちますけど、その行動、裁判の模様を映像でご覧ください。

土屋:若かりし。

<映像>

2009年6月29日 東京地裁
国労闘争団 佐久間忠夫さんと鈴木さん握手

鈴木「さんざんどうしたらいいかっていうのはすごく悩んだんですが、弁護士の先生をはじめ、組合の皆さんとお話をさせていただいて、おかしいと思うことにおかしいと声を上げることの重要性っていうのを感じ、今現在に至ってます。こんなこと今まで考えた事もなかったですけど、それは今まで色んな人と会って、お話をさせていただいた中で、新しい自分の思いみたいなのが生まれてきたっていうのが、すごく自分でビックリしてるんですが、頑張ります。ありがとうございました」

Q.この訴訟の意義は?

河添誠 首都圏青年ユニオン書記長「鈴木さんは、違法な働き方をされてるわけですね。派遣法も守らずにずっと働かせてきていて、使い捨てのように切られてしまっている。派遣先の企業の、切った事自体に対する責任を問うと、団体交渉も何も応じないわけですね。ですから大企業が、非正規の労働者を使い捨てにしている実態というのを明らかにしながら、これが本来であれば、直接雇用する存在であるということを積極的に訴えていきたいと思っています」

横断幕「三菱ふそうは法律を守って正社員として雇用せよ!」

<映像終了>

松元:「正社員として雇用せよ!」と横断幕に書いてありました。
継続雇用を求めて裁判されたと思うんですが、この裁判の背景と争点を、何を闘われたのかについて河添さんに説明していただきたいんですけども。

河添:2人の原告共に4年から5年、くらいですかね?派遣社員として働いていたんですが、その間に、法律に違反しているような派遣の働かせ方で。
本来は、一時的臨時的に使われるのが派遣の基本的なことなんですが、実際には常用雇い、普通の正社員と同じように働いていたということがはっきりしていたので、違法な派遣でもあるし、直接雇用して正社員と同じように雇用される存在なんだと、それを認めろ、という裁判なんですね。

松元:計5社を提訴されたという話ですが、三菱ふそうトラック・バスがあって、後4社は派遣会社ということですね。

土屋:色んな派遣会社あった。

河添:そうです、はい。
ちょっと複雑なんですけどね、鈴木さんの場合は最初に派遣会社に雇われて、請負の会社に入って、その後更に偽装請負になる。
偽装請負の会社に派遣されていた。
わかります?
三菱ふそうという会社があって、その中に偽装請負の会社があって、その会社に派遣で入っていた、というのが最初の働き方で、その後、この偽装請負の会社の社員にさせられて、その後、この偽装請負の会社が作った派遣会社の社員になって、またこの派遣会社から派遣される。(笑)

土屋:だんだんわかんなくなってきましたね。(笑)
ややこしいね。(笑)

松元:働いている人たちはわかってるのかって話ですね。(笑)

河添:という風にですね、まあめちゃくちゃなことが実際に工場の中で起こっていて、実際に何をやっていたのかといったら、正社員の方や、直接雇用されている期間工の人たちと全く同じように自動車を作ってるわけですよ毎日ラインの中で。

土屋:仕事は変わんないんですもんね。

鈴木:変わんないです、はい。

河添:むしろ、もう何年も働いていて、他の力のない派遣社員はどんどん切られていくわけで、残ってたというのはむしろ技能が高かったわけですね。
高いから残ってたってこともあるんだけど。
そういう人が、めちゃくちゃ低い賃金で働かされる、というのが派遣の、安くていつでも切れる存在として、大企業がおいしいもんだから、やっていることなんですね。

松元:結局でもこれは短期雇用だったっていうことですかね?

河添:うん。

松元:で契約を何回も更新されてきたってことですか。

河添:でも鈴木さんの場合はちょっと特殊で、期間のない定めの雇用だったというちょっと珍しいケースで(笑)、複雑なんですが。

松元:ふざけた雇い方だな。

河添:もう一人の方は短期の数ヶ月の雇用でしたね。

松元:そうでしたね。
もう一人、林貴行さんという方がまた首都圏青年ユニオンで一緒に提訴された方なんですけども、今日残念ながらお仕事で来られないということで、とっても残念がっていましたけども。
お二人とも、確か2008年のリーマン・ショックの時に、大量解雇と同時に解雇されたということで。

土屋:いっぱい解雇ありましたからねー。

松元:ということは三菱ふそうでも、鈴木さんと林さん以外にも解雇された方はいるってことですか。

鈴木:勿論そうです。

会場:安いっていくら?賃金。

鈴木:僕は時給1,300円で、日給にしたら10,400円というのが基本のお給料で、日給月給ですよね。
僕は4年と9ヶ月働いていたんですけども、一度も昇給もなかったし、ボーナスっていう形もとられたことがありませんでした。
そういうことを改善する方法もわかりませんでしたし、そういうことが当り前だと思って、ずーっと働いてましたね。

松元:解雇された時の仲間っていうのはどれくらいいるんですか?

鈴木:川崎工場では480人、非正規の。

土屋:480人ってかなりの数ですよ。

鈴木:はい。
川崎工場はすごく広い所なので。
元々正規と非正規の割合が6:4くらいの工場全体の割合なんですね。
4が非正規ですね。
その形で通常の業務が回ってますので、当然あの時期切られていくのは、僕と同じような存在。

松元:じゃあその職場での40%の仲間は皆切られて。

鈴木:そうですね、2009年の1月くらいには、もう誰もいなくなってましたね。

松元:鈴木さんが解雇されたのは2008年の秋ですか。

鈴木:はい、そうです。

河添:秋違う、冬だね。
年末ですね。

土屋:正月には出て行けとか言われてたんですね。

鈴木:そうなんです。
11月18日昼休みに、携帯電話で呼び出されまして。
派遣会社の担当者なんですが。
鈴木さんちょっと話がある、ということだったので、お昼を食べてから、敷地内のコンビニの前で待ち合わせをしてお話をした時に、まず派遣会社の担当者が、実は僕もこういうことがあって仕事をなくした、と。
僕も派遣会社をクビになったんだと。
12月で終わることになりました、ということを先に告げられてから。
で、鈴木さんも川崎工場の仕事はなくなったんです、ということを言われた時に、もうこの人と話をしてもしょうがないなと。
不安とか、今後どうしたらいいかっていう所でもう。
こんな扱い方なんだなっていうのがすごく実感にありましたけども、それをぶつける相手もまた同じように、僕と一緒に仕事がなくなるっていう状態を本人から告げられた時に、誰にも何も言えないな、という気持ちですごくいっぱいになりましたね。
あの日のことは忘れられないですね。

松元:その人に言っても、お門違いというか、何も変わらない、というか。
だけどその構造っていうのも。
派遣会社でクビを切られた人がまた他の人に、クビを切られましたと告げに行く、というのは歪んだ構造だと思いますけれども。
でも今回めでたく、7月28日に和解が成立したということで。

土屋:長い闘いでしたけれどね。

松元:一審で2年かかったんですかね?

鈴木:そうです。

松元:和解ができたことなんですけども。
私も労働裁判してきましたけど、勝つのってすごく難しいと思うんですね。
裁判所にも問題があったりするんですけれども、そういう所で、とても難しいと言われている労働裁判、特に派遣労働者の裁判ということで、何故ここまで和解できたのか、勝利できたのか、ということですが、河添さんこの辺はどうですか?

河添:そうですね。
まず裁判の中では、三菱ふそうとその派遣会社がやってた違法行為っていうのが、かなりはっきりわかったってことですね。
それはもう、正社員と同じように働かされていたし、それから、労働者派遣法に照らしても、違法に次ぐ違法だったということが裁判の中で明らかになった。
まずこれは大きいです。
それに加えて、様々な抗議行動なども私たちはやりました。
最初にまず団体交渉を申し入れる時にも、川崎にある本社の前に横断幕広げて行って、団交を申し入れる、と。
ビジネスタワーの中にある会社にこう皆で、ドドドドドっと。

松元:中に入って行ったと。(笑)

河添:ええ。
押し寄せて。
その時も、テレビカメラを沢山、当時2008年の暮れで、丁度派遣切りが相当大きなニュースになったところだったので、マスコミを沢山集めて、どーっと行ったんですね。
それはもう次の日にはテレビや色んな新聞に出たわけですね。
そういうような抗議行動であるとか。
あるいは、派遣切りされた人たちを連ねて、特に自動車会社で切られた、例えば日野自動車であるとか、トヨタだとか、日産だとかいすゞ、そういった所と一緒にバスを連ねて、自動車会社の社長さんに会いたいツアーを。

松元:行きましたよ私も。
こちらに行った人もいます。(笑)

土屋:ええ、行きましたねえ。

河添:トカチさんには撮影をお願いして、それで元ザ・ニュースペーパーの松元ヒロさんがボランティアで。

土屋:キャスターでね。

松元:あれは面白かったですよね。

河添:もうやっぱり松元ヒロさんは全然違うんですよね。
会社の人に色々聞く時のね。
軽妙な。

土屋:会社の人に誠意がないってことをなんかね。
なんでしたっけ。(笑)

河添:そういうようなことを色々やったっていうことも非常に重要だったと思います。
やはり当時、大きな社会問題にしていったってことも大きかったと思うんですよね。
派遣切りされが起こって、色んな労働組合とか、反貧困の運動と一緒に年越し派遣村をやったのが2008年の暮れで。
その時はもう鈴木君は解雇されてましたけど、一緒に活動して。
その後反貧困の運動の中でも、派遣切りの問題ってのは相当クローズアップされていったわけですね。
社会運動的に出していったっていう、国会議員の前で鈴木君が話したこともありますし。
派遣切りの当事者がそういうふうに発言するチャンスっていうのを、色んな運動体が作り出せた。
その反貧困の盛り上がりの中で争議を闘えた、というのは非常に良かったかなと思ってます。
これがもう一つの点で。
もう一つ、三つ目があるとすると、鈴木君も、もう一人の林君も、寮に住み続けたんですね。
12月26日解雇で、12月29日までは寮を出て行くようにと2008年の11月18日の時点で言われて。
だけど、寮を出て行ったらお金もないし、新しい家も借りられないですから、ホームレスにするのか、と会社に抗議して、いさせろと。
当面いてもいいと言わせたんですよ。

松元:それは社員寮ですよね。

河添:鈴木君の場合は、三菱ふそうの社員寮。
林君の場合は、インテリジェンスっていう派遣会社が借り上げてる寮に、アパートですけど、そういう所に住み続けたんですね。
これはどうなるかというと、この裁判では、雇用関係を認めろ、という裁判なので、その中では寮の問題って解決しないんですね。
だから、寮の問題を解決しようとすると、会社が別個当事者を訴えて裁判を起こさなきゃいけないんですよ。
これは時間とお金がめちゃくちゃかかるわけですよ。
だから、少なくとも三菱ふそうとインテリジェンスについて言うならば、この裁判の和解の中で、この寮の問題も解決したかったんですよ。
というふうな、相当気持ちが動いたはずなんです。
だからもう、寮を出させられようとしたらもう居住権の問題ですから、生存に関わる問題ですから、とにかくそこに居座るんだと。
クビ切られたから寮を出て行けなんてふざけた話なんで、まず居座ると。
で、何度も出て行けって話が来るわけですよ。
組合にも色々来たんですよ。

松元:組合にも来るんですか!?
えー!

河添:いや、書面が来てね。

土屋:寮に怪文書とか来ました?

鈴木:いや、それは全くないですけどね。

松元:出て行かないと払ってください、とか?

河添:とにかく色々、これについてだけは和解しろ、とか、派遣会社はそういうことを言ってきたりしたんですよ。
ふざけるなと。
この全体の、雇用の問題、大きな問題があるんだから、この問題全体の中で和解するっていう話ならわかるけれども、この寮の話だけ別に和解しろなんておかしいでしょ、っていう話で、突っぱね突っぱね突っぱね突っぱねやって。(笑)

土屋:なんか関取としてね。(笑)

松元:こっちは突っぱねてよかったかもしれないけど、当事者、そこで住んでる人はなかなか大変なんじゃない?

土屋:不安はなかったですか?

鈴木:僕に関しては、三菱ふそうの寮には住んでたんですけど、同じ立場の人たちが誰もいなかった、ということと、後多分、今寮に入ってきてる人たちが、三菱ふそうの販社っていう形で、お手伝いですか、地方から本社の工場を手伝いにきてるっていう形にはなってるんですけど、その人もまた、販社が派遣会社を使って人を集めて、うちの正社員ですっていう形で僕が偽装請負をやられたような雇われ方で働きに来てるっていう現状もあって、お互いに何も知らない者同士があそこに住んでるわけで。
だから、僕があそこにいて住み続けてるっていうことは、三菱ふそうの社員の中でもわからないことですし。

松元:知らないようにしてたっていうことですね。

鈴木:唯一わかってたのが寮の管理人さん、おばさんだったんですけど、一人で住みこみでそこで働いてたんですが。
でも、三菱ふそう側が、いくつか持ってた寮をどんどん閉鎖しはじめまして。

松元:もう住む人がいないからですよね、解雇して。

鈴木:そうです。
福利厚生のお金を少しでも節約するために。
その中でそのおばさんもまた、お仕事を辞めることになって。

松元:そこでもまた解雇者が。

土屋:被害者の一人がね。

鈴木:そうですね、はい。
で、鈴木君のやってることはよくわかる、と。
私もそれはおかしいと思う、と。
だから、がんばってくれ、っていう話を、寮を出る前日ですか、最後に話した時、そういう話を聞いた時、…んーもうなんか、自分が裁判をやってて、そういうのがおかしいと思ってやってることを、でも何も止まってないというか。
自分がクビになった時とずっと同じことをずっと続けられてるという感覚だけがすごく残って、その話を聞いてた時にはもうなんか、自分の至らなさっていうか、力の足りなさみたいなのをすごく感じたことはありましたね。

松元:でも組合に入られたんですが、首都圏青年ユニオンっていう組合があって、そこにどういう風にたどり着いたんですか?

鈴木:たまたま2008年の夏ぐらいに、テレビのドキュメンタリーだったんですけれども、フリーター労組さんがガソリンスタンドのアルバイトの。

土屋、松元:ありましたね。

河添:ストライキね。

鈴木:はい。
あのドキュメンタリーを丁度観てて。
これは一人でも入れる労働組合、みたいなナレーションがあったと思うんですね。
で、その時に、あ、自分もこういうことになるんじゃないかというか、自分も同じだな、と。
そのアルバイトの人たちと。
状況、というか、働き方が。
そこで、もしかしたら自分も、労働組合にお世話になるんじゃないのかっていうふうに、そのドキュメンタリーを観た時に。

松元:まあでもそれは夏ですからね、まだわかんないですよね。(笑)

鈴木:はい、夏。
まだわかんなかったですけど、ずーっと僕が感じてたこと、不安に思ってたことを、それを形に、労働組合っていう形が、団体が力を貸してくれる、そういう図式をそのドキュメンタリーで知って。
で、その番組が終わったぐらいに、一人でも入れる労働組合の紹介の中で、首都圏青年ユニオンという字幕スーパーが流れたのを見て。

松元:素晴らしい。

鈴木:そうなんです。
でまあその名前を思い出したのが、どうしようかって思ってた2008年の12月のアタマなんですね。
後はもうインターネットですぐ電話番号調べて。

松元:その時に思い出した名前を調べて。

鈴木:はい。
調べたらすぐにわかって、電話をしたら、河添さんが出たと。

松元:運命の出会いみたいな。(笑)

鈴木:ですね、はい。

松元:素晴らしい出会いですね。(笑)

河添:何なんだ。(笑)

鈴木:もうね素晴らしいって言えって言われてる。(笑)

松元:社員寮に住んでいて、自分と同じような働き方をしている人たちがそこにいっぱいいるっていうのを知っていながら、でも分断されている。
お互いがどういう働き方をしているのか知らないし、顔もあわせないし、そういうことだったんですけれども、組合っていうのは、一人でも入れるんであれば、例えば首都圏青年ユニオンもそうですけど他の組合でも、そういった人たちが、まあ自分の会社の中からではないかもしれないけど、同じ仲間がいるわけですよね。
鈴木さんが、今まで会社ではもしかしたら孤立してたかもしれないけど、組合に入ってそういう感情っていうのは、印象っていうのはいくらかは変わったんですか?

鈴木:一番最初の工場宣伝の時ですね。

松元:工場宣伝っていうのは?

鈴木:工場前でビラを初めて配った時ですね。
生まれて初めてのビラ配り。

土屋:え、そうなの?

鈴木:そうですね。
今までビラ配りなんてそんなんもう。
何であんなのやるんだっていう。

松元:変な人がやるっていう。

鈴木:怪しげな、みたいな。
っていうそういうイメージが。(笑)

土屋:(河添さんは)怪しいイメージが。

鈴木:(笑)そうですね、怪しいイメージが(笑)。
いや河添さん、最初からだったら怪しいですよ。(笑)

河添:(笑)

鈴木:でも早朝、南武線、寒い朝ですね。
僕が多分一番最後に集合場所に集まったと思うんですが。(笑)

松元:私もいつもそうです。(笑)
組合の人たちだけが集まって。

鈴木:すみません(笑)。
当事者が一番遅い(笑)。

土屋:ちょっとひんしゅくもんですね。


松元:朝早いし寒いしやだなーみたいな。

鈴木:そう。
朝寒いし7時くらい?まだちょっと薄暗い。

河添:6時半だったかね。

鈴木:ねえ。
すっごく寒かったですよね。
だけど、工場の近くの南武線の平間駅前に、もう僕が来たときには既に30人ぐらいの組合の関係者の人が駅前で円陣を組んでまして、何だこれはと。(笑)

松元:怪しい人たちが。(笑)

鈴木:ダメだろこんな場所でと。
その人たちずっと、工場前の宣伝、労働組合の活動、そういう部類に全然今まで興味もなかったし、経験もないもんですから、当然不安はずっとあって、今日一日どうなるんだろう?って思ってたときに、駅の前に集まってた組合員の皆さんからロールパンを。
もう寒くてガチガチに硬いんですけど、真ん中に卵とマヨネーズで和えたやつをはさんであるやつを。

土屋:よく覚えてるね。

鈴木:ええ覚えてますね!忘れないです!

松元:一生忘れない思い出だ。

鈴木:ええ。
でそれを一つもらって、「鈴木さん頑張ってください」って言われた時に、なんかすごく、超ホッとしたっていうか。

河添:あれはね、その宣伝には来られないけれども、といって差し入れてくれた組合員がいたんですね。

松元:ポロッ、ってなりそうですね。

土屋:泣きそうですね。

鈴木:そういうことがやっぱり…頑張れるかなっていうふうに思えたっていうか。
あの日は、僕にとってはやっぱりすごく、印象深い日です。

松元:工場内ではお互いに助け合うっていうのはあまりなかったんですか?

鈴木:ないですね。
僕自身も、年下の正社員の人から「なんで鈴木さんこんなことできないの?」とか、「まー鈴木さんよりはましだから俺も頑張れるかな」とか。
その当時、リコール問題で社員の給料もちょっとカットされたりとか、残業がなくなってきたりとかそういう時期があったので、正社員もこれからは三菱ふそうで続けていって大丈夫なのかな?っていう不安があったんだと思う。
でもそういう時に、僕らの存在が、彼らにとっては支えになったかもしれない、その時は。
もっと悪いんだからと。

松元:鈴木さんよりはましだなっていう。

土屋:楽になれるっていうのがなんかあるかもね。

鈴木:でも僕も、全く根拠はないんですけど、同じ派遣社員の、一緒に働いてる奴と自分を比べて、俺はあいつよりましだと思ったり。
全然根拠ないんですよ。
それを、だけど、なんかそういう風に思ってないと、保たれないというか。
もう一番わかってんですよ。
惨めなのも、この仕事を続けててもしょうがないっていうか、先が見えないのもわかってるけど、でも次の日もう一回現場に行って、ラインに乗っかって、一日走り回って。

松元:走り回るんだ。

鈴木:間に合わないんです、時間。
でもその繰り返しで。
でも答えがないんだけども、でも自分自身、今までやってきた仕事よりマシだって思ってたのも事実だし。
今まで小さい頃からずっと、続けてれば何とかなる、っていうか。
長く続けてれば、仕事がどんなに面白くないことでも、いつかそれが自分にいい形で反映してくれる、そういう部分を僕はやっぱり求めてたんだと思います。
それも根拠も何にもないですけど。
もしかしたら誰かが評価してくれるとか。
この先どうしたらいいのかってわかんなくなった時に、それをずっと、仕事しながら求めてたんじゃないかなと。

松元:鈴木さんと林さんの後にも、多くの派遣労働者、または非正規労働者の裁判がいくつも続いていると思うんです。
または裁判だけでなくても争議が多くあると思うんですね。
それをちょっと河添さんにお聞きしたいんですけど、争議とか裁判っていうのは、当該、またはそこに関わる組合、または周りの人たちがどういう風にしていったら、こういった和解または勝利という形をとれるのか?

河添:個別の争議がどうやったら勝つのかって無責任なことは私言えないのでわかんないんですけど、今全体として必要なことっていうことで言うと、派遣切り、2008年の秋から暮れにかけて相当な規模で行われて、万単位で人がクビ切られたわけですね。
その中で、切られた人が沢山全国で裁判闘争ってわかります?60から70くらいの人が争議で闘われてるって言われてるんですけど、その中の一つが三菱ふそうの争議だったわけですけど。
これは、労働者派遣法の抜本改正を求める運動の中で闘われたっていうのがあるわけですね。
2008年の秋から暮れ、私たちずっと2006〜7年から、労働者派遣法を改正するっていう運動が、色んな労働組合が始めていて、それに対して、よし本当に変えようと、労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動が作られて。
これが2008年の12月の、日比谷野音の集会など大きく成功させて。
その力で2008年の暮れから2009年の正月にかけての年越し派遣村の実行委員会になっていくんですね。
だから、労働者派遣法の抜本改正をする運動っていうのが、まさしくその争議全体を支えてきたと。
そして年越し派遣村みたいな運動まで作った。
その後政権交代が起こっていくので、民主党の鳩山内閣できて、これでもう私たちは派遣法の抜本改正の第一歩を踏み出せるというふうに多くの人たちは期待したわけですよね。
これだ!とほんと皆思った。(笑)
おっしゃこれで!と思った。
だけどまあ、残念ながらそれがうまくいかなかったってことなんですね。
だから、やや宙ぶらりんな感じになってるわけですよ。
派遣法の案っていうのはあって、まだ生きていて、民主党もこれを通します、と言っている。
ナショナルセンターの連合も、優先順位の高い問題です、と一応言う。
だけれども通らない。
政治的には全然前面に出てこない、っていう状況になっていて。
これを、今、一つ一つの争議がバラバラになっているのを、社会的に見える形で、派遣法ってやっぱりひどい法律なんじゃないの?っていうことを社会的に見せていく必要があるということですね。
それから、派遣法の抜本改正っていうのはやっぱりしなきゃいけないっていうことを、繰り返し言っていくこと。
それを労働運動としてもやるし、労働運動だけじゃないですよ、こんなひどい働かせ方を社会的に残してていいのか、っていう種類の市民運動、社会運動を大きく盛り上げていく、っていうことがとっても大切なことなんじゃないかなと思うんですね。
だから仕切りなおしなんですよ。
これはちょっと確かにうまくいかなかった。
うまくいかなかったけども、これで諦めちゃいけない。
仕切りなおしで、もう一回闘うと。
その中で、一つ一つの争議も、できる限りの支援をして勝たせていく、っていうことを皆さんと一緒にやりたいなと思いますね。(拍手)

松元:それは今まで権利を侵害された労働者たちだけじゃなくて、今震災以降、正社員でない非正規という不安定な形で働かされているために、多くの労働者がそこでも犠牲になっていて、どさくさまぎれに解雇されているという問題が多く出てきているんですけども、その大きな一番の例というのが、仙台の期間工の。

河添:そうなんですよね。
SONYが大量クビ切りやってまして。
これがね、今日、東京地評の争議支援総行動があって、SONYの本社前でビラまきやってきた、そのチラシなんですけど。
どういうケースかっていうと、SONYの仙台テクノロジーセンターっていう所が多賀城市にあるんですね。
ここで、労働者2,000人のうち、正社員280人を広域配転、期間社員など150人全員を雇い止めにするっていう計画を進めてるんですね。
今被災地っていうのは、ものすごく雇用がないとか、不安定とか酷い状況だって言ってるところにですね、SONYみたいな大企業がこういうことやっていいの?っていう大問題なわけですよ。
今日も期間工の若い方たちが、今22人の人が組合に入ってるんですけど、そのうち20人ぐらいの人がビラまき一緒にやってきたんですけど、この人たちもひどい働かされ方を元々してて、この期間社員ってのはね、業務請負、労働者派遣を経て、宮城労働局が過去の偽装請負を是正指導した2009年に直接雇用されました。
正社員になって当然でしたが、通算2年11ヶ月を、上限6ヶ月契約を反復更新する不安定雇用。
それで会社は5月末に、上限まで1年を残して、被災を理由に3ヶ月契約+慰労金の雇い止めを通告。
被災を理由に、不安定な人をより不安定にさせるっていうようなことを、SONYみたいな大きな会社がやっていいの?っていう大問題なんですよね。
こういうことを一つ一つ許さない、っていうこと、で、立ち上がった、勿論これはごく一部ですよ、でも、立ち上がった非正規の人をきちんと励ます、ということが大切だと思うんですね。
その少数の人が立ち上がって、立ち上がったことでいい成果が出たっていうふうにならないと、立ち上がる人出てこないですから。
一つ一つ、こういう立ち上がった、特に若い人たちがこういうことやってるんですよ。

松元:若い人って大体何歳くらいなんですか?

河添:僕大体見た感じ20代から30代っていう感じでしたね。
将来見通し立たないですから、もう真剣ですよ。
家族のある人もいるしね。

松元:そうですよね。
ここでこれから長く働いていこうと思ってたのに。

河添:一生懸命働いている人たちですから、こういう人たちは、被災地でクビ切られるって許されんと。
これは社会的に注目していただきたいと思いますね。

松元:それで若くして立ち上がった鈴木君。
裁判和解したんですけれども、こういう仲間にもしメッセージがあれば。

鈴木:はい。
やっぱり声を上げたら上げたでリスクというか、自分の立場の弱さみたいなのを認めなきゃなんない苦しさとかね、そういうことが多々あって、それをやったことに対して評価してくれない人も勿論いるわけです。
そういうときに、しんどい思いするとき、周りで、それでも頑張ってみろ、と力を貸してくれる人がいるっていう、その存在を知るだけで、自分自身の気持ちも楽になって、これから先どうしたらいいかっていうことも見えてくる。
と僕はずっと裁判を通じて感じてることなんですけど、そういう感覚を是非、あるっていうことを信じて欲しいし、今しんどい思いして、苦しい状況かもしれないけど、だけど、やったらやったぶんだけの成果っていうのは、別の形であったとしても、必ず出てくるもんだ、っていうことだけは、僕は保障したい、っていうか。
すごくそれは思ってますので。(拍手)
今友達と一緒にやってる仕事も全然儲かんないですけど(笑)、でも、シゴトモのメンバーで11月、大野更紗さん呼んでイベントできたりとか、シゴトモを通してまた僕の大切な友達ができたり、っていうそういうなんか、今までは感じられなかったつながりがどんどん違う形で、また自分自身の気持ちと行動範囲を広げてってくれるっていうか、そういう楽しみが今、僕を、今39歳でまだ無職ですけど、すごくこれから楽しい!って思わせてる原因っていうか、理由になってると思いますので、是非皆さんに頑張って欲しいと。
それだけを言いたいと思います。(拍手)

松元:一人で闘うっていうのは難しいと思いますけど、今色んな友達とかネットワークを作ってるんですけど、その拡がりを作れたきっかけは組合だったって考えていいですかね。

鈴木:そうですね、はい。

松元:ありがとうございました。
スタジオ内から質問があります。

会場:運動の中で、しゃべれるようになった?
それが一つ。
それから河添さん、テレビ出まくりでした今まで、マスコミ?
今日は初めてレイバーネットTV出ましたけど、メディアに対する思い出を聞かせてください。

鈴木:弱い自分自身を認められるようになったっていうか。
それがすごくでかいんですね。
これでもいいよって言ってくれる人が、少しずつ見つかってきたっていうか。
ちえさんも、トカチさんも含めてですけど、ご本人は僕に対して、そんなに気を遣って喋ってるわけじゃないかもしれないけど、その一言一言がですね、あ、喋ってもいいんだな、っていうか。
僕が思ってることを話しても大丈夫なんじゃないかっていうふうに思わせてくれた、っていうのが、僕にとっては、こうやって調子に乗って喋ってる原因であって。(笑)

松元:確かにね、組合の抗議行動とかでね、自分でマイク持って話させられるっていうのは、かなりのプレッシャーではあるんですけど、最初のうちは。
でも、自分が何を言ってもみんなが「よし、頑張れ!」って言ってくれるっていうのは、あ、これでもいいんだ、っていう肯定にはなりますよね。

土屋:自信がつくよね。

鈴木:そうなんですよ、はい。
そっから調子にのってるんです。

河添:ツイッターからの質問を先に。
「原発労働者の問題はどう考えるのでしょうか?」
これは結構大変ですけど、二つ答えなきゃいけないと思うんですね。
一つは、福島第1で今働いている人たちの被曝の問題っていうのは、非常に特殊な問題なので、これは緊急にきちんとした手当てをしなければいけない、と思います。
あそこにずっと入っている、詳しいジャーナリストの布施祐仁さんっていうのが友人なんですが、祐仁さんが友人ってのがシャレ…。(笑)

土屋:シャレなの(笑)?

松元:そこすっとばしてほしかったような(笑)。

河添:乱鬼龍さんじゃないんでアレですけど(笑)。
彼なんかから色々聞くんですね。
作業の仕方も、指示の仕方も含めて相当ずさんになってて、現場が混乱していて、その中でマスク外しちゃう人だとか、相当すごく多いっていうんですよ。
だから被曝が相当大変なことになっていくので、この状況をまずは、多くの人に知ってもらって、これを政府がきちんと対応する力を、ちゃんとしろと言うことと、将来的な被曝による被害ですよね、に対しての手当というものも、まだまだきちんとしたものはないですから、これをはっきりさせていく、というのを運動化かなきゃいかないというふうに思ってます。
これが一点。
それからもう一点、もともとあった、通常運転されている原発の定期検査っていうのは13ヶ月に1回、2〜3ヶ月停めてあそこの中を清掃したりする、あるいは色々、溶接を直したりとか、新しいものを作ったりっていうような労働があるんですけど、これも被曝してるんですね。
被曝労働を常時必要とするシステムなんですよ、原発っていうのは。
まあ皆さんよくご存知の通りです。
この問題というのを、きちんと労働運動が充分に取り組んできたかというと、部分的には昔、総評時代の運輸一般が福井のほうで組織したというケースがあるようですけれども、なかなか充分に労働運動が組織しきれていなかったというのは、弱点だと思うんですね。
この問題は、脱原発の運動の中でもっともっと、平常時でもこんな被曝労働許していいのか、っていう運動として、社会運動化しなきゃいけない、というふうに思っています。
この間、いくつかの集会、私も原発労働者の聞き取りとか電話インタビューとかしたんですが、引き続きこの問題は、皆さんと一緒に集会開いたりして、多くの人に知ってもらう活動をまずしなきゃいけないな、というふうに思ってます。
当面、10月16日の、反貧困ネットワークが呼びかけで、東京の法政大学で開く、反貧困世直し大集会( http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/event/111016yonaoshi2011.html )という集会でも、原発労働の問題を取り上げて、企画を立てています。
それから10月23日の、全国青年大集会( http://blogs.yahoo.co.jp/seinen_koyou_syukai/33620775.html )の中でも、原発労働の問題を取り上げて企画を立てているところで。
ツイッターでご質問された方は是非おこしいただければと思います。
で、テレビについてですが。

土屋:今全然違うでしょだって。(笑)

河添:あ〜全然こんなに気楽に出られるもんないすけど。(笑)
テレビって、やっぱり話す時間短いですよ。
結構自由に話せる、例えば、「朝まで生テレビ」とか何回か出ましたけど、あれはワーワー言って、田原さんが指してくれさえすれば結構自由に話せるんですね、台本ないので。
規制がすごくうるさいってことはないんですが、やっぱり話す時間は限られてるので、自由に話せない。
だからこういうオルタナティブなメディアっていうのは、自分たちの自由な企画でたてられて発信できますから、こういったものがマスメディアと合わせて、こういったメディア運動を続けてくってことは、まあ両方必要だっていう意味で、私は出て楽しいな、と。

松元:よかったです。

土屋:じゃあまた来てくださいね。

河添:はい。
ありがとうございます。

鈴木:ありがとうございました。
(拍手)

土屋:河添さん鈴木さんありがとうございました。
労働者としての権利を無視され続けられながら使い捨てにされてしまう仲間はまだまだたくさんいます。
そんな若者たちの声を拾いながら、共に立ち上がっている首都圏青年ユニオンですが!実は今、とっても財政難。

河添:はい。

土屋:とっても。
もう激ヤセしております。(笑)

河添:そう!
ほんとにもう食事を削り!(笑)
酒も呑まず!(笑)

松元:それは別の理由でしょ?(笑)

土屋:是非多くの方からのご支援をお待ちしております。

松元:是非支援してあげてください。
また鈴木君みたいな人が出てくるように。

河添:よろしくお願いします。

松元:その他、注目すべき裁判でも、最近判決が言い渡されました。
9日金曜日、東京高等裁判所は、内部通報したため、社員に不当な配置転換を命じたとして、会社に損害賠償の支払いを命じました。
原告の浜田正晴さん(50歳)は、昨年取引先の社員を引き抜こうとした上司の行為を内部告発した結果、閑職に追いやられたとして、オリンパス株式会社や、当時の上司を提訴、一審では棄却されていたものの、高裁では、業務とは無関係に行われ、不当なものだったとして、浜田さんの逆転勝訴となりました。
裁判所はオリンパスに対し、損害賠償として220万円の支払いを命じています。
会社は8月31日に高裁判決を不服として上告しています。

土屋:続いてこちらも、全国一般東京東部労組からのうれしい報告です。
昨日、高等裁判所は、阪急トラベルサポートに対し、102万円の未払い賃金の支払いを命じました。
訴えていたのは、阪急トラベルサポートで旅行添乗員として働いていた、豊田裕子さんです。
豊田さんは、労働時間の算定が難しいという理由で、一定時間働いたとみなす「みなし労働時間」、これを添乗業務に適用するのは不当だとして会社に提訴し、一審でも勝訴していました。
高裁判決は、添乗業務にみなし労働時間制の適用は認めない、移動時間も労働時間である、仕事と仕事の合間も労働時間である、としています。
そういう素晴らしい報告が入っております。

松元:阪急トラベルサポートは、一番最初だと思うんですけど、レイバーネットTVでも委員長の塩田さんに出演していただいています。
おめでとうございます。

土屋:あと河添さんからメッセージが。

河添:先程ちょっと話したんですが、10月23日の日曜日、午前11時から、東京・明治公園で「全国青年大集会」という集会を開きます。
昨年5,200人ほどで成功させたんですが、今年も大きな集会を開いて、午前11時から、午前中は分科会、午後は大きな集会をやって、震災だからといって泣き寝入りしないぞということで、雇用の問題、若者の生活や暮らしの問題を中心に、大きな集会を、全労連青年部などと一緒に開きますので、こちらも遊びに来てください。
先程の原発労働の話だとか企画もありますし。
うちの組合員がたこ焼き屋さんやってんですけど。

松元:ああ赤いたこ焼き!
珍しいですよ。
おいしいですよ。

河添:たこ焼きも売りますので、是非そういう楽しみも兼ねて、遊びに来てください。

土屋:ありがとうございます。
河添さん、鈴木さん、ありがとうございました。

河添・鈴木:ありがとうございました。

土屋:続きましては、緊急特別報告です。
横浜港の放射性廃棄物投棄のコーナーです。
とんでもないぞ!

【特別報告 横浜港で予定されていた全国初の放射性廃棄物投棄について】

ゲスト:鈴木 誠一さん


松元:横浜市は、放射性下水汚泥の焼却灰を横浜港の建設中の埋立地の一部として投棄することを検討していました。
それを、9日金曜日にメディアが報道しています。
これに伴って13日火曜日、俳優の山本太郎さんをはじめ、横浜市の市民80名ほどが集まり、計画の撤回を市に要請しました。
今日は急遽、横浜港で働く全日本港湾労働組合、全港湾って言われますが、その横浜支部から鈴木委員長におこしいただきました。

土屋、松元:鈴木さん、こんばんは。(拍手)

松元:この問題は私はバタバタと、えーこんなことがあっていいのか!なんでこんなことが!初めて聞いたぞ!みたいなそんな感じだったんですけど、2日前くらいですよね。
あわてて、横浜市民の方たちの抗議要請行動がユーストリームで流れていたので、これも確認していただければいいと思うんですけど。
まず鈴木さんは、この問題の横浜港でお仕事されてるんですけれども、このことっていうのは、多分私たちよりも先に港の皆さんの方が知るのが早いと思うんですけど、いつ頃知られたんですか?

鈴木:全く一緒ですね。

松元:えっ!

土屋:一緒ですか!

鈴木:これ横浜市の発表資料。
日付は9月9日なんですよね。
9月9日で、15日から実施すると。

土屋:めっちゃすぐですね(笑)。

松元:まあでも15日以降というふうには言っていたんですけれどね。

鈴木:言い訳するわけじゃないんですけども、私ども全港湾、82回定期全国大会が先週7〜8日、鬼怒川で行われてまして。

松元:はい、私も行きました。

鈴木:一緒でしたね、ずっとね。
私は9日の帰りだったんですね。
9日に最後の中央執行委員会終わらせて、帰ってくると。
帰ってきて、そのまま、組合事務所には帰れずに、ILWのパシフィックビーチホテルの報告集会に、総評会館のやつに参加して。

松元:アメリカの港湾労働者組合ですね。

鈴木:ええそうですね。
そのものに参加して、夜9時ごろまで、食事まで付き合って返ったんで、そのまま週末でした。
ですから、月曜日組合事務所のほうに行きましたら、私どもの執行委員のほうから、業界との情報交換で、山下にあるんですけど、そこに呼ばれたから行ってきます、ということで。
そのまま帰っちゃいます、いいよ、ということで、普段なら帰っちゃう人なんですけど、戻ってきたんですよ、これを抱えて。
えらいこっちゃと。

土屋:そうですね。

松元:大変ですよねこれ。

鈴木:放射性廃棄物を海に投げるという話だということでですね。

松元:自分たちの働いている所ですよ。

鈴木:その報告を受けて、私これ読む時間もなかったんですけども。

<画像:横浜港>

松元:これ今映ってるの横浜港ですね。
本牧。

鈴木:南本牧埠頭で。

土屋:私の近所ですよこれね。

鈴木:左側が完成されたコンテナターミナルで、世界最大の船会社でありますマースクールがやっている、日本で一番と言われるような、メガターミナルと言われるコンテナターミナルです。

松元:マースクールっていうのはどこの国ですか?

鈴木:オランダでしたっけ。

松元:オランダの会社ですね。

鈴木:難しいこと聞かないでください。(笑)
右側のほうが、横浜埋め立てをしてまして、外側に白く囲ってる所まで埋め立てをなされます。

土屋:埋め立てのラインってことですね。

鈴木:そうです。
一般廃棄物の最終処分場、いわゆる、ゴミで埋め立てようとしているということなんでしょうけども、そこに、処理に困った下水汚泥焼却灰を、ということなんですね。
それは、何かの基準であります、100ベクレルという数値を、変な話規制緩和、ですよね。
8000ベクレルまで上げたということで。

松元:80倍ですよね。

土屋:給料だったらいいですけどねー80倍ってねー。
ふざけるなだよね。

鈴木:これを横浜市がとらえたんですね。

松元:これ聞いてビックリしたんですが、焼却灰っていうのがコンテナとかコンクリに固められて、それが埋め立てられるのかと思ったら、とんでもないんですよね。

鈴木:とんでもない。
そのまんまですね。

土屋:灰を、ハイサヨナラ〜て感じですかね。(笑)
ひどいねえ。

鈴木:これ絵があんだよな。
これだとブルドーザーでそのまま流すみたいな感じですけど(笑)。

土屋:野蛮だね〜。

松元:これがブルドーザーですね。

鈴木:埋め立てをするのにこの、ダイセンからここにこう沈める。

松元:ちゃんと閉まってないで、上が開いたまんまの、布みたいなものに焼却灰を包む、みたいな感じなんですかね。

鈴木:これ横浜市の資料ですからね。
横浜市が出してる。
私が勝手に作ったもんじゃないですから。
グレーの所が。

松元:廃棄物、と書いてありますね。

鈴木:ええ。
ここが焼却灰で、この白い所が土。
(黒い所が)海。
板で囲うから漏れないだろう、また、漏れた時のシチュエーションもありますよと。

土屋:いいかげんだなあ…(笑)。

松元:想定外と言われないためにそういうふうにしたという感じですけどもね。

鈴木:こういうことをやろうとしたというか。

土屋:議論をする間もなくやっちゃいたかったんでしょうね。

鈴木:はい。
で9日に通達して、15日に実施すると。
どちらかというと我々、港湾労働組合、穏やかですから。

土屋:…え?(笑)

鈴木:業界のほうがね、元々風評被害、外航路が近づかなくなってしまうので、実際に中国から船返されたりしてんですよ日本はもう既に。
なので、風評被害に対するために、横浜港は率先して対策をいち早くうってた港なんですね。
そこでこういうことを横浜市がやるっちゅうことがよくわかんない。

土屋:ぐっちゃぐちゃですね。
混乱しますよこっちもね。

鈴木:12日に横浜港運協会と労組団体との情報交換会がありました。
これは大変だってことで、中央本部の伊藤委員長のほうに、今度は海に投げるそうです、という報告をしまして。

土屋:何言ってんだって話ですよね。(笑)

鈴木:そしたら伊藤委員長が、国際法上問題だからそんなものはありえないよ、ってことで情報が色々錯綜しまして。
その後、当然全港湾中央本部に伝わり、全国港湾に繋がり、ということで、全横浜港湾も動き、13日に指示文書が。

松元:これですね。
私はとっても感激したんですけれども、港で働く者ということで、私たち一般市民に当然影響あるんですが、やっぱり先程の原発も同じなんですけれども、そこで働く労働者の人たちが、やっぱり一番最初に危険にさらされるということで、労働組合が即動きました。
これは9月13日に皆さんに回覧されているものなんですけれども。
抗議行動するために動員体制を準備してください、と書いてあるんですね。
埋め立て阻止のピケット行動を行う、というふうに書いてあるんです。
これが上部団体から横浜の支部の方にも回ってきたと。
最初私が電話で連絡して確認しようと思ったときに、いや実はこういうことも言われているので、と鈴木さんからお伺いしています。

鈴木:今どきね。
「産別で、埋め立て阻止のピケット行動を行う。各単組は、最大限の動員体制を準備されたい。東京港湾、川崎港湾は、可能な限りの動員体制を準備されたい」

土屋:それくらいの大問題ですよ。

鈴木:京浜三港の全港湾労働者で、まず阻止に入るぞ、ということで。(頑張れ拍手)

松元:このとき私は、「あ、じゃあ15日に行っても誰かがいるんだな」と。
あそこの港って入れないんですけど、「入れないんですよね?」と鈴木さんに言ったら、「いや、私たちは中に入りますから、どこでも行きますから」って言うので。

鈴木:取材に来たいみたいでしたから、一緒にどうぞと。

松元:いや、抗議行動に行きたかったんです。
皆仲間連れて、横浜に住んでる人たちとか連れて行こうと思ったんですけど。
だからこういうことがあっても、絶対そこで働いている労働者の組合がすぐ動いてると。

鈴木:13日にこの指示が出まして、当然12日に業界も対策をたて、13日に産別のトップが動いて、我々は体制に入って。
昨日、全横浜港湾のほうで横浜市に抗議に行った所、もうそこで横浜市のほうはだいぶタテ系でズレはあったらしいですけども、これいけねえ、という方向になってるようでして、15日に強行はしないということになったんで、一応これは出たまんま、準備のまんま、具体的行動、15日今日、とってないわけです。
昨日の抗議行動、これ今日の神奈川新聞なんですけど、「一転 埋め立て『凍結』」というのを、昨日の2時15分くらいかからの横浜市長の記者会見、ネットで生中継されてましたけども。
そこで、要は理解を得られて、安全が確認されてやっているものと思ってた、ということで。(笑)

松元:説明がないのに理解もクソもないですよね。

鈴木:ちゃんと書いてある。
私それも聞いてたんですけど、そういうふうに言ってました林市長は。
それで、理解を得てないから、強行はしませんと。
しかしながら凍結で、撤回って言ってないんですね。

土屋:一時的なもんですからね。
止めないとねこれはね。

鈴木:ただ、さっきもちょっと話したんですけど、行政がどう言うか、ちょっと楽しみなんですけれども。
普通は行政は、間違いを認めませんからね。(笑)
言ったことをなかなか引っ込めないですから、どうなるかわからないんだけれども、横浜は、「ミナトヨコハマ」って港のほうが先くるんですね。
神奈川も三つの港がありますよね。
川崎港、横浜港、横須賀と。
港の、産業としてはすごく大きな所ですからね。

土屋:観光地でもありますからね。

鈴木:ですから、そういうことを考えた時に、横浜港運協会、横浜の港運事業者で作る企業側の団体、多分全横浜港湾はまだ抗議文出してないと思うんですけどね。
「一方、横浜の港湾関係者で作る横浜港運協会は、14日、埋め立ての撤回を求め、林市長に抗議文を提出した」と。
労働組合より早く抗議文を提出(笑)。

土屋:負けちゃった。

松元:(笑)まあでもこれは、いつもの労働組合だと労使で会社との対立なんですけれども、今回のはそんなこと言ってられないんですよね。
協力して動かないと。

土屋:大きな問題ですからね。

松元:大きなプレッシャーをかけていかないと。
これからも協力してやっていかれるわけですよね。

鈴木:そうですね。
横浜の場合は長い歴史が、今年開港152周年でありましたけども、明治維新以降開港、という形で外交やってきた港ですから、それでその地場も成り立ってると、行政も成り立ってるという色が濃い港で今回のこれがあったっていうことで、ここやっぱきちっと抑えとかないと、全国、なっちゃう可能性出てくるんじゃないかなと思います。

土屋:やりたい放題になっちゃいますからね。

松元:全国初と言われているように、横浜での動きを止めていくことで、今後の動きが決まると思うので。
多分全港湾でもこれからどうにか動くと思うんですけど、是非その計画とか教えていただいて、色んな情報を流していただくようにして、それに協力していきたいと思います。

土屋:では皆さん、引き続き注目してください。
鈴木さん、今日はお忙しい所どうもありがとうございました。

<鈴木氏、冊子を取り出す>

鈴木:津波にやられた塩釜です(写真)。
復興に皆で頑張りますので。
ありがとうございました。
(拍手)

松元:続いては、「木下昌明の 今月の一本」のコーナーです。

【木下昌明の 今月の一本】

担当:木下 昌明さん


土屋:木下さん、こんばんは。

松元:かの有名な、木下昌明さんです。

土屋:今日は何の映画でしたっけ?

木下:今日ご紹介するのは、9月24日に公開されます、坂田雅子監督の「沈黙の春を生きて」という映画です。
今まで随分、皆さんすごい話ばっかりして緊張して聞いてましたけど、実はこの映画もですね、映画ではあるんですけど、非常に重要な問題なのです。
是非見てもらいたいと思いますけども。
実は、ご存知のようにベトナムの枯葉剤作戦ですね、米軍の。
それを扱っている映画です。
それによって、奇形の障碍を受けている、三代の家族の問題に焦点をあてた映画ですね。
坂田雅子さんという監督は、今から3年前に既に「花はどこへいった」という映画を作っています。
「花はどこへいった」も同じように枯葉剤の問題を扱っているわけですけども。
何故彼女はこの枯葉剤の問題を扱うようになったかといいますと、実は、2003年フォトジャーナリストであったグレッグさんという夫が、突然肝臓ガンで亡くなるんですね。
何故亡くなったかといいますと、枯葉ベトナム兵士として出征していまして、枯葉剤を浴びたから、自分は子どもは作れない、というふうなことを彼女に話していたわけなんです。
その彼が突然亡くなったんで、彼女は、何故彼が亡くなったのか、その原因を突き詰めるためにベトナム行って、そこで枯葉剤の被害にあっているベトナムの人たちに会うわけですね。
そして「花はどこへいった」という映画を作るわけです。
それは非常にいいものですけども、この「花はどこへいった」というタイトルは、実はベトナム反戦の時代作られた歌で、ピート・シーガーという人が歌ってたわけですけども、日本では加藤登紀子とか、忌野清志郎が歌っていました。
彼女は全共闘世代なんですね。
全共闘でヘルメット被って演説なんかしてる写真なんかも載ってましたけども。
彼女が次の2作目として「沈黙の春を生きて」という映画を作ったわけです。
予告編をちょっと観てください。

<予告編映像: http://www.youtube.com/watch?v=JePLROR3Ft4 >

木下:ホットスポット、という言葉が出てくるんですよ。
僕は最近放射能関係で、ホットスポット、ホットスポット、よく聞くんですけども、実は枯葉剤もいたる所にホットスポットがあって、そのことを調査してるわけなんですけども。
だからホットスポットは非常に危険な所なんですね。
この映画の特徴は、一つは、4年前にベトナムへ彼女が行った時、障碍者の子どもたちに会って、それを撮っているんですけども、その子どもたちがまた、成長してるんですね。
成長っていう言葉は本当に難しいんですけど、つまり、生かされている、というか、生きて苦しんでいるという状態があるわけですね。
それでそこへ、今度はアメリカの帰還兵である子どもの女性が、やはり奇形なんですね。
手や指がなくて、足が片一方ない、というような感じでベトナムへ来て、そういう人たちに会いに行くんですね。
で、交流をするわけなんですけど、これが非常に清々しくて、気持ちがいいんです。
ここに出てくる、ヘザーという女性なんですけども、非常に明るくて、見ていて非常に清々しい気持ちになります。
その彼女ばっかりじゃなくて、アメリカやベトナムの各地にいる奇形になった子どもたちを撮ってます。
そういう人たちの苦しみも捉えています。
もう一つの特徴は、この映画は「沈黙の春を生きて」というタイトルなんですけども、「沈黙の春」というのは、ご存知のようにレイチェル・カーソンの著書ですよね。
化学物質の危険性を訴えた人なんですけども、この本が1962年に出るんですけども、1962年に丁度、ジョン・F・ケネディが大統領になったばっかりで、その時、この本に衝撃を受けて、ケネディが農薬に対する危険性を訴えて、法律を作って、農薬の制限をする法律を作るんですね。
それは非常にいいことなんですけども、今度はそれで農薬会社や化学薬品会社が困るんですね。
で今度はそれを救わなくちゃならなくなって、それでケネディは、丁度ベトナム問題が起こっているんで、これのゲリラ退治に枯葉剤を使おう、ということを決めて、農薬会社に発注するんです。
それで飛行機で散布するんですけども。
一方では非常に正しいように見えて、一方では悪をなす、というような矛盾したことを平然と行っていく、このケネディという人物だけじゃなくて、その時代の大統領の矛盾がそこに出ていると思ったんですけども。
そういうものを考えさせる映画にもなっています。
もう一つはやっぱり、奇形児の問題ですね。
奇形っていう言い方は変なんですけども、これはチェルノブイリを見ていますと、同じような奇形の障碍の人たちが出てくるんですね。
苦しんでいる人が。
これは化学物質は、放射能はやっぱり同じものなんですね。
だからその危険性を、この映画を観て、考えてもらいたいと思います。
日本もこれからそういうふうな状況下におかれるんで、その意味でも是非観てもらいたい映画だと思います。

松元:これはどこで上映してるんでしょうか?

木下:岩波ホールで9月24日からです。
それから全国上映になります。
(上映検索: http://movie.walkerplus.com/schedule/mv48739/ )

土屋:是非ご覧ください。
木下さん、どうもありがとうございました。
(拍手)

松元:さて、お待ちかねの視聴者プレゼントです。
前回の番組で「お金で泣かないための本」(太郎次郎社エディタス)発売中の本なんですけれども、これを無料で差し上げるとお知らせしたところ、沢山の方からの応募がありました。
ありがとうございました。

土屋:抽選の結果、今から読み上げる三名の方に本が当たりましたので、心して聞いてくださいよ。(笑)
愛知県のキムラさん。
兵庫県のシゲマツさん。
東京都のテラジマさん。
なんか聞いたことある人ですけどね。(笑)
差し上げますので、お待ちください。
ありがとうございます。

松元:おめでとうございます。
(拍手)

土屋:レイバーネットTVから、この本を差し上げますので、当選されなかった方は、本屋さんで売ってますので、自前でお買いください。

松元:次回、今度の視聴者無料プレゼントは、先ほどジョニーHさんが言っていた、「うたOh!」ですね。
これはノレの会から自費出版。

土屋:インディーズですね。(笑)

松元:韓国の労働歌や、在日の方たちの歌っている労働歌、それからノレの会のオリジナルの歌も入っています。
1,000円です。

土屋:ニュースダイジェストでお馴染みの、尾澤さんが代表をつとめるノレの会のCDですからね。

松元:全部歌詞が書いてあります。
これを3名の方に差し上げます。

土屋:是非レイバーネットTVのほうにメールをください。
よろしくお願いします。
(応募フォーム: http://vpress.la.coocan.jp/tv-present.html )
そして、前回ご紹介いたしました原発御用大賞コンテストですが、こちらも多くの方から、ぞくぞく候補があがっております。
簡単に紹介させていただきますけども。
学者部門では、大橋弘忠さん、「プルトニウムは飲んでも安全だ」と言っていた方らしいですからね。
危険性を一切告知していないということです。
文化人では、養老孟司さん。
「原子炉は安全であることは証明された」と言っていたそうですね。
政治家部門では、皆さんご存知の中曽根康弘さんですね。
「自分はかねてから脱原発を考えていた」とうそぶく、ニセ軍人の風向きを見失った風見鶏ぶり、と厳しい意見も出ております。

会場:冗談じゃないよ。

土屋:これからまだまだ応募は受け付けております。
応募されてない方は今からでも遅くはありません。
10月20日まで、自薦他薦は問わず色々応募しておりますので、是非応募してください。

松元:ブログもできましたね。
( http://goyotaisyo.exblog.jp/ )

土屋:候補名だけ挙げてる方はなかなか厳しいので、どういう理由か?っていうこともしっかり書いていただければと思います。

松元:このコンテストについては、若干の批判もあったんですが、レイバーネットTVには、こういう企画を待っていました!とか、よくやってくれました!といったような声が寄せられています。
「非常にウィットと諧謔のあるコンテストですね」といったコメントや、「権力を批判するうえで、ユーモアは大事だと思います」、「3.11以降、大手メディアと科学者が平気で嘘をつくことに絶望しました」といった、皆さんからの怒りが感じられるような言葉が伝わってきています。
多くの方々からのご意見お待ちしていますので、是非ブログをチェックしてみてください。

土屋:どんどんね、是非応募してください。
レイバーネットTVでは、これからも大手メディアが報道できないようなニュースをどんどん紹介していきます。
今回の番組、次回のご意見なども何でもいいのでお寄せください。

松元:レイバーネットTVは、皆様からの寄付で運営されています。
「この番組、イイネ」と思われる方、または評価していただける方、または批判でもかまわないので、カンパを寄せてください。
寄付を寄せていただいた方のお名前は、番組の最後のエンドロールに流れます。

土屋:今日も流れますんでね、是非ご覧ください。

松元:少しでも歓迎ですので、多くの皆様からご協力いただけるとうれしいです。
よろしくお願いします。

土屋:木下さんからお知らせがあります。

木下:これは自分の本の宣伝になるので、非常に気恥ずかしくは、別にないんですけども。(笑)
「文化運動の可能性」と題して、討論会をやりたいと思います。
是非来てもらいたいと思います。
9月28日、水曜日、午後7時から午後9時。
場所はスペースたんぽぽ(たんぽぽ舎の入っているビルの4F http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=336 )
水道橋駅から徒歩5分ほどのところですね。
僕は文化欄の中で働いている、映画時評とか川柳とか演劇時評とか、そんなものじゃなくて、文化っていうのは実は闘いの中でしかないんだ、と、それが重要なんだ、と。(拍手)
そのところを皆でもう一度確認するために、ここへ集まって欲しいと思います。
よろしくお願いします。

松元:今回も長い間お付き合いありがとうございました。

土屋:次は9月23日、大阪でやりますね。
私たちキャスターは登場しませんが、歌でお馴染みのジョニーHさんがキャスターで、教育特番と題して「『君が代』で立たないとクビ! 橋下はん あんまりだっせ」というタイトルでやっていこうと思いますので是非こちらもご覧ください。

松元:次回は9月23日です。

土屋・松元:お疲れ様です。
どうもありがとうございます。

今日の感想や次回の希望など、メールでご意見もお寄せください。
メールアドレス:labor-staff@labornetjp.org


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