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LNJ Logo AMRC会議報告(安田幸弘)〜バンコクでアジアの活動家と交流
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安田です。

9-11日までの日程で、バンコクで開かれたAMRC(アジアモニターリソースセン
ター)のコンファレンスに参加してきました。
メインのテーマは、未曾有の金融危機の中での労働運動の問題と展望、みたいな
感じで、金融危機は資本家には危機かもしれないが、労働者にはチャンスになり
得る、この危機をチャンスにしよう、というものです。西はインド・パキスタン
から東は日本までの15か国から約40人ほどの活動家が参加していました。
参加者の中ではアルゼンチンからの参加者の報告はなかなか興味深いものでし
た。10年前のアルゼンチン金融危機の時にあった工場占拠・自主生産の取り組み
や、インフォーマルセクターの対応などの報告で、内容的にはすでに日本でもよ
く知られているような内容ではあるのですが、実際にそうした取り組みの中にい
た人から直接話を聞く機会はあまりないので新鮮でした。ちなみに「今夜、列車
は走る」についても聞いてみたのですが、「???」でした。ぼくのブロークンイ
ングリッシュのせいか、彼のブロークンイングリッシュのせいか(南米の人は日
本人と同じぐらい英語がダメです)、あるいは彼が知らなかっただけなのか...
しかし「The Take」は、当然ながらよく知っていて、「ああ、あれはとてもいい
映画だ」と、しばらくThe Take関連の話題でその場にいた各国の活動家と盛り上
がっていました。やはり必見の映画だと思います。
また、もうひとつ注目すべき参加者に中国からの参加者がいました。特別にチャ
イナ・セッションの時間が設けられ、なかなか得ることができない中国本土の労
働運動や社会運動の取り組みや現状の報告などがありました。香港や台湾、海外
に在住する中国人などからの話を聞く機会はよくあるのですが、ぼく自身、中国
語しか話さない中国本土の活動家と会ったのは初めてです。
中国は完全に資本主義になってしまったとか、中国の労組は外から見れば一枚岩
に見えるかもしれないが実際はかなりばらけているとか、都市には小規模な労働
運動や社会運動のグループがあって、主に天安門事件の頃の民主化運動をしてい
た人などがそうした運動を担っているとか、メディアの統制は厳しいとか、そん
なような話がありました。
ちなみにフィリピントヨタのエドさんも参加者のひとりで、最終日にフィリピン
トヨタの闘争についてのアピールをしていました。

メインのテーマについては、どこもやはり同じで、経済危機で特に非正規職やイ
ンフォーマルセクターが大きな打撃を受けているという話が中心でした。結論と
いうような結論はないのですが、新自由主義は完全に破綻した、適切な規制が必
要だ、などなど。特に非正規やインフォーマルセクターで働く人々は労働者とい
う自覚が薄かったり、まったくなかったりするので、労働者意識を持たせること
が重要だということ、正規職・非正規職・フォーマル・インフォーマルの区別
は、完全に人為的なものであり、乱暴にまとめると「階級意識」を持って労働者
は団結しよう、みたいな部分での共感がありました。もちろん、古き良きマルク
ス主義的な団結というような話ではなく、正規・非正規などの区別は資本による
労働管理の便法であって、それは打ち破らなければいけない、そのために「階級
意識」的な自覚が必要だという話ではありますが、運動的には重要な部分だと思
います。
最後のまとめでは、グローバルに広がる攻撃と危機をチャンスに変えるために、
ウェブサイトを作ろう、という、よくある話で終わりました。後で「で、具体的
にどう作るの?」と聞いたら「ノーアイデア」。そんなもんです。
実際、AMRCではウェブサイトの管理、特にデータベース接続で苦労しているとの
ことで、レイバーネット技術部として協力できる部分は協力すると言っておきま
した。

ところで実はバンコクは行ったことがなかったのですが、なかなか面白いところ
でした。
ぼくが出国した8日の早朝は、とても寒くて、モコモコと着込んでいたのです
が、飛行機を降りると完全に真夏の世界。
外国の空港ではよくあることですがタクシーに乗るとまず料金で揉めます。空港
のパブリックタクシーは比較的安心と聞いていたのですが、ぼくが乗ったタク
シーは何だかあやしい運転手で、メーターを倒そうとしないので出発からひとし
きり「メーターを使え」「いや、500バーツだ」、「ダメだ」、「しかしスタン
ド使用料や高速代がかかる」、「それは別に払うからメーターを使え」...で、
結局メーターを使わせて、350バーツぐらいの支払いで済みました。やれやれ。
チェックインの場所を間違えて(というかドキュメントの場所と違っていて)、
ちょっとあわてましたが、まあこの種の会議ではよくあること、何とか正しい場
所にたどりつき、チェックイン。その日は何もなく、みんなで近くで夕食を食
べ、ビールを飲んで寝ることができました。宿泊場所は学生の寮のようなところ
でしたが、エアコンも入っていてシャワーも湯が出るのでまあ快適な方でした。
しかし、なにしろ前日はほとんど眠っていなかったので、翌朝起きたらすでに9
時半。会議は9時から始まるのに。
あわてて用意をしたのですが、肝心な会議の場所を聞いていなかった... 心当
たりを探したらすぐみつかりましたが。
その夜は豪華なタイ料理店で本格タイ料理。おいしかったです。

この手の会議では、会議のメインセッションもさることながら、コーヒーブレー
クやセッション終了後のビールセッションが重要です。セッションの補足や質
疑、感想や関連情報の交換をはじめ、いろんな話で盛り上がる楽しい時間です。
ぼくは主にスモーカーがかたまっている隅っこで10人ほどのスモーカーとコー
ヒーブレークの時間を過ごしていました。なお、タイでは公共の密閉された空間
(エアコンが入っている場所)では全面禁煙で、スモーカーの数もあまり多くあり
ません。会議場にも喫煙場所のようなものはなかったのですが、アルゼンチンの
参加者をはじめとするスモーカーの一群がベランダの一角(本来ここも禁煙なん
ですが)を占拠して喫煙場所にしてしまいました。

航空券の手配が遅れて、適当な安い便が取れず、ぼくは会議の日程が終了した
後、2日間の完全な自由時間があり、1日はバンコクの観光地をぶらぶら歩き、2
日目は安いホテルが取れなかったので主催者のAMRCのアヌープの自宅に泊めても
らい、夜は近くのジャズクラブ、翌日はバンコク近郊の歴史村みたいなところに
連れて行ってもらいました。
市内の観光は、有名な涅槃仏とか、エメラルドの仏像といったつまんないものを
見て、川沿いのダウンタウンを歩いて屋台をひやかし、路上の「インフォーマル
セクター労働者(?)」の活動を見物。あちこちに溢れかえる仏像と国王の写真が
タイっぽかったです。
話には聞いていましたが、街には日本企業の看板があちこちにあり、車はほとん
どがトヨタとホンダ、トラックはイスズ、バイクはホンダとヤマハ。アジアでは
韓国車が増えていますが、タイではほとんど見かけませんでした。
2日目の歴史村見物では、アヌープからいろいろと面白い話を聞きました。
タイの人は、労働運動の活動家でも国王についてはムニャムニャ言うのですが、
アヌープはインド人なのでそのへんはスッキリしていて、「統治のために国王の
イメージを使ってるだけさ」とのこと。日本も明治維新以来、「天皇」を使って
いろいろなイメージ作りや偽の伝統を作ってきましたが、タイも同じ、という
か、日本の天皇制を使った近代化を学んだようです。ありがたそうで、ナショナ
リズムを掻き立てる国王のイメージは、国家の統合に都合がいいんですね。タイ
の最高の国宝とされているエメラルド・ブッダも、本当はラオスのものだとか。
タイの社会では日本企業はいい好印象を持たれているというのは事実らしいです
が、当然、アンチグローバリゼーションの活動家にしてみれば、日本だろうがア
メリカだろうが、外国の資本がタイの富を食い物にしているという認識は共通し
ています。トヨタやホンダのような大企業は、組合はあるそうですが、イエロー
ユニオンと言っていいような存在で、ほとんど会社の利益を代弁しているような
ものだとも。
コーヒーブレークのときに、日本企業と韓国企業の話になって、アジアではどこ
でも日本企業ではストライキが少なく、韓国企業ではストライキが多いんだと
か。日本企業の労働条件が良いのか、労務管理が徹底していて組合が弱いのかと
聞いたら、「両方だ」との答え。労働条件がいいと言っても、もちろん、「比較
的」です。
バンコクには日本をはじめ多くのビジネスマンが在住していると同時に、タイは
さまざまな国と国境を接しているため、移住労働者も少なくありません。イン
ド、カンボジア、ベトナム、ラオス、バングラデシュなどの海外からの移住労働
者、北部からの国内移住労働者もいます。そのため、街はとてもインターナショ
ナルです。レストランは、中国料理、日本料理、インド料理の店から、もちろん
スターバックスやマクドナルドまで。街を歩いていて聞こえてくる言語もさまざ
ま。看板はタイの文字に加え、英文表記も多いので、旅行者でも何とかなります
が、日本や韓国と同じように英語はほとんど通じません。屋台のコミュニケー
ションはもっぱらボディランゲージですが、参加者の一人が屋台のおばさん相手
に「ライスを追加してほしい」と伝えようとして散々苦労してました。結局彼は
追加のライスにはありつけず、肉まんみたいなものを買って食べてました。

この他にもいろいろな話はありますが、書ききれません。何かの機会があればそ
のときに詳しく話します。

Created by staff01. Last modified on 2009-03-15 23:50:18 Copyright: Default

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