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□■ 日教組「教育基本法」メールマガジン No,65 2006.12.7 ■□
■ 教育基本法に関する情報をお伝えするメルマガです ■ 教育基本法に関する情報をお知らせするためにこのメールマガジンを 発行しています。多くの人に転送してご活用ください。 ※発行は不定期です。 ※転送は歓迎します。 ■ 連絡先 ■ 配信停止、新規購読(購読料無料)、バックナンバーのご希望等 mailto:kihonho@jtu-net.or.jp 迄ご連絡ください。 ■ No.65 目次 ■ □ 各団体声明・アピール ―――――――――――――――――――――――――――――――― ■□各団体声明・アピール ●平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会 <衆議院での採決と参議院での審議入りは認められない> 政府・与党は、11月15日に衆議院特別委員会で、続いて16日の衆議院本 会議において、与党単独で教育基本法「改正」政府案を強行採決した。 そして、翌17日にはこれまた野党が欠席するなかで参議院での審議入り を強行した。 第164通常国会における衆議院特別委員会でも、また今開催の第165臨時 国会の審議でも「改正」理由が、まったく国民に明らかにされないままであ り、しかも、タウン・ミーティングでのやらせ質問という手続き上の大きな 問題を不問に付したままの、これまでの政府・与党のやり方に対して怒りを 覚え、ここに強く抗議する。 政府・与党の「改正」案の内容そのものについては、これまで十分に検討 し、その問題を明らかにしてきたので、ここでは繰り返さない。 しかし、子どもたちのいじめと自死、さらには、高校や中学校での特定教 科(必修教科)の未履修問題など、教育制度の根幹にかかわる問題が噴出し ている今、これらの問題をよりいっそう深刻なものにする内容となっている 教育基本法「改正」案の成立を急ぐ、そのあまりに政治的、党派的対応は、 「国家百年の大計」である教育をないがしろにし、日本の公教育を破壊する 以外のなにものでもない。 根本的な審議のやり直しをここに強く求めたい。 2006年11月20日 平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●日本女性学会 <教育基本法「改正」に関する緊急声明> 11月16日、教育基本法改正案は、野党欠席という異常事態の下、自民・ 公明の連立与党による単独採決によって衆議院を通過し、現在、参議院での 審議に入っている。教育に関わる憲法とも言われる重要な法律の改正が、十 分な審議を尽くさないままに遂行されようとしていることに対して、日本女 性学会はここに声明を発するものである。 今般の教育基本法「改正」の与党案については、実に多くの個人および団 体から疑問や反対意見・声明が提出されており、議論すべき点は多方面にわ たっている。改正案には、日本女性学会が結成の柱とする「あらゆる形態の 性差別をなくす」という観点からも、看過できない種々の問題点がふくまれ ている。 まず、現行第5条「男女共学」(「男女は、互いに敬重し、協力しあわなけ ればならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならな い」)の削除は、教育分野における男女平等の根幹をゆるがすものである。 この条項は、戦前の学校教育システムが男女別学・別学校体系により女性差 別を制度化していたことへの反省に基づき、男女共学の基本を謳ったもので ある。現在もなお、高等教育進学率における男女間格差や、後期中等教育お よび高等教育での専攻分野における男女比率のアンバランスなど、就学経路 上の男女平等を確立する課題は山積している。女性学研究は、そうした就学 経路上の男女格差が社会的・文化的に生み出されるプロセスや、教育におけ る男女間格差が雇用などの性差別の問題とつながっていることなどを明ら かにしてきた。第5条の削除は、それらの課題解決の進展を阻むのみならず、 男女特性論に基づいた公立の別学校を新たに誕生させるなど、男女をことさ らに区別した教育を展開させる誘因になるのではないかと強く危惧する。 その危惧は、現行法には存在しない「家庭教育」と「幼児期の教育」とい う二つの新設条項についてもあてはまる。「父母その他の保護者」の「子の 教育」に関する「第一義的責任」をさだめた第10条「家庭教育」と、「幼 児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである」と謳 った第11条「幼児期の教育」は、教育や福祉の分野を、国家の責務から「家 庭」の責務に転換していく方向性をもつものであり、さらには「母性」や固 定的な性別役割分担の強調につながる危険性がある。 一方、改正案は、第2条「教育の目標」第3号(「正義と責任、男女の平 等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に 社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」)の中に、現行 法には含まれていない「男女の平等」という理念を掲げている。しかし、そ もそもこの第2条そのものが、国民に求められる「徳目」をさだめる性格を もち、私たちの精神的自由を侵す危険性をはらんだものである。男女平等は 国民にとっての権利であり、名宛人を国家とする教育基本法においては、「教 育上男女の平等は保障されなければならない」といった国家の責務をさだめ る条項として位置づけられるべきである。にもかかわらず、改正案における 「男女の平等」は、国民にもとめられる「徳目」として掲げられており、そ の位置づけには大きな疑問が残る。 同じく第2条第5号(「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我 が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与 する態度を養うこと」)は、愛国心を強制するものとして幅広い抗議を巻き 起こしているが、この条項については性差別の撤廃という観点からも、重大 な問題がある。この条項に含まれる「伝統と文化の尊重」という文言は、近 年のジェンダー・フリー・バッシングのなかでさかんに使われているフレー ズであり、「伝統や文化」といった多義的でしかあり得ない概念によって定 義された「教育の目標」条項が、今後政治的に利用されていく可能性は極め て高い。 その可能性は第2条全体に対して言えることであり、この条項と、現行法 第10条「教育行政」を「改正」した第16条第1項(「教育は、不当な支 配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われる べきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相 互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」)とが連動するこ とにより、「教育の目標」に沿わないと解釈された教育実践や教育運動は、「不 当な支配」に相当するものとして排斥されていくだろう。現行の教育基本法 第10条が、戦前の反省を踏まえて目指した、国家権力の中枢に近いところ に位置する「官僚とか一部の政党」(昭和22年3月14日衆議院・教育基 本法案委員会・政府委員答弁より)による「不当な支配」の排除とは、まっ たく逆の方向への「改正」と言わざるを得ない。 多くの課題を残したまま、広範な抗議の声を無視して、政府与党は、近々 12月8日にも教育基本法改正案の成立を目指している。日本女性学会は、 性差別の撤廃という設立の趣旨を貫く立場から、今般の教育基本法「改正」 の動きに強く抗議するものである。 日本女性学会 第14期 幹事会 2006年12月 1日 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●岩手大学教職員有志 <教育基本法「改正」案の廃案を求める岩手大学教職員有志アピール> 2006年12月1日 岩手大学に学び,働く,学生・教職員の皆さん。岩手県民の皆さん。私た ち岩手大学の教職員有志は,学校教育に携わるものとして,現在,参議院に 送付されている教育基本法「改正」案が,その内容,審議手続きから見てあ まりにも多くの重大な問題を含んでいると考え,国会に対してこれを廃案に するよう強く訴えるものです。 「改正」の目的はどこにあるのか 現行の教育基本法は,日本国民をアジア・太平洋戦争に駆り立てた一因が 教育勅語を中心に据えた戦前の国家主義的教育にあったという反省を踏ま え,主権在民・基本的人権の尊重・平和主義の3原則を根幹とする日本国憲 法の理念を実現するため,国民を個人=人間として尊重し,一人一人の豊か な人格を形成することを目的として制定されました。 しかるに今回の教育基本法「改正」案は,この理念を180度転換し,子ど もたちの健やかな成長を保障するための教育ではなく,国家のための教育を 行おうとしています。これは,「改正」案が,第2条(教育の目標)におい て,「公共の精神」や「我が国と郷土を愛する態度」を養うなど,その内容 が多義的な文言を法律に明記することによって,政府がその意味・内容を定 め,国民に押しつけることになりかねないものとなっていること,また,第 16条(教育行政)や第17条(教育振興基本計画)において,政府が教育に 関する多様な意見に耳を傾けることなく,教育内容を上から定め,それを評 価と財源配分によって全国津々浦々まで徹底させようという内容になって いることなどに明瞭に見てとることができます。これは大学における学問の 自由にとっても大きな問題です。 今求められていることは現行教育基本法の理念に沿った教育行政ではない か 現在の日本社会における子どもたちをめぐる様々な問題については,私た ちも心を痛めており,またこれに対する早急の対応が必要だと考えています。 しかし,これらの問題は,現行教育基本法が原因で起きたものでしょうか。 子どもたちをめぐる問題は一般社会と切り離されたところに存在するわ けではありません。子どもたちの世界は大人社会の反映です。子どもたちを めぐる諸問題を根本的に解決しようとするならば,競争第一主義,経済第一 主義の中で人が人として尊重されていない今の日本社会そのものを見直す ことが必要でしょう。 また,教育の側に問題があるとするならば,その責任は現行教育基本法に あるのではなく,基本法の理念に一貫して背を向けてきた現行の教育行政に あると言うべきです。教育現場で実際に行われてきた教育は,基本法の理念 に沿った教育を望む多くの国民・教職員の声を無視した,政府方針に沿った 教育行政が色濃く反映されたものだったからです。教育分野で今求められて いるのは,基本法を「改正」することではなく,基本法の理念に沿った教育 行政を行うことです。 教育基本法を「改正」する合理的な理由は示されたのか 今国会で教育基本法「改正」案が上程されて以来,いじめ自殺や単位履修 不足などの問題が次々に発覚しました。これらは現在の教育をめぐる矛盾が 集中的に現れた問題です。しかしながら,「改正」案の国会審議において, 教育基本法の「改正」によってこのような問題が解決されるかとの質問に対 して,政府は「基本法とは別問題だ」とするだけでした。ここから見えてく るのは,基本法を「改正」しようとしている政府・国会議員たちは実際に起 きている問題にどう対処するかにはほとんど関心が無く,ただただ教育への 国家統制を強めたいがためだけに基本法を「改正」したがっている,という 事実です。 また,この間の国会審議の中で,内閣府の「教育改革タウンミーティング」 において文部科学省が教育基本法「改正」に賛成する「やらせ質問」を行っ ていたことが発覚しました。これは政府による完全な世論誘導であり,民主 主義の原則からも許されるべきことではありません。このような民主主義に 反する行為を行っていた政府に,そもそも教育の根幹に関わる法案を提出す る資格などないと言っていいでしょう。 政府・与党は,11月15日の衆議院特別委員会での与党単独採決,16日の 衆議院本会議での与党単独採決にあたって,「前国会から100時間を超え, 審議を尽くした」と言っていますが,「現行教育基本法のどこが問題か」「な ぜ,変えなくてはいけないのか」について政府からの説得力のある説明はほ とんどありませんし,先に触れたように現在起こっている諸問題の解決と教 育基本法「改正」は無関係だとも言っています。いまだ,基本法を「改正」 する合理的な理由は何一つ示されていないのです。 教育基本法「改正」案は廃案に このような中で,「この機を逃したら2度と改正ができなくなる」「成立さ せられなかったら内閣の求心力が落ちる」「党のイメージダウンを避けるた めに,来年の統一地方選挙,参議院選挙の前に成立させておきたい」などの 理由で,今国会で「改正」案成立を強行するなど言語道断です。 世論調査を見てみても多くの国民は今国会での成立を望んでいませんし, また,11月15日の衆議院特別委員会での採決にあたっては,多くの新聞が 社説・論説で,「改正」案の内容や国会審議の進め方について批判していま す。 私たち岩手大学教職員有志は,今国会において政府提出の教育基本法「改 正」案を廃案にし,教育をめぐる国会での論議については一から出直すこと を求めるものです。 教育基本法「改正」案の廃案を求める岩手大学教職員有志アピール 呼びかけ人・賛同人 【呼びかけ人】18名(名前は省略) 【賛同人】 135名(名前は省略) 合計 153名 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●東京大学史料編纂所で働く有志 <教育基本法改正に反対する声明> 私たちの東京大学史料編纂所は、100年以上前より、明治以前の我が国の歴 史を研究し、その成果を史料集としてまとめる仕事をしています。私たちは、 我が国の中の様々な地域・集団の伝統文化を次代に伝える重要な国家的使命 を帯びていると自負するものです。 そのような立場にある私たちから見て、今回の教育基本法改正案のうち、第 2条第5項の言う「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と 郷土を愛する」態度を養う、という内容は、非常に危険な問題があると考え ます。 今から60年前、日本史研究は、狂信的なナショナリズムである一部の「皇 国史観」研究者によって、多くの人々を惑わし、傷つけ、そして死に追いや った苦い過去を持っております。そのような過ちに二度と陥らぬためには、 様々な見方や考え方を認め、できるだけ客観的な歴史事実を明らかにせねば ならない、と私たちは信じています。その歴史事実の中には、当然国家が犯 した様々な過ちも含まれます。そして過去の過ちを深く反省することを通し てこそ、国際社会から信頼され、また私たち自身誇れるような国が作れるも のと考えます。 しかし改正案第2条第5項のように、「国を愛する心」それ自体が優先され るならば、物事の一面のみの、表面的な「美しい」面のみしか国民は学ぶこ とができなくなるでしょう。やがては、私たちの使命である客観的な歴史事 実を追究することもできなくなる恐れがあります。それは、憲法の定める学 問の自由や精神の自由を、損ねるものです。また我が国の国際的評価を貶め るものとなりましょう。ついには、だれにもコントロールできない狂信的ナ ショナリズムを招く危険すらあるのです。 このような問題点がある以上、私たちはこの改正案には反対です。 私たちは、伝統文化を尊重するという理念は今の教育基本法でも十分実現で きると思います。教育基本法前文には、「普遍的にしてしかも個性豊かな文 化の創造をめざす」とあります。ここで言う「個性豊かな文化」とは、国際 社会の中での我が国固有の伝統文化と、また国内諸地域・集団ごとの伝統文 化も含まれていると考えます。そのような様々な伝統の尊重なしには、個性 的な文化は創造できないからです。いまの基本法前文の精神に基づいて、伝 統を尊重した教育を行うことは十分できるのです。 改正案を廃案にし、いまの基本法のもとで、様々な伝統を尊重するとともに、 歴史事実を真摯に受け止め、自省する国民を形成することを目指すこと。こ のことを私たちは、強く求めます。 平成18年(2006)11月 日 東京大学史料編纂所で働く有志(教員・職員)約50名 ―――――――――――――――――――――――――――――――― ●東京学芸大学教職員有志 <教育の国家統制を強化する教育基本法改正案の廃案を求める声明> 先の国会で継続審議となった教育基本法改正案の審議が10月30日衆議院 教育基本法特別委員会で再開され,11月16日に衆議院を通過,現在参議院 で審議が進められている.政府与党は今国会での教育基本法改正案の成立を 目指すと言って,情勢は緊迫の度を加えている.我々は教育に深く関わる東 京学芸大学の教職員として,以下のような観点から教育基本法改正案を廃案 にするよう強く求める. 1 現行の教育基本法は,第二次世界大戦の反省に基づき.憲法と一体とな って国民一人ひとりの自主的・自律的な人格形成の営みを保障しているもの であり,その意義はますます増している.「改正」案は,現行法の根幹を180 度転換し.国家による教育の統制を強化するものである.しかし,現行教育 基本法の根幹を変更しなければならない理由はいまだ に十分に説明され ていない. 2 政府文部科学省の提出した「改正」案は,第2条(教育の目標)におい て,法律で強制すべきではない「愛国心」や「公共心」などの徳目が掲げら れているほか,第16条(教育行政),第17条(教育振興基本計画)におい て,国が教育内容の国家基準を設定し,その達成度の評価とそれに基づく財 政配分を通して教育内容を事実上統制する仕組みが盛り込まれている点な ど,大きな問題がある. 3 教育基本法は「教育の憲法」とも呼ぶべき重みをもつ法律であり,その 影響は学校での教育にとどまらず,非常に広く深い範囲に及ぶ.しかし,国 会の審議や,国民的な議論は極めて不十分であるといわざるをえない.国会 において徹底的な審議が行われ,国民の前に問題点が明らかにされなければ ならない. 4 学カ問題や格差問題に加えて必修科目未履修やいじめなどに関する話 題が連日報道され,教育の問題は大きな関心を集めている.しばしばそれら の問題解決と教育基本法の「改正」が関連して語られることもある.むしろ, 現在の教育の抱えている問題は,現行法の精神が教育行政や教育現場におい て軽んじられていることに起因していると考えるべきである. 2006年12月1日 東京学芸大学教職員有志(計217名) **************************************** 発行 日本教職員組合 教文局 〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-2 日本教育会館6F TEL 03-3265-2174 FAX 03-3230-0172 日教組ホームページ http://www.jtu-net.or.jp/ 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