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LNJ Logo 写真速報 : 表現の自由を奪う悪法!都の安心条例改悪反対デモ
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「生きることが迷惑なのか」―東京都安心安全条例改悪反対!
  「不審者」たちがにぎやかにデモ

3月22日、都議会が審議中の「安心・安全まちづくり条例」に反対するデモ行進が行なわれた。泣き出しそうな空の下、新宿・歌舞伎町の大久保公園に集まった参加者は、住民に「迷惑」と感じさせるだけで規制、取締りの対象になる改悪都条例の恐ろしさを、にぎやかな演出で沿道の人々に訴えた。

■言論、表現の自由を奪う悪法だ

開会中の都議会に提案されている都の「安全・安心まちづくり条例」改悪案が、18日に開かれた総務委員会において、賛成多数で可決された。このまま進めば、27日に開かれる本会議で可決成立、4月1日から施行されることになる。

改悪の中身は、繁華街への来訪者を含む事業者、住民らに対し、「繁華街等の安全・安心を確保するために必要な措置を講ずる」努力義務を課すもの。現行の条例に「繁華街等における安全・安心の確保」の一章が追加される。

繁華街ごとに、住民・事業者・警察などで構成する「協議会」が「指針」を作成。何を規制するかが一方的に決められる。「街頭や歩行者天国におけるパフォーマンスなどの迷惑行為、街の秩序を乱す行為」が、取り締まりの対象となる。

■27日までに抗議を

午後4時半。大久保公園に集まった人々は、思い思いにプラカードを作り始める。周囲には参加者の数倍の数の私服警官が待機。デモ主催者から一枚のコピーが配られた。都議会議員2名の連絡先と、今回の改悪条例の問題点が刷られている。

「みなさん一人ひとりに、2名ずつ都議の名前が書いてあります。それがみなさんの担当議員で、27日の本会議までにロビー活動をしてください。一人でも多く反対票を投じるよう訴えてください」。

私が受け取ったコピーには、なんとあの「土屋たかゆき」の名前があった。

公園を出発したパレードは、歌舞伎町を抜け、靖国通りを横断。紀伊国屋横から新宿通りを渡り、新宿駅東口へ出て、アルタ前へ。途中、公安警察の介入が何度かあったが、仲間たちが毅然とはね返した。

街の「安全・安心」を大義名分に、「迷惑」というきわめて主観的、自己中心的な感情で、気に入らない人間を取り締まろうとする今回の改悪案。規制の対象になるのは、人々が輪になって集い楽しむ大道芸やダンスではなく、自由な雰囲気で共感を集めているサウンドデモや仮装デモ。そして労働組合の情宣、署名集めなど、意識的な市民の当然の権利行使だろう。すでに、野宿者がぎりぎりで命をつなぐための炊き出しですら、「近所迷惑だ」として中止に追い込まれている。「公共の福祉」の名の下で横行しているのは、人権人道を無視した、弱者・異端者の排除・抹殺なのである。

■今こそ「不審者」らしく

警察が前面に出て、強権的に言論・表現の自由に弾圧を加えるのではない。そうではなくて、権力は裏で糸を引きながら、住民同士の不安感や不信感を煽り、相互監視させ、密告を奨励する。野宿者や路上生活者、外国人を「不審者」「犯罪者」と決めつけて、検挙の対象とする。企業や社会に対し、言論を通じて異議を唱える行為を根こそぎにする。今回の策動は、そんな意図がありありと見える戦前、戦中並みの恐ろしい治安対策だ。憲法が保障する言論、思想信条、表現の自由を奪い、暗黒社会を先取りする、とんでもない悪法だ。

「生きることは食べること」――お腹が空いた人のために、野菜をつまめるフードワゴンも登場した。「みなさん、今日はいかにも『不審者』らしく振る舞いましょう」――痛烈な呼びかけに、にぎやかに楽器をうち鳴らし、雨の繁華街を練り歩いた。

地元の人々は興味深くパフォーマンスを眺め、「迷惑」どころか、むしろ穏やかで好意的な視線を送り、参加者を見守っていた。(写真と文/Y)


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