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空襲被災者放置する国への怒り〜荒川で「人間の碑」上映会 | ||||||
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6月16日、東京・荒川区のサンパール荒川・会議室で、映画「人間の碑(ひとのいしぶみ)〜90歳、いまも歩く」の上映会が行なわれ、区民ら約30人が参加した。主催は「平和憲法を守る荒川区民の会(準)」。国民投票法が強行採決されるなど、改憲の動きが急ピッチで進められるここ数年、民主主義の破壊に強い危機感を抱く区民らが集い企画した。 この映画は第二次大戦末期、日本本土への空襲で悲惨な被害を受けた民間人が、国家賠償を求めて全国運動を繰り広げる記録映画。「クリエイティブ21」を設立した林雅行監督(写真)が「戦争ドキュメンタリー3部作」の最後の作品として製作、昨年3月に完成した。 主催者を代表して森谷新さん(社民党荒川支部)があいさつ。続いて林監督が発言。「空襲でけがをし、後遺症を抱えた人は約47万人いる。しかし国はいっさい補償をしていない。政府は従軍慰安婦問題などアジアの被害者には目を向けるが、国内の空襲被害者には責任を果たしていない。既成の全政党が何もしていない状況だ」。 司会者が「今日はサプライズがあります」と紹介。この日会場には、映画の主人公である杉山千佐子さん(写真下)が来ていたのだ。以下は杉山さんの発言から。
■生々しい傷あとを克明に いよいよ映画が始まる。米軍は東京に続き、大阪、神戸、名古屋などの地方都市を次々と爆撃した。名古屋の空襲で生き埋めになり、左目摘出の大けがをした杉山さんは、被災者を訪ねて全国を歩く。両足を失った人、顔面に大やけどを負った人、全身にガラスの破片が突き刺さったままの人。杉山さんは大きな眼帯をかけ、杖をつきながら被災者を励まし、運動への参加を呼びかける。 1972年には「全国戦災傷害者連絡会(全傷連)」を結成。補償を求めた運動が本格化する。だが高齢や体力を理由に運動から遠ざかる人も増え始め、自身も乳がんに冒され左乳房を全摘、リハビリが続く。杉山さんは90歳を過ぎてもなお、闘いへの参加を呼びかけて全国を回る。 カメラは、外出はもちろん狭い部屋の中でさえ、満足に移動することのできない被災者の実態を克明に伝える。会場のどこからともなくすすり泣きが聞こえてくる。東京に住む私たちは、とかく「東京大空襲」の惨禍に目を奪われてしまい、地方の空襲被害者の実情にまで、思いをめぐらせることができなかった。 後遺症に苦しむ被災者への治療は「気休め」にも見える。そのうえ治療費はすべて自己負担。痛ましい傷あとを隠し、ひっそりと暮らす人々。闘い半ばにして無念にも他界した同志。こんな理不尽が許されるのだろうか。葬り去られようとする歴史の暗部に、目を開かれた思いだ。 「70歳を過ぎると、とたんに仲間たちが家を出ようとしなくなる。悲しい、悔しい」と杉山さんは嘆く。それでも若い人たちにこの運動の意義を語り、元気をもらっているという。 区民有志による第1回企画は、なんとか成功だったと締めくくりたい。おしゃれな杉山さんの止むことのない怒り、緊張感あふれる姿から、私たちも元気をもらった。 Created by staff01. Last modified on 2007-06-17 23:25:01 Copyright: Default | ||||||