本文の先頭へ
LNJ Logo 報告:「戦争国家で安心安全」を問う8・15行動
Home 検索
 


「終戦の日」の8月15日、「『戦争国家で安心安全』を問う8・15行動」が行なわれた(主催・実行委)。東京・水道橋の全水道会館に170人が集まった。水道橋交差点付近では、多数の私服警官が通行人をチェック。警察車両が列を作り、右翼の動きを警戒して阻止線が張られていた。

今年は、現天皇明仁が即位して20年目。皇后美智子との結婚50年目にあたる。司会者のあいさつ、主催者の基調報告の後、小倉利丸さん(富山大学教員・写真下)の講演が始まった。

■小倉利丸さんが講演

 小倉さんはまず、ここ数年急速に勢いを増している「在特会」の存在に触れた。

「在特会」(在日特権を許さない会)とは、その名のとおり在日コリアンらの「特権」にかみつき、誹謗中傷を繰り返して攻撃する、草の根右翼集団である。これまで外国人排斥キャンペーンは、インターネットを通じて、散発的に行なわれてきた。「在特会」は、市民団体を装ってHPを立ち上げ、サイトから会員登録を呼びかけている。「反日勢力粉砕」を掲げて同調者を募り、日の丸・旭日旗を打ち振る派手な街頭行動を展開してきた。

 小倉さんは、「社会の意識的な人々が動き出そうとするときに、在特会に引っかかったりする。今の若者が大衆的な運動をするきっかけを、私たちの世代は残してこなかった」と悔しさをにじませた。

■人々に伝える大切さ

戦後の「象徴天皇制」は、「豊かさ」という幻想をナショナリズムの中心に据え、歴史の隠蔽を伴いながら、国民を統合してきた。だが格差と貧困が広がり、日本人のなかに階級的な分断が顕著になるにつれ、それは機能不全に陥っていく。

「豊かさ」に代わって新たな民衆統合の手段となるものは、いったい何か。グローバリズムの進行で支配層は、日本のナショナリズム再構築のための国民動員体制を、まだ作り出してはいない。それは彼らの「緩やかな危機」とも言えるが、放っておいてなくなるものではない。

私たちは、メッセージを伝える回路を絶たれてきた。メディアに関わる運動が不十分だった。在特会はネットを活用して成功した。

たとえマイノリティであっても、人々にきちんと伝えること。今の社会に対して、自由に「ノー」と言える環境をつくっていくことが大切だと、小倉さんは結んだ。各方面からのアピールを、評論家の平井玄さんが紹介した。

■国民動員装置の解体を

リレートークでは4人が発言。パペットのK介さん(写真下)は、「在特会はネットで動画を流すなど新しいことをやっているが、パペットの文化はまだない。日本人は『長いものにまかれる』という風潮があるが、お祭り好きでもある。これからもパペットを作るので、ぜひみなさん、持ってください」。

「靖国解体企画」は、毎年この日正午の黙とうに抗議し、行動してきた。だが今年は警察の厚い壁に阻まれ、これまででもっとも靖国から遠い場所でシュプレヒコールをあげた。「私たちのまわりには『裁判員制度』など、国民を動員する装置がたくさんある。こういうシステムを解体していく活動をしている。ともにがんばりましょう」と訴えた。

■さまざまなグッズで「反靖国」をアピール

会場前に集まった参加者は、さまざまなプラカードを手に、横断幕を広げ、パペットを青空に掲げてデモに出発した。白山通りには右翼の街宣車が並び、歩道はカメラを持った公安警察官で埋めつくされていた。

「天皇制の戦争責任を追及しよう!」「靖国神社はいらない!」――参加者は機動隊の「圧縮」をはね返しながら、神保町交差点へ。靖国通りでは、右翼構成員がデモ隊への突入を繰り返した。

九段交差点を右折した北西の歩道には、日の丸・旭日旗を手にした一団が待ち構えていた。その数約200人。デモ隊に激しい罵詈雑言を浴びせながら、解散地点まで執拗に追尾してくる。機動隊は右翼とデモ隊に挟まれながら進んでいる。

■右翼テロで負傷者が続出

解散地点の西神田公園に乱入した右翼は、参加者が撤収の準備をするスキを突いて襲いかかってきた。市民を背後からねらった、卑劣極まりないテロ行為である。仲間を助けようと割り込んだために袋だたきに遭い、全治三週間の鼻骨骨折を負った参加者もいた。

彼らは三々五々駅へ向かう一行に執拗に食い下がり、誹謗中傷をやめなかった。

人の感情の奥底にうごめく妬みや嫉みを刺激して増幅し、自分より社会的に弱い立場の者に、怒りの矛先を向ける。閉塞と混迷の社会状況から生まれるストレスの発散。一人ではできないから集団でそれを敵意に変え、むき出しにする。極めて身勝手で自己中心的な、子供じみた八つ当たりやイジメの類ではないのか。そのやり方を「愛国心の表現」とか、日本の将来を憂う「ナショナリズム」と呼ぶことは、到底できない。

ヤジと怒号が飛び交い、騒然となったこの日の水道橋―神保町周辺。たび重なる右翼の激しい暴力にも屈せず、参加者は最後まで毅然と対応し、妨害勢力を言葉で諭す余裕すらみせていた。(報道部・Y)

動画(YouTube)


Created by staff01. Last modified on 2009-08-30 23:00:07 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について