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すごい!戦前の労働運動漫画

 不敵に素敵なアジ太プロ吉

12月のレイバーフェスタで鶴彬の川柳をまとめた本を購入した。 その中に「プロ吉やアヂ太の漫画たのしむ児」という川柳があり、漫画を描いている私は、ハテどんな漫画なのだろうかと気になった。プロ吉?アヂ太!? なんだかすごい名前だな。

年が明けて、図書館でプロ吉アヂ太を閲覧することができた。正式には「アジ太プロ吉」というタイトルで、昭和初期の『無産者新聞』に掲載されていた四コマ漫画である。

「アジ太プロ吉」という名前もさることながらその内容も直球で、アジ太もプロ吉もバリバリの活動家。ビラを刷るわ、街頭に貼り出すわ、アジるわデモるわ…。木下武男さんの著書『格差社会にいどむユニオン』に、イギリスの労働者の気風として「やつらと俺たち」という階級意識があると書いてあったが、アジ太プロ吉を見て いると当時の日本の労働者もそういう意識が強かったのだろうかと思われる。

ストーリーは、四コマなのにオチがなく、ただダラダラとゴリゴリな状態が垂れ流される。起承転結ではなく、起承承承といった感じ。タイトルはなぜかよく変わり、「アジ太君とプロ吉君」だったり「われらのプロ吉」だったり「左翼劇場」だったりする。

「アジ太プロ吉」「左翼劇場」なんて今の時代にはギャグのようにしか聞こえないかもしれないけれど、労働運動や左翼運動を命がけで闘っていた当時はもちろんウケを狙っていたわけではない。オチ無し笑い無しなので四コマ漫画としてはどうなんだ? と思わなくもないけれど、その突き抜けた直球ぶりの背後にあるものを考えると、胸締め付けられずにはいられない。

アジ太とプロ吉の背後には獄中につながれた同志がいて、日本に痛めつけられている朝鮮や中国の仲間がいるのだから。そしてこの何年かのちに『無産者新聞』は発禁処分をうけ、アジ太プロ吉もいなくなるのだから。

↓警官の背中にもビラを貼ってしまうアジ太とプロ吉。「ウハハハ」と不敵に笑う。

↓これは、ややオチ有りか?

1コマ目
「入営による解雇反対」のノボリをもつアジ太。いわく「俺も明日から二等卒か。チェッ!」と。隣ではプロ吉が「入営期間を一年にしろ」「帝国主義戦争絶対反対」のノボリを描いている。

2コマ目
労働者たちがノボリをかかげて向かう先は…?

3コマ目
入営する若者に「皆さんは国の為、家の為、忠良なる一兵卒として…」と訓示を垂れるエラい人。紋付袴の若者たちの後ろには「祝 山田作治君 入営」のノボリ。その横を労働者たちが行進して行く。

4コマ目
労働者たちは「送 歩兵二等卒 アジ太君」「帝国主義戦争反対」のノボリをかかげ、「軍国反対」のチラシをまきながら、第三連隊の兵営に向かってデモ行進。第三連隊の歩哨が「コラー!貴様ら!」と言わんばかりに駆け出してくる。あれ?もしかして先ほどの紋付袴の若者達も、デモ行進に参加しているように見えるが…??

↓入営解雇反対闘争について、無産者新聞の記事。
 鶴彬が軍隊内で反戦活動をしたという話を聞き、どうしてそんなすごいことができたのだろうと不思議だったが、こういったバックボーンに支えられていたのだとわかった。

無産者新聞の記事より抜粋 (旧字体、旧仮名遣いは修正)

階級意識を叩き込んで入営兵士を送れ
解雇反対 家族の生活を保証しろ
帝国主義戦争絶対反対

 一月十日は入営日だ。幾万の若い兄弟達が工場から農村から軍隊にもぎ取られて行く。そこで彼等は切迫せる帝国主義戦争に於いて資本家地主の利益のために自分たちの兄弟を××し合うための訓練を強制されようとしているのだ。
 兵卒の殆ど全部は農民の子弟 労働者の子弟であり、家族は働き手を奪われて明日から食うに困らなければならない。おまけに労働者は入営すれば解雇されるにきまっているのだ。
 ブルジョアの息子共は「祖国のため、××のためだ」とバカ騒ぎをやって軍隊に送り出すが、俺達労働者農民は自分等の兄弟に確り(しっかり)した階級意識を与えて、俺達の戦士として軍隊に送り出さなければならない。
 農村でも向上でも、入営する青年労働者農民のために懇談会、茶話会等を開いて、軍隊とはどんな所か、帝国主義戦争とはどんなものか、俺達は軍隊に何のために入らなければならないのかを話し合ってしっかりと階級意識をたたきこみ、又入営によって解雇されようとする兄弟達のために従業員大会、職場大会を開いてこう要求しよう!

 除隊兵を即時復職させろ!入営による解雇反対!
 入営兵士家族の生活を保証しろ!兵卒の待遇を改善しろ!
 入営期間を一年にしろ!在郷軍人会強制加入反対、軍国主義反対だ!
 帝国主義戦争絶対反対だ!

↓侵略戦争反対を訴える無産者新聞のカット。労働者として国内問題にとどまらず、インターナショナルな視点に貫ぬかれている。
 「これはヤツらの戦争だ」という言葉を思い出した。(※2004年スペインのマドリードで列車同時爆破事件が起こった時、市民たちがイラク戦争反対デモをした時の合言葉)

無産者新聞の記事より抜粋 (旧字体、旧仮名遣いは修正)

労働者農民は対支出兵に反対だ!
厖大な戦費の背負い込みと
日支兄弟の相殺は御免蒙る

在留邦人保護は全くのゴマかしだ!出兵の第一の理由は火事泥だ! どさくさまぎれに大資本家のため山東の地により尨大な利権をふんだくろうというのだ。

↓闘争ニュース用プロレタリアカット漫画集の表紙(1930年 戦旗社発行)

3・1独立運動への連帯を表しているカット。

↓傷つくのは兵卒。車に乗って景気いいのは資本家。

↓通信労働用カット。ダラ幹をやっつけろ!勤務時間を短縮しろ!

↓白色テロ闘争用カット。

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壱 花花
http://18787.main.jp
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