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LNJ Logo 市民グループ「HUG−東京の教育」が都教委にプレッシャー
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レポートby 松原明

根津公子さんの卒業式を3月24日に控えて、都庁では連日「君が代不起立の根津さんを クビにしないで」という要請行動が続いているが、18日に都教委に やってきたのは、 教育を考える市民グループ「HUG−東京の教育」だった。

「陳情」は午前10時半から都庁の会議室で始まったが、小さな会議室には、若いおとうさん、おかあさんたちを含む9人、それにちびっ子10人が集まり、さながら「幼稚園状態」になった 。対応したのは、都教委・教育情報課の黒田課長。いつもは「ここは聞くだけの場 。質問には答えない」と突っぱね、要請者の怒りを買う課長だが、なぜかこの日は上機 嫌で饒舌だった。

最初に代表が「君が代不起立の教師を処分しないで」という教育委員宛 の「陳情書」を読み上げ、手渡した。その後、Mさんが口火を切った。

Mさん「この陳情書は教育委員の個人宛なので、各委員に確実に届ける約束をしてほし い」。黒田「要請はたくさん来ているので、教育委員に渡すかどうかは所管の課が判断 する。内容によりけりで必要があれば教育委員に上げる」と相変わらずの回答。ここ で普通は大もめになるが、Mさんはぐっと抑えて「必ず教育委員に渡してほしい。それ はあたりまえだと思う。それから渡したかどうかの結果を知らせてほしい」と要望。黒 田「結果を知らせてほしいという要望は所管に伝える。その返事に2週間位かかる」と いつもの回答だった。

その後、メンバーの質問に黒田課長は以下のように答弁した。

●なぜ「君が代」斉唱を卒業式でやるのか?

黒田「学習指導要領で決まっているから。国旗国歌を尊重する心を養うのが目的。国際 社会においては自国も他国も尊重することが大事だが、特に自国の誇りを育てることが 大事である」

●強制はよくないのでは?

黒田「強制はしていない。“適正に実施してください”という指導・助言をしているだ け。“思想信条の自由”は侵していない」

●実際に不起立の人を処分している。強制ではないか?

黒田「“思想信条”で処分しているのではなく、職務命令違反だから処分しているだけ 。上司の命令に部下が従わなくては、仕事がうまく進まないでしょう。2月7日の東京地 裁判決でも、職務命令は憲法違反ではないと判断している」

最後に、Mさんがこう語った。

「養護学校の卒業式では、重度の障がい児も壇上にあげて、“君が代”に直立不動を強 いている。これはおかしい。子どもが主人公であり、一人ひとりの障がい児の状態にあ わせて、卒業式をするのが当たり前ではないか」 「根津公子さんの家庭科の模擬授業も体験したが、自分で考える力をはぐくむ授業だっ た。こんないい先生がなんで停職処分を受け、学校に入れないのか。こんな学校って、 一体何なのだろう。これから子どもを学校に入れるのがとても不安だ」 「都教委の教育目標は、“互いの人格を尊重する”“自ら学び考え行動する”となって いて、その通りだと思うが、実際やっていることはこれに反している。一人ひとりの違 いが尊重され、だれもが大切にされる教育を強く望みたい。そのためにも、君が代処分 は絶対にしないでほしい」と結んだ。

黒田課長は「教育目標を評価してもらってありがとう。陳情書と共に、きょう出た批判 や意見を含めて所管に伝える」と回答して、この日の要請を終わった。

課長の答弁は、いつもと同じではあったが、その饒舌から、かれらの考えが改めて浮き 彫りになった。私が感じたのは、都教委の主張は「自衛隊を海外派遣しても、憲法9条 を侵していない」という政府の詭弁とそっくり、ということだ。つまり「上司の命令に 従わない教員を処分しているだけで、思想信条の自由は侵していない」という詭弁であ る。いつから日本はどこもかしこも「詭弁がまかり通る社会」になったのか。「戦慄」 さえ覚える。

いずれにしろ、この日の市民グループの都庁登場は、根津さんを支援する声が 、様々な層に確実に広がっていることを示すものだった。「君が代解雇」を強行しよう とする都教委に対して、大きなプレッシャーになったことは間違いないだろう。


Created by staff01. Last modified on 2008-03-20 23:52:39 Copyright: Default

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