本文の先頭へ
LNJ Logo 帰還兵の証言―アメリカと同盟軍はイラク・アフガン侵略を即時止めよ
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item wstokyo
Status: published
View


「冬の兵士」全国ツアーは9月16日の参議院院内集会から始り、沖縄、大阪、京都、名古屋など全国を回って23日の東京集会は最後のプログラムだった。ちょうど日本の政権交代の時期と重なり、新しい民主党政権がアメリカの軍事外交路線にどのような対応をするのか注目の時期であった。すでにアメリカはアフガン、イラクと戦争を拡大してきたブッシュ政権が1月にオバマ政権に変わり、大転換を期待する人々が多い。「冬の兵士」たち=イラク・アフガン反戦帰還兵の会のアメリカにおける闘いが注目された。昨年3月の冬の兵士・証言集会のドキュメント映画(田保寿一監督)がDVDで全国に広まっている。今回の全国ツアーは日本国内の反戦運動に大きなインパクトを与えるものであった。

イラク・アフガン反戦帰還兵の2人
イラク・アフガン反戦帰還兵の2人が熱く語った

 東京集会は予想通り300人の会場が満員の大盛況であった。アダム・コケッシュさん(27歳)とリック・レイズさん(29歳)はチラシの写真通り若い精悍な青年であった。しかし、しっかりと自分の経験と考えを明確に語った。イラクやアフガンでの戦争の最先端でアメリカ兵=侵略軍として現地の民衆を虐待・搾取・虐殺した経験を痛恨の反省を込めて話した。そして、会場からの止むことのない質問に即座に明快な解答を行った。彼らが強調したのは、イラクやアフガンでアメリカや同盟国軍が行っている戦争は侵略であり、即刻外国軍が撤退すべきだという強いメッセージであった。

 以下、二人の発言の要約を掲載します。

アダム・コケッシュさん
アダム・コケッシュさん
 

アダム・コケッシュさん

 私は2001年の9.11事件の時は大学生だった。政府のイラク戦争、アフガン戦争に反対で、2003年の2月の反戦集会にも参加した。世界的な反戦運動の広がりはブッシュの戦争拡大を阻止できなかった。
 政府は国民を騙す嘘の伝統をを持っている。イラク戦争は2005年5月、「戦争の使命は達成された」と発表されたが、占領が続けられ、搾取が続いた。戦争は搾取のための土台作りにすぎなかった。
 私は政府の「復興支援」を信じて志願して海兵隊に入隊したが、2004年2月から9月のファルージャ占領に参加して、幻滅した。現地の人々を助けるために派遣されたのに外出は砲兵隊の後ろに就いてしかできなかった。「何のために居るのか?」悩んだ。政府も軍も国民全部が誰も考える必要がない。自分たちは「あなたのお悩みを代行します」という存在だった。上部はただうわべを取り繕うだけである。
 ファルージャを占領したのは100人のクルド人を救うためだとされたが、市内には25万人のイラク人が封鎖され、子供と女性が脱出=家族の分裂を強制した。その後に市内爆撃し、5000名を虐殺した。夜間外出禁止令の下で動くものはすべて海兵隊の銃撃の対象になった。兵士が守るべき「交戦規定」が次々変わり、無きに等しかった。子供が不発弾を拾って直後に爆発するのを目撃した。負傷した味方を病院に運んだが、「内出血」ですぐ死んだ。内出血はアメリカの現状を象徴している。政治家も軍人も他も互いに他を非難する。そういう互いの役割がルールとなっている。
 イラクの人々は「普通の社会」の復興を望んでいる。しかし、米軍とイラク政府が戒厳令で人民を抑圧する。アメリカ政府、軍、NATOが戦場で行っているのは、窃盗と搾取と虐殺だ。彼らは犯罪を行い、イラク人を黙らせている。
 アメリカの対外政策は第2次大戦時の日本が行ったのと同じ帝国主義政策だ。アメリカはそれをより巧みに行っているにすぎない。私は日本で憲法9条を守ろうとしている人たちと同じ意見だ。現状は9条は守られていない。皆さん、どうかアメリカの対外政策に反対してください。イラクとアフガンの人々を助けようとする日本人を知っています。日本はアメリカの道具にならないでほしい。戦争のコストについて語る元日本兵と話しました。私たちは不正義な戦争を止める責任があります。
 元海兵隊のスメドリー・バトラーは「戦争はぼろもうけ」という本を書いています。一握りのぼろもうけの連中のために大きな犠牲が払わせられているのです。オバマ民主党政権も対外政策を変えていません。アメリカの反戦運動は下火になっていますが、日本の運動の高揚に強く期待しています。

リック・レイズさん
リック・レイズさん  

リック・レイズさん

 私は自由、正義、国家を理想とし、海兵隊はそのために良い仕事をしていると考えて志願して入隊しました。2001年、オーストラリアの基地のクラブで9.11事件を知らされ、翌朝にはインド洋に向かう軍艦に乗っていました。私たちはタワーの犠牲者3000人余の死者の犯人探しのためにアフガンに派遣されました。10月7日、米軍はアフガニスタンの31都市を爆撃し、5000人以上のアフガニスタンの人々を殺しました。しかし、犯人は捕まりませんでした。2001年11月、トラボラ山脈でオサマ・ビン・ラディンを追跡していましたが、パキスタン国境地帯で米軍は突然のように撤退し、追跡をパキスタン軍に任せました。米軍はイラクに移動したのです。
 私たちは幻滅しました。反政府の声は政府に届きませんでした。2001年はアフガンで、2003年はイラクで私は歩兵としてライフルを担いました。しかし、どこにもテロリストは発見できませんでした。国民の利益、国の安全を追求するというアメリカの対外政策は嘘で一部の人たちの欲望と利権を追及していたのです。
 現地で私たちは通訳(情報提供者)の指示で家宅捜索や攻撃を行いました。その結果、すべてを破壊するという良心にもとる暴力行為を繰り返しました。しかし、情報はでたらめで、情報は通訳の金儲けに過ぎませんでした。われわれはイスラム教徒はすべて敵だというパラノイアに捉われました。私たちは犯罪者と出会うことなく、アメリカ外交は効果ありませんでした。
 最近に除隊後初めて民間人として再びアフガンを訪問しました。地域復興チーム(PRT)の現地調査のためでした。カブールの難民キャンプを訪れ、700人の犠牲者を出した村民に話を聞きました。ある家族は爆撃で5人が死亡、一人の子供が腕を失う負傷をしました。アメリカはアフガン戦争で1日1億ドルを使っています。その金が人々に配られれば、彼らは飢えることはないのです。
 あるアフガンのジャーナリスト・グループは政府の汚職、麻薬、暴力を暴露したとして弾圧を受けています。マラライ・ジョリーというたいへん立派な女性政治家は5回も暗殺未遂にあい、現在亡命を余儀なくされています。真実を語ったことで大統領や政府高官の地位防衛を危うくし、最大の敵とされたのです。政府やアメリカ外交の真の敵は、タリバンではなく、人々のために政府・アメリカ軍と闘う人たちです。
 アメリカ人のためにも反占領が重要です。アフガンの人権擁護や日本人のために憲法9条を支持します。アメリカ政府を支持することはイラクやアフガン人民の抑圧を支持することになります。アメリカは無辜の市民をテロリストに変えています。アメリカは自分が非難する悪をになっているのです。

満員の聴衆が最後まで熱心に耳を傾けた
満員の聴衆が2人の証言に最後まで熱心に耳を傾けた

 この後、高遠奈緒子さんのお話と質疑が続きますが、省略します。

 <文責・写真 報道部MT>


Created by takaheims. Last modified on 2009-09-24 15:22:29 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について