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〔レイバーネット国際部〕

台湾:「カルフールは残業代を払え」と労働者が怒りの行動
楼乃潔 苦労網特約記者
2011年1月3日

(抄訳)

原文(写真あります)http://www.coolloud.org.tw/node/56592

台湾最大の量販チェーン店のカルフールでは長年にわたって残業代の支払いを回
避し、労働組合を敵視してきた。

1月3日午前10時、カルフール樹林労働組合、自主工聯、台北市産業総工会の
一行が労工委員会(労働省)に対して抗議を行い、法律どおり残業代を支払い、
労働組合役員の解雇撤回および法律どおり組合休暇を与えることなどをカルフー
ルに要求した。桃園県産業総工会、労働党、日航労組、南山生命保険労組、新海
ガス労組、駐車場労組など多数の労働組合役員も支援に駆けつけた。

自主工聯の朱維立事務局長によると、カルフールは中元節や春節などの大切な休
日に関係なく24時間営業を行い、労働者には割増賃金を支払わない。またカル
フールの職員の6割以上が非正規の職員で、仕事内容は正社員と同じにもかかわら
ず、時給95台湾ドル(約270円)で、一カ月働いても1万8000台湾ドル
(約5万円)にしかならない。正社員であれば2万1000台湾ドル(5万90
00円)で休暇や手当、福利厚生などもあるというのに。

カルフール労働組合執行委員の陳明徳によると、カルフールで7年間働いてきた
が、サービス残業による責任制が強制されており、自分や他の同僚も残業代をも
らったことがないという。ひどいときには、特別な祝日にパンを作って各店に提
供する必要から朝8時から翌朝4時まで働かされるケースもあるという。しかし
会社はニセの出勤記録をつくって正社員の場合は一カ月あたり5000〜600
0元、非正規の場合は3000〜4000元もの残業代の支払いを回避している


失業中でありまた「中高年」にあたる陳明徳は、組合休暇を申請して新労働三法
の研修会に参加しようとしたが許可されず、「六日間の無断欠勤」とされ、その
後に上司とのトラブルを理由に解雇された。朱維立は「労組内の業務については
労組自身で決めることができなければならない」と指摘した。現在の組合休暇を
定めた法令には多くの制限があり、使用者側に多大な裁量権を付与している。政
府主催や使用者公認の「上部団体」の活動ではない場合は、一律「無断欠勤」と
見なされることから、形を変えた組合差別だと語気を強める。

朱維立によると、カルフールは「組合に入ったら賃上げも昇格もできない。何も
いいことはない」などと宣伝し、労働者の組織化を妨害しているという。比較的
状況がましなカルフール樹林店労働組合でも、2010年6月1日の結成から現
在まで、組織化されたのは半数にも満たないという。他の店舗では労働組合に参
加する人はさらに少ないという。

カルフール以外でも、昨年は日航や南山生命保険などの労働組合が会社から攻撃
され、労工委員会に対して提訴した。しかし労基法に罰則規定がないことから、
資本の違法な攻撃に対する効果的な制裁ができないでいる。労工委員会もこれが
「法的欠陥」であることを認めている。今年の5月1日から、「組合休暇を付与
しない」使用者には2〜10万台湾ドルの罰金に処す予定になっている。

抗議行動には赤いお面で顔を隠した30人のカルフール職員らも参加した。3〜
4か月分のタイムカード記録を偽造する仕事に携わったというある職員によると
、まる一日かかっても偽造作業が終わらなかったと語った。他の職員は、会社が
有給申請の写しを職員が保管することを禁止していると語った。またある職員は
、朝7時から夜11時のの閉店時間まで勤務して体調を崩したにもかかわらず、
会社は休みをくれなかったと語った。

カルフールは、労基法に則っているので、申請があれば残業代は支払うと回答し
た。これを聞いた多くの人が、残業代を受けとるために別の申請をしなければな
らないなんて聞いたことがないと批判する。

労工委員会労使関係局の劉伝名局長は、台北市労工局の資料によれば去年カルフ
ールの職員から残業代が支払われていないという通報があり、カルフールに対し
て四回の処分を行い、金額も6万台湾ドルという最も厳しいものであったと語っ
た。もし今後も改善が見られないのであれば、新北市に対して調査およびさらな
る処分を勧告するという。組合役員の不当解雇については、新北市労工局は、1
2月21日に最初の調停を行ったが不成立に終わったので、本日午後2時から二
回目の調停を行う予定だという。

抗議行動に参加した職員によると、6万台湾ドルの罰金が課されても自分たちに
残業代が支払われるわけではないという。職員たちは労工委員会に対して、罰金
だけでなく残業代を支払うように会社に圧力をかけてもらいたいと語った。

朱維立は次のように指摘する。カルフールにとって、これまでの未払い残業代に
比べたら(6万台湾ドルの)罰金なんか痛くも痒くもない、カルフールは罰金も
経費として予算にあげているのだから。

ウォルマートに次ぐ世界第二位の小売量販チェーンのカルフールにすれば、行政
による「強制捜査」などは恐れるに足らないということなのだろうか。


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