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特急たから@福島です。
衆議院山口2区補選について緊急投稿します。

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緊急投稿〜衆院山口2区補選の結果が語るもの

 自民・民主2大政党が、今後の政局の主導権と福田内閣の命運をかけて争った衆議院山口2区補選は、予想通りと言うべきか、民主党前職の平岡秀夫氏が、自民党新人の山本繁太郎氏を破って再選を果たした。今回の選挙を簡単に総括しておこう。

○補選としては驚異的な高投票率
 今回の選挙の特徴はなんと言ってもその驚異的な高投票率だ。通常、補欠選挙で争われるのは1議席から多くて数議席。その投票結果が直ちに国政の激変をもたらすものではなく、政局全体の流れの中で見たときにエピソード的な意味しか持たない場合がほとんどであるためか、これまでの補欠選挙は衆議院補選で高くて50%程度、参議院補選では30〜40%のことが多かった。今回の選挙も、後期高齢者医療制度、ガソリン税問題という争点があるとはいえ、大型連休入りした最初の週末で行楽日和ということもあり、私は投票率を35%〜45%の範囲と予想していた。それが、ふたを開けてみれば当日投票分だけで50%、期日前投票を加えた最終投票率は実に69%という、補欠選挙ではおよそ考えられない投票率を記録したのである。

 補選での69%。この投票率がいかに高いかは、最近の本選挙と比べても一目瞭然である。衆議院選挙では、70%台は1990年(第39回総選挙)が最後で、それ以降はすべて67%以下にとどまる。参議院選挙に至っては、70%台の投票率は第2回(1950年、72.19%)、第10回(1974年、73.20%)、第12回(1980年、75.54%)、第14回(1986年、71.36%)のわずか4回しかなく、多くは60%台。今回の補選は参議院の本選挙を軽く凌ぐほどの投票率だったのである。

 米軍基地移転に反対を表明する井原勝介市長を生み育て、市町村合併による出直し選挙でも再び井原を当選させた上、屈指の観光地・錦帯橋で米軍基地移転反対1万人集会を実現させた岩国市民の、燃えるような熱い「政治の季節」は続いていたのだ。

○このままでは殺される〜現実になった「高齢者革命」
 与党の敗因は後期高齢者医療制度以外に考えられない。「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨で、民放テレビが選挙前にお年寄りを対象に行ったインタビューでは「もう自公はダメだね」「年寄りはさっさと死ねと言うのか」「戦後の復興を担ったのは俺たちなのに、用がなくなったらゴミ捨てにポイ。これが政治なのか!」など、これまで聞いたこともないような激しい言葉で政府を糾弾するコメントが続いた。このような事態ははじめてであり、まさに「革命前夜」だった。

 制度が導入されて1ヶ月も経たないのに、早くもこの制度を苦にした87歳女性の心中事件が山形で起きた。女性は亡くなる前、「後期高齢者医療制度で保険料が年金から天引きされ、生活が大変だ」「生きていくのに疲れた」と話していたという。「姥捨て山医療制度」という表現すら生ぬるい。後期高齢者医療制度はまさに「老人虐殺医療制度」以外の何ものでもない。

 このままでは殺される…。今回の選挙はまさに高齢者の革命だった。山口2区では、文字通り命の危険を感じた高齢者が、大挙して投票所に向かった。普段投票に行かない人も病院のベッドから這い出してまで投票所に行った。そうとでも考えなければ説明がつかないほど凄まじい高投票率であるからだ。政府が引き起こした侵略戦争の惨禍を生き延び、戦後は「日本株式会社」の社員として骨身を削るほど働いた世代。本来なら他のすべての世代から感謝と畏敬を受けるべき世代が「老人虐殺」医療制度で細く燃える最後の命を削られる。こんなことがあっていいわけがない。

 戦後の復興に尽くしてきた自分の先人さえ尊重できない者たちが「愛国心・道徳心」を唱え、祖先を敬えなどと言うのを聞くと吐き気がする。人の道を叩き込まなければならないのはお前達のほうではないのか。お年寄りを死に追いやる自民・公明の腐れ外道どもは恥を知れ!

○米軍基地押しつけと医療切り捨て〜岩国は「戦争国家」の象徴
 岩国市を含む山口2区はまた、米軍基地反対闘争の最前線だった。2回にわたって米軍基地移転反対派の井原氏を市長に押しだした市民は、市庁舎建設費補助金の打ち切りという卑劣な政府の締め付けにもカンパ活動で対抗したが、井原市政は潰された。

 私たちは世界で最も優れた民主主義憲法を持っていたはずだ。それが、いつの間にかこの国では、人が生きていけるかどうかが「従うかどうか」で決まるようになっていた。軍事基地に反対するものは市長であれ誰であれ、政府に首を絞められ、息を止められる。戦争と医療切り捨てがリンクし、二重の苦しみとなって市民に襲いかかる岩国は、いま新自由主義と戦争国家の最前線にいる。今回の選挙は、「従わざる者食うべからず」の恐怖政治に対する明確な審判である。

○ガソリン税が焦点の選挙に元国交省官僚を擁立する自公「KY政権」
 それにしても、ガソリン税の暫定税率引き上げ問題が焦点となっている選挙で、よりによって元国土交通省の官僚を擁立するとは、自公政権のKY(=空気読めない)ぶりもここに極まった感がある。自民党は情勢不利と見るや、建設業界などの業界団体を締め付ける昔ながらの選挙戦を展開したが、落選後、山本繁太郎候補は「業界団体が動かなかった」と肩を落としたという。

 昨年7月の参議院選挙の後、私が「レイバーネット」に書いた論評の内容を覚えているだろうか。『(新自由主義への)自民党の急激な変質は、言うまでもなく従来の穏健な自民党支持層、「貧しきを憂えず等しからざるを憂う」伝統的保守層や社会民主主義者たちを自民党から脱落させる効果を生んだ。…従来、自民党を支持していたのは、特定郵便局長会や建設業界などの利権集団である。彼らは談合で過度の競争を制限し相互に依存しながら、大企業本位の経済開発をしてくれる自民党の集票マシンとして機能した。その構造が、競争至上主義を基本とする新自由主義によって叩き壊された。自民党の有力な支持基盤が失われたのである。小泉政権がそれでも総選挙で圧勝できたのは、集票マシンを叩き壊してもお釣りが来るほどの浮動票を掘り起こしたからである。今回、安倍政権はこの浮動票を失った。おまけに従来の支持基盤も破壊され残っていない。農村の支持も既にない。自民党は、今回の選挙で文字通り過去の遺産すべてを失ったのである』。

 これが昨年7月に私が書いた内容である。山本候補の「敗戦の弁」は、この分析が正しかったことを物語っている。自民党の耐用年数が尽きたことは、やはり間違いないようだ。

 以上が今回の補選に対する私の評価である。地殻変動は確実に進行し、自公政権はあと一歩で終末を迎えるところまで追い詰められた。自公政府与党が望まなくても、2005年夏に選ばれた衆議院議員の任期は2009年夏には切れ、選挙がやってくる。その時、悪政の限りを尽くした自公政権を終わらせることができるかどうかは、今、この論評を読んでいる皆さんの行動と選択にかかっている。

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特急たから aichi200410@yahoo.co.jp

国労闘争団支援私設サイト「闘争団とともに 人らしく」
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