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 フリーランスも団結する!
〜言論の自由を守る闘い「オリコン」訴訟報告集会より

 2月13日(火)、文京シビックセンター会議室でオリコン訴訟報告集会が 出版労連主催で行われた。参加者は52人。この日は昼間、東京地裁で 第一回口頭弁論があり、その報告と今後の支援の方向性を話し合う会 だった。

 「オリコン」訴訟とは、フリージャーナリスト烏賀陽(うがや)弘通さん(写真上)がヒット チャートの会社オリコンから雑誌月刊サイゾーに掲載されたコメントが「名誉 毀損にあたる」として5千万円の支払いを求めて訴えられた訴訟である。 記事はオリコンのランキングはレコード会社との癒着により、実際の売り上 げと乖離しているものではないか、という疑惑に対し、烏賀陽さんはオリコ ンの統計方法の信ぴょう性を疑う内容のコメントを出しているが、「編集部・ 文」となっており、烏賀陽さん自身にはそのコメントに対し何の報酬も 支払われない。にも関わらず、その記事を掲載した雑誌月刊サイゾー編集部や 版元は訴えられず、フリーである烏賀陽さんだけがねらい撃ちにされたかの ように訴えられた。

 報告集会では、出版労連出版ネッツの副委員長清水和美さんの挨拶から始 まった。「烏賀陽さんも組合員である、出版ネッツはフリーランスの労働組合 でフリーライター、編集者、デザイナー、イラストレーターなど180人が入っている。 私たちはフリーの労働条件の向上や言論の自由を守る闘いを方針に上げ、運動 をしてきている。この訴訟は立場の弱いフリーを狙ったものだ。フリーランスで 働く者としては絶対に許せないものであり、ネッツは出版労連とともに、烏賀陽 さんを全力で支援していく」と発言。その後、弁護団の三上理弁護士からは経過報告 があった。「普通、名誉毀損裁判で訴えられるのは出版社や発行責任者、執筆者で ある。電話取材を受けただけの人が訴えられるのは異例のこと。名誉毀損裁判はや る方は簡単だが、訴えられた方は大変だ。2月8日にはオリコンを訴える反訴の損害 賠償裁判も起こした」。雑誌月刊サイゾー編集長の揖斐憲氏は「雑誌は情報提供者 からのコメントを紡いで創っていくもの。情報提供者の信頼がないとやっていけない。 できる限りの支援はしていく」という。週刊金曜日の北村肇編集長は「こんな裁判がま かり通ったら、金曜日は廃刊になる。自分は新聞労連の元委員長でもあるので、そこ にも運動を広げていくつもりである」。

 当該の烏賀陽さんはその日裁判で行った意見陳述を読み上げた。「発行会社を除外し、 烏賀陽個人を訴えることによって孤立させた。応訴するには、旧日弁連基準では719万 円もの弁護士費用がかかり(この弁護団はそんな高額はとっていません)、 経済的に抹殺しようとした。烏賀陽の発言を封じる為に訴訟を起こしたことをオリコンは 自社のニュースリリースで認めている。訴訟権の乱用である。オリコンは出版社でもあ りながら、雑誌サイゾーに記事の訂正や削除の申し入れを行わなかった。また自社の雑誌で 反論するということもしていない。烏賀陽は電話取材に応じただけであり、執筆もしていない。 コメントしただけで5千万円を請求されるリスクがあっては取材に答えるものはいない」 というもの。そして、「これは言論の自由を守る闘いであり、負けるわけにはいかない」 と力強く発言した。

音楽ジャーナリストの津田大介氏は「オリコンが訴訟を起こした理由の一つに株式の上 場があるのではないか。チャートを売る会社がそのチャートの信ぴょう性を疑われたく ない。雑誌サイゾーに削除や訂正を求めなかったのは、深く突っ込まれたくなかったか らで事を大きくしたくなかったからではないか。オリコンのもくろみとしては、烏賀陽 さん個人を潰して終わりにしたかったのでは」と発言があった。出版労連の橘田源二副委員 長からは「新聞やテレビと違って、まだ出版メディアはフリーランスの活躍により、規制 がかけにくい部分があった。労組の立場と仕事をする立場から幅広い運動を作っていく事 が大事だ」と話された。その他、朝日新聞記者やDHCから不当解雇されたうえ組合 ホームページが名誉毀損で訴えられた労働者(解雇は勝利和解、名誉毀損訴訟 は勝訴)、大学教員、フリージャーナリスト、ネッツ組合員など多くの人の発言があった。

フリーランスは雇用されてはいないが、労働者だ。労働者の最大の武器は団結することで あり、それがあればどんなことがあっても闘える。この訴訟のように、高額な支払いを求める 訴訟権の濫用による恫喝訴訟は個人では闘えない。しかし、泣き寝入りをしていたら、 言論の自由はなくなり、誰も本当のことは言えなくなってしまう。結局は戦時下の新聞のように 政府の言いなり、資本の言いなりのメディアしか作り出せなくなる。一般メディアは今、 それに近い状態にある。フリーランスの多い出版業界でこうした事が乱発したら社会派出版社 などなくなってしまうだろう。すべての人に関わる問題でもある。

ちなみに、出版ネッツのアンケートによると、出版フリーランスは版元労働者の年収の4分の3 程度。10年以上の経験者でも年収200〜300万円代と回答する人が一番多かった。出版産業では 最底辺の労働者である。出版労連では、07春闘方針案で賃上げとともに「フリーランスの料金 改善」についても重要課題として上げている。また、メディア規制の問題として、この「オリ コン訴訟」についても取り上げている。言論の自由は出版労働者が先頭にたって守らなければ ならない問題だ。この集会では、フリーランス労働者も同じ立場の労働者をはじめ、版元労働者、 支援者たちと団結し、最後まで闘う意志を表明した。

メディアで働くものが「おかしいことはおかしい」と言えない世の中は、そこで働くものに とっても、それを読む人にとっても不幸だ。そんな世の中にしない為にも、すべての人がこの 裁判に注目して頂きたい。(A.H/出版労働者)

ウガヤジャーナル→http://www.ugaya.com/
出版ネッツ→http://www.jca.apc.org/NETS/
出版労連→http://www.syuppan.net/


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