本文の先頭へ
LNJ Logo 安倍首相のインチキ切り札「労使国賊論」
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1184314986380st...
Status: published
View


松原です。

きのう(7月12日夜)のTBSニュース23で、党首討論を見た。安倍首相は、年金問題 のすり替えに躍起となっていたが、そこで取り上げたの20年前の「国鉄改革」であ る。

安倍首相は「年金がこうなったのは社保庁の悪しき労使慣行が原因。国鉄と同じだっ た。分割・民営化で、やる気のある職員だけに残ってもらって、JRはよくなった。 社保庁も同じ方法で生まれ変わる」「悪しき労使慣行を支持していたのが、野党だっ た」という趣旨の発言を得々としていた(写真)。

安倍の狙いははっきりしている。国鉄の大赤字の原因は働かない職員がいたからで、 今度の社保庁も同じ。だから、悪い職員を選んでばっさりクビを切るというわけだ。 そして、悪い職員は、労働組合活動家であり、民主党や社民・共産の野党だという 図式だ。

あまりに乱暴で粗雑な主張だが、気になったのは、野党党首がこれに対してきちん と反論しないことだった。20〜25年前の「反国労キャンペーン」の亡霊がまだ生き ているのだ。

国鉄の大赤字の原因は、新幹線の投資や「我田引鉄」など自民党利権がからんでい るのだが、それをすべて労働者の責任に押しつけたのが「国鉄改革」。それを煽っ たのはマスメディアだった。当時1982年「文芸春秋」に評論家の屋山太郎は「国鉄 労使国賊論」を書き、これがキャンペーンのもとになった。

その屋山が再びいま登場している。今回は「WILL」8月号で「旧国鉄労使よりひど い社保庁労使国賊論」を書き、「国鉄民営化と同じように、労働者を悪者に仕立て ることで、乗り切れ」とアジっている。安倍は支持率挽回の最後の切り札の一つと して、この「労使国賊論」を使い、国民のなかにある反公務員意識をあおって、夢 よもう一度、というわけだ。

今回は、簡単にこの「労使国賊論」が浸透するとは思えない。だが、問題はこんな デタラメな言動を許しておいていいのかということだ。とくに、「国鉄改革」で1047 名の解雇という犠牲を強いられた国労闘争団や支援者は、「生き証人」として、「 国鉄改革」のインチキを暴露すべきだろう。

JRの20年とは、新たな利権の分捕りあいであり、安全軽視・サービス低下・地方切 り捨てであったことははっきりしている。JRが先導してきた金もうけ万能・民営化 路線こそが、日本社会を劣化させていること、そして国家による不当労働行為(組 合つぶし)が、不当労働行為やり得の風潮を作り、労働者の権利低下・格差社会に 至っていることを訴えていくべきだろう。

すっかり世の中から忘れられていた国鉄問題だったが、安倍さんのおかげで、再び 脚光を浴びることになった。この機会に、中曽根〜小泉〜安倍の路線をしっかり見 据えたいものだ。


Created by staff01. Last modified on 2007-07-13 17:23:09 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について