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声明

洋麺屋五右衛門(日本レストランシステム)が、変形労働時間制の運用において労働基準法違反の事実を認め、東京高等裁判所において勝利和解した件について。

2010年8月24日
首都圏青年ユニオン
同顧問弁護団

2010年8月24日、東京高等裁判所における控訴審において、当労組組合員と日本レストランシステムとの間で以下の要約内容で和解が成立した。
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1 控訴人は被控訴人に対し、本件第一審判決が認定した労働基準法違反の事実を認め、原判決に従い未払残業代等の合計金14万4351円を本年4月15日に支払い、被控訴人はそれを受領した。

2 被控訴人は、その余の請求を放棄する。
3 控訴人は、本件控訴を取り下げ、被控訴人はこれに同意する。

4 控訴人は、被控訴人に対し、本件第一審判決が認定したとおり控訴人が採用していた変形労働時間制が違法であることを認め、それについて遺憾の意を表し、控訴人は、今後、変形労働時間制の運用等を行う場合は労働基準法を遵守して変形労働時間制が違法に運用されることがないように留意するとともに、同法が定める労働者の権利の実現に努めることを誓約する。

5 控訴人と被控訴人の間には、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

6 訴訟費用は、各自が負担する。

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本和解は、第1審判決において認定されたとおり、被控訴人須藤武史(首都圏青年ユニオン組合員)が日本レストランシステム株式会社の経営するスパゲティーチェーン「洋麺屋五右衛門」に勤務中の変形労働時間制の運用に労働基準法違反の事実があったこと等を理由に提訴した件について、控訴人日本レストランシステムが全面的に変形労働時間制の運用の違法性、労働基準法違反の実態を認めたものであり、首都圏青年ユニオンと首都圏青年ユニオン顧問弁護団は、全面的な勝利和解として評価するものである。

変形労働時間制は、あくまでも労働基準法の労働時間規制の例外的制度であって、その運用は違法にならないよう慎重になされるべきである。にもかかわらず、日本レストランシステム株式会社は、変形労働時間制の違法な運用に固執し、首都圏青年ユニオンとの団体交渉の場においても「違法の認識がない」との回答を繰り返し、その後、渋谷労働基準監督署からの是正指導がなされた後も適法な処理を怠ったことは重大である。本和解において、日本レストランシステム株式会社が、その誤りを全面的に認めたことの意味は大きい。

 そもそも、変形労働時間制は、労働時間がシフトの変動などにより変動する、時給で働くアルバイト従業員などについての運用はなされるべきではない。このようなことが許されるならば、事実上、変形労働時間制を悪用して、時間外労働賃金の未払いを違法ではないものと偽装することが可能となってしまう。これは、低賃金で働くアルバイト・パート従業員に支払われるべき賃金を少なくすることになるだけではなく、長時間労働を助長することにもなりかねない。日本レストランシステム株式会社は、首都圏青年ユニオンが団体交渉開催時から要求してきたように、ただちに変形労働時間制の運用を廃止すべきである。

 また、本和解を通じて、われわれは変形労働時間制の運用について社会的に問題提起をしていくものである。
厚生労働省の発表によると、2009年における30人以上の事業所の49.5%は変形労働時間制を導入している。ほんとうに変形労働時間制を導入するような事業種別なのかどうかも不明な企業・事業所が変形労働時間制を導入していることが予想される。実は、膨大な数の労働者が変形労働時間制の下で長時間労働を強いられ、違法な賃金未払いが発生している可能性がある。

そして、変形労働時間制の下で最大の被害を被っているのは、ワーキング・プアとも呼ばれる多くのパート労働者・アルバイト労働者である。ただでさえ、低賃金で働かされているパート労働者・アルバイト労働者が変形労働時間制を口実に残業代を少なくしか払われないとするならば、それは貧困をさらに拡大するものであり断じて許されるべきものではない。

私たちは、変形労働時間制の違法な運用をおこなう企業に対して徹底して許さずにたたかうことをここに表明するとともに、変形労働時間制をパート従業員・アルバイト従業員に対して安易に適用する企業に対しても、その運用の廃止を求めるためにたたかうことをここに表明する。


Created by kawazoe. Last modified on 2010-08-24 21:02:11 Copyright: Default

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