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2009-2-22 愛知派遣切り抗議大集会 報告

 

名古屋市中村区社会福祉事務所での住居のない人の相談状況から考える

                         2009-2-15           藤井克彦

名古屋生活保障支援実行委員会(仮))

 

 

1.1月5日以降連日住居のない人が100人前後相談

(1)相談者数

 ・ 5日から30日の19日間の延べ相談者総数は、1,922人。一日平均101.2人(最大131人、最少69人)。この数は、084月〜12月の平均26.6人の約4倍、直近月の12月の平均38.4人の約2.6倍である。

 ・ 22日〜12日も一日平均95.3人(最大111人。最少77人)で、高水準となっている。

(2)新来者数

 ・ このうち新来者は、1月は536人(相談者数の27.9%)で、一日平均28.2人である。

最大は68人(無料宿泊所が終了した日の17日。相談者数の56.2%)、最少は12人(129日。相談者数の17.3%)である。

 ・ 22日〜12日も合計184人で、一日平均23.0人となる。

 

2.住居を失った際にいた地域(113日と16日の場合)

 ・113日と16日の場合は、次のようになる(名古屋市のまとめ)

 ・相談者の約45%が名古屋市内、過半数(55)は名古屋市外からの流入者である。

 ・両日の平均では、名古屋以外の愛知県内が約25.%、愛知県外が約30%。

 ・「派遣切り」のために住居を失い相談に来ている人は37%で、その内76%が市外からの人である。

 ・なお、081215日〜19日の調査では、市外からの流入は38%であった。

区分

住居を失った際に居た場所

合計(人)

名古屋市内

愛知県内

県外

1月

53

21

35

109

48.6%

19.3%

32.1%

100.0%

13日

派遣切り

その他

派遣切り

その他

派遣切り

その他

派遣切り

その他

9

44

9

12

20

15

38

71

1月

33

25

22

80

41.3%

31.3%

27.5%

100.0%

16日

派遣切り

その他

派遣切り

その他

派遣切り

その他

派遣切り

その他

8

25

13

12

11

11

32

48

 

3.名古屋市及び中村福祉事務所の対応状況

(1)相談者に対する一般的対応

  ・相談者数は、名古屋市の予想を超えた多さであったといえるであろう。

  ・相談者の希望などによるが、大きく分けると生活保護の適用か、自立支援施策の活用となる。

  ・生活保護の適用は、入院、生活保護施設への入所、あるいは居宅保護などとなるが、入院は別としても申請後の14日以内の審査期間があり、その間一時保護所か緊急宿泊援護施設(緊泊)などでの宿泊となる。

  ・自立支援センターも、すぐに入所ではなく一時保護所かシェルター入所が前提となる。

  ・ところが、1月段階では一時保護所は満杯で待機者が多数いる(次頁表参照)。

1月5日の段階で早くも施設関係はほとんど満杯となったので、時限的かつ臨時的な緊泊を新たに確保しつつ、私たちが主張し要請してきたように、あとは居宅生活が可能な人を居宅に移行させる(居宅保護の適用など)しかないのである。

・それでも追いつかないから、直ちに入居できる住居提供の申し出が民間からあったので、それを活用することとなる。

・そして大雑把に言えば、新規相談者数と各施設・寮から居宅への移行数の、どちらが多いかによって、相談者全員の受け入れが可能かどうかという問題になるのである。

(2)1月5日のみ、緊急にカプセルホテルを提供。

15日の(予想外の多数の)相談者に対して、ホームレス関連施設(生活保護施設、自立支援施設及びその他の法外援護施設。別表参照)への入所をはかったが、13人受け入れができず、カプセルホテルを提供。

(3)時限的に臨時的緊急宿泊施設を設置(寮を借り上げ)

 ・ 16日も上記諸施設では受け入れできず、名古屋市は臨時措置(臨時的緊急宿泊施設)として元民間社員寮を限定的に借り上げて相談者に提供(一部屋に二人)。

入所は9日までとし、9日までに74人が入った(その後は新規には入所させていない)。

・ 212日現在、7人の入所者が残っている。

(4)1月13日と14日は、宿泊紹介されなかった相談者が多数でる

  ・ 113日は、30人の相談者が、「施設や緊泊は一杯であり、宿泊紹介ができない」として宿泊を拒否された。14日も15人の相談者が宿泊を拒否された。

・ 私たちは、寒空の下での野宿を黙認できず、抗議の意も込めて、最後まで残った相談者とともにNM区役所の2階に宿泊した。

なお、私たちとコンタクトできず野宿となった人もいることを、後から知った。

(5)申し出があった緊急住宅提供を受けての対応

   こうした事態の時にNM福祉事務所に、元社員寮などを利用した食事つきの住宅(個室。保証人不要。頭金不要)の提供がいくつかあり、NM福祉事務所は希望した相談者を入居させることとした。事実上生活保護適用し、期間の間にアパート等への入居をすることが前提である。家賃は、いずれも基準内の38,500円。

その取り扱いは、次のようである。

  ・A・A寮(A区):115日より。入居から最長6ヶ月。中村福祉事務所が実施機関。

  ・A寮(MM区)120日より。入居から2ヶ月暫定。実施機関はMM区福祉事務所。

・M・T寮(MM区)120日より。入居から2ヶ月暫定。実施機関は中村区福祉事務所。

  ・O寮(MD区):128日より。入居から2ヶ月暫定。実施機関はMD区福祉事務所。

        ただし、26日からの入所者については、中村福祉事務所が実施機関。

 

4.入所・入居状況(1月末現在)

(1)ホームレス関連施設への入所状況(次表。1月31日現在)

  ・入所予定者や面接予定者を考慮すると、各施設とも定員を超過した状況という。

 

注:緊急宿泊援護施設は、民間の簡易旅館等を借り上げて実施する名古屋市単費事業。

  実績払いのため定員はないが、現実には空き部屋をすべて使用している状況。

 

区分

定員

入所者数

入所可能数

入所面接予定者

シェルター

200

178

22

15

一時保護所

50

46

4

64

自立支援事業あつた

 

92

83

9

7

同上なかむら

 

72

60

12

4

更生施設植田寮

112

100

12

20

更生施設B

笹島寮

60

58

2

4

宿所提供施設

 

27

26

1

5

緊急宿泊援護事業

 

-

122

-

合計

-

673

62

119

 

(2)緊急住宅等への入居状況及び転宅状況(1月末現在)

  ・A・A寮:28人。・A寮:45人。・M・T寮:15人。・O寮:16人。合計104人。

  (現在までにアパートへの入居が認められた人は、100人を超えるであろう。)

 

5.なにが起こり、どのような問題・課題があるのか。

(1)名古屋市の準備不足

・ 名古屋市が事態の深刻さを十分踏まえた準備をしてこなかったので、多数の相談者を受け入れる態勢が整わないままに新年を迎えることにより、あわてて対応をせねばならなかった(1/5当日夕方以降に急遽カプセルホテルの確保、など)。そして、13日と14日は、30人と15人が宿泊を断られ、一部は野宿とならざるを得なかった。

(2)中村福祉事務所職員の疲労蓄積

・ 名古屋市本庁からや、各福祉事務所からの応援が派遣されているが、中心は中村福祉事務所の職員であり、業務が連日深夜まで及ぶため、職員の疲労がたまり、健康管理が課題になっているという状況である。

  ・ なお、相談者がどんどんアパートに入っていく中で、居宅保護の担当職員の受け持つ被保護者が多くなり、業務の増加にどう対応できるのかと言う問題もある。

(3)名古屋市外からの相談者が多い

・ 5割(以上)が名古屋市外からの相談者であり、名古屋市外の各自治体も対応する必要があることは明らかである。

(4)連日100人前後の相談者という状況は、異常である

・ いずれにせよ、一福祉事務所に連日100人前後の相談者が詰めかけるというのは、異常な状態である。

・ 14日以降は、宿泊を断られた人はいない(ことになっている)が、今の中村福祉事務所の状況は、「宿泊施設はすべて一杯になったので、宿泊をお断わりします」といつでも言いかねない状況なのである。

・ 決して、このままではよくない。

(5)原則施設収入所から原則アパート入居への過渡期か

  ・ 今まで名古屋市は、住居のない人に対しては生活保護の申請があっても、不十分か生活環境である一時保護所や緊泊で生活をさせ(それも14日以内の保護決定という法定機関を遵守していなかった)、その後生活保護施設に入所させるという運用を行ってきた(生活保護施設入所でなく居宅保護となるのは、ごく一部のみであった)。

  ・ 1月以降は、私たちがアパート生活が可能な人には敷金支給によるアパート入居を申請すればよいと呼びかけ、また連日支援しているため、その申請が「受理」され、14日以内にアパート入居が認められることが当たり前のようになりつつある。こうしたことは法的に当然のことであり、適正な運用に近づきつつある。この点は評価したい。

・ しかし、まだまだ生活保護申請をしているのに自立支援センターやシェルター入所を強くすすめられこともあり、問題がある。

  ・ 本来は、私たちがいなくても、居宅保護を原則にした運用がなされるべきである。

(6)一時保護所が大きな問題

  ・ 生活保護申請をすると、14日間一時保護所(一杯の場合は一保代替機能の緊泊)入所となるが、一時保護所は二部屋(2Kの間取り)に3人が生活せねばならない。いびき・寝言などで眠られないということなどが起こりやすく、人間関係が大変でストレスがたまる。

  ・ ところが、名古屋市は、アパート生活ができるかどうかや求職活動状況を検証するためには、一時保護所に入ってもらわないといけないという。パート生活ができるかどうかや求職活動状況を検証することと二部屋に3人が生活せねばならないこととは、まったく関係がない。むしろ、アパート生活なら可能だが一時保護所での生活はできないという人が多いであろう。

・ こうした一時保護所での検証はやめるべきである。個室にすべきであるし、とりあえずは少なくとも一人一室にすべきである。

(7)市内他区福祉事務所の問題

  ・ T区、MM区、MT区などの福祉事務所では、敷金支給によるアパート入居の申請をさせずに、自立支援センターやシェルター入所、更生施設への入所を強要したりしている。

・ ひどい時には、中村福祉に行ったらいいという福祉事務所もあった。

(8)民間寮の問題

   \験菠欷酥颪亮領行為を委任させるという誓約書など

・ ある寮では、入居者に誓約書を書かせているが、その中に「1.私が申請している生活保護支給金について、支給金を口座振込みによって受領する場合は、受領する口座の通帳及び銀行届け印の管理、支給金の受領確認を鶴里寮管理者へ委任します。 支給金を窓口で受領する場合は、その受領行為を鶴里寮管理者の指定する者へ委任状を作成し、委任します。」(以上、若干不正確なところがあるかもしれない)というようなことが入っていた。そして実際に、アパート入居が決まった人に日割り計算をせずに保護費を返そうとしなかったという問題が起った。私たちが抗議して、寮側は、@上記の文面は、削除する、 @今後は日割り計算する(契約書に明記する)、ということを確認した。

・ 訴えによると、ある寮では、1〜2月分の生活保護費約16万円を区役所で受け取ったが、すぐ後ろに寮の職員がいて保護費が入った紙袋ごと(全額)持っていった。そして「お金が欲しい人は、寮に帰って相談してください。1000円くらいなら渡します。」とのことであったという。生活保護費は保護受給者のものであり、いわば全額取り上げて、本人の意思に反して少しずつしか本人に渡さないのは問題である。

  ◆ヾ浜費、光熱費などが高いのではないか?

・ ある寮は、保護費(生活扶助費)約8万円なのに、管理費は12,500円、光熱費は10,700円、食費36,000円(分割はなし)、合計59,200円を引かれ、残りは約2万円。ところが、エアコンを使うにもお金が必要で、洗濯機も1回200円必要。

・ 他の寮でも、よく似たやり方をしている。

 前からの生活保護を受けていない入居者との関係について

 ・ 訴えでは、生活保護を受けている入居者に対し、「お前ら、ごろごろして、生活保護費をもらっていいわな。俺も受けたいな。」と言われたり、「お前らは金があるのだから金を貸せ」とせびられたとのこと。

 ・ 生活時間帯の違いにより、夜間の騒音で眠れないとのこと。

(9)入居したが、南福祉事務所がアパート探しでなく仕事さがしをせよと言う

・ 入寮前には、中村区福祉事務所から、「入居は2ヶ月間。この間にできるだけ早くアパートを見つけてください」と言われているのに、南福祉事務所の職員は、「住み込み就職を探せ」とか、「自分でお金を貯めてアパートに入れ」とか言ったり、アパートのことでなく仕事さがしを執拗に言ってくるとのこと。

 

6.名古屋市及び中村福祉事務所の状況・対応から考える

(1)何が見えるか

・ 名古屋市ばかりを責めることはできない。5割以上は名古屋市外からの相談者であり、名古屋市外の各自治体も対応する必要があることは明らかである。

・ 名古屋市はホームレス関連施設があるから対応がしやすかったという面もないわけではないが、それらはすでに一杯の状況に近かったのであり、結局は民間の寮などの緊急住居などの利用申し出があったから、臨時的緊急宿泊援護施設にしたり(16日)、緊急住宅として利用できたのである。

・ こうして宿泊場所・生活場所を確保した上で、生活保障には生活保護の適用がなされている。緊急対策としては、生活保護の活用が必要であることを示している。

・ 以上のことから、名古屋市のような対応は、必ずしも日常的に使える施設を持っている自治体でなくても、準備次第では可能であることを示している。

(2)行政・各自治体ができること、なすべきこと

3月にむけて住居を奪われた大量の派遣労働者が予想される中で、次のようなことを2月中旬の今から準備すべきである。

 (1) 派遣労働者が多く住む自治体は、派遣労働者が寮を出される前に生活保護の適用を行い、その後アパートなどの転宅するように指導することが必要である。企業にはいろいろな責任があるが、すぐに寮を出すようなことをすべきでない。

いずれにせよ、対応がし易いのであるから、寮を出てからでなく寮にいる間に対応すべきである。

(2) 厚生労働省が音頭をとって、都道府県と連携して、派遣労働者が多く住む自治体に財政支援などをしつつ、その地域にある社員寮などを何らかの形で確保し、もし寮を出されるなどしてもその社員寮などに入居できる体制を今から準備することが重要である。こうすることによって、住居を確保した上で生活保護を適用することができるようになる。

 求職活動をするにも、各種手続きをするにも、住居がなければ困難であるから、住居と生活保障をまず行なうことが必要なのである。いまから住宅の確保をすべきである。

(3) 厚生労働省・都道府県・各自治体が連携して、雇用・住居・生活(生活保護を含む)などの問題の総合相談所を設けワンストップサービスを行うべきである。

特に派遣労働者が多く住んでいる地域に開設することが必要である。

 なお、一日だけの相談ではだめであり、生活保護の相談を含まない相談は実効性に問題がある。政府も都道府県も財政出動をし、自治体の体制作りを積極的に支援しない限り問題はさらに大きくなるであろう。

   (4) 行政に要求するだけでなく、私たちが総合相談会を行って支援をし、社会的に問題提起をして、行政にも働きかけることが必要である。

 

  (企業の責任の問題、労働施策の問題などは、ここでは提起していない)

 


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