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LNJ Logo 第4回裁判交流合宿報告〜新しい労働運動めぐって熱く論議
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特急たから@千葉です。

 第4回裁判交流合宿(9月2〜3日、裾野研修センター)に参加してきましたので、簡単に報告です。

 1.「新しい時代の新しい労働運動の構築」について(NPO法人・労働相談センター理事長 石川源嗣さん)

 労働者が団結を破壊され、バラバラに分断された結果、集団的労使紛争よりも個別的労使紛争がメインとなった現代において、労働相談を通じた組織化の重要性についてのお話しでした。  労働相談で最近増えているのが「会社が辞表を出しても辞めさせてくれない」というもので、景気回復以降多くなった、とのこと。極端なリストラの反動で仕事は増えているのに人は増えず、一部の人たちに業務が集中、その人たちが辞めたいと辞表を出しても辞めさせてくれないというパターンが多い。  「辞めるなんて、上司の机に辞表を叩きつけてさっさと会社から出て行けばいいだけ。それがなぜ相談になるのか最初はわからなかった」というのが石川さんの印象だったそうで、私も最初はそう思っていました。しかし、現実は想像をはるかに超えていて、会社から「辞めるならお前が後任を探してこい」「次の転職先の会社に、前の会社で業務を放り出して辞めたと言いふらしてやる」などと言われ、辞めるに辞められない人が増えているのだそうです。

 「辞めることは労働者に与えられた最初で最後の自由。それすらも奪われるとき、労働者は奴隷に戻る」という石川さんの言葉を聞いて、背筋が凍りました。

 お話しの中では、すかいらーくの店長として、酷いときには1ヶ月130時間の残業をさせられた挙げ句、過労死した中島富雄さんのケースが取り上げられました。驚くべきことに、ゼンセン同盟傘下のすかいらーく労組は、夫を亡くした中島さんの妻が悲嘆に暮れる中、こう言い放ったそうです。「魅力ある店長は、周囲からの助けが得られるから過労死などしない」と。

 今まではどんな労組であれ、無いよりはましだと思っていた私が、こんな労組なら叩き潰した方が社員のためだと、生まれて初めて本気で思いました。
 ここまでの怒りは本当に久しぶりに感じるものです。
 労働者の味方のふりをして背後から矢を放つどころではない。
労働者を裏切る自分自身をあけすけに語り、隠すことすらしない。

 交流会では、「どうやってゼンセン同盟を倒すか」が真剣に議論されました。労働貴族という名の汚れた豚どもを打倒するための決起集会といえるほど、みんなが怒りに燃えていました。

 2.「安全問題と労使関係」について(元航空連副議長・村中哲也さん)

航空業界に身を置き、40年近く安全闘争に関わってきた村中さんからの報告。連続して事故を起こした日航の体質的要因(日経連幹部を役員に送り込んでまで労組潰しに明け暮れる経営陣、効率経営第一主義と国策会社としての国威発揚)を村中さんは「航空法も守れない会社が労働法など守れるわけがない」と明快に斬りました。

「労働者による安全闘争として航空安全連絡会議が結成された。航空関係労組だけでなく全運輸(運輸省)、全気象(気象庁)、全税関(税関職員の一部)など国家公務員の労組も加入したことは官民の枠を越えた安全闘争として意義深いものがある」。切り崩されてわずか8名になった組合が826名の組合を糾合した経緯にも触れ、「機関紙では決して分裂した仲間を批判しなかった。航空労働者として、別れた仲間も安全問題では共通の要求課題を持っていると信じたからである。安全を求める闘いは技術労働者の良心を回復させる機会となった」。

 安全闘争は利用者・国民と労働者を結びつけ、利潤第一へと暴走する政府・経営者を孤立させる最も大きな武器であり、公共交通の労働運動は安全問題を数ある要求課題のひとつではなく、まさに要求の第一に据えなければならないと、村中さんは強調しました。  労働運動が国民・利用者の支持を得るためには語りかけの方法も大切であり、「仕事がきついから超勤削減を要求」するのではなく、「安全を守るため、仕事への集中力を維持できるようにするため超勤縮減を要求」するのだと言えば利用者の支持を得られる、という話は重要だと思いました。「正しい運動なのだから理解されるはずだ」という、ある意味の驕りが労働運動をダメにしてきたと言える実例を知っていたからです(例えば上尾事件。「正しい運動だから必ず理解される」なら、あのような事件は起こるはずがない)。

 最後に、JRの最近の事故について。「分割民営化にその原因があるが、総評・国労健在の時期にも効率主義・安全軽視は国鉄に存在した。それなのに、JR化以降急速に安全性が低下しているのは(単に経営形態が問題なのではなく)労働者の運動の弱体化にこそ原因がある」と指摘。労働運動にとって厳しい指摘だと思いますが、逆に言えば「我々次第で安全はどのようにでもなる」ということでもあります。

 これ以外は簡単な報告にさせていただきます。

 3.労働契約法制をめぐる今後の闘いについて(中小政策ネット事務局長・平賀健一郎さん)

 厚生労働省がしきりに導入を狙っている労働契約法制とホワイトカラー・エグゼンプション制についての話がありました。ホワイトカラー・エグゼンプション制は、自律的労働時間管理の美名の下、一定収入以上の労働者に超過勤務手当を支払わなくて済むようにしようという労働法制の大改悪です。現在でも長時間労働・サービス労働が蔓延する中で、これが導入されたら日本の雇用労働者に未来はないと言っていいほどの悪法です。
 厚生労働省が財界との事前調整もないまま突然「残業が月30時間を超えたら割増賃金率を150%に引き上げる」との案を出したため、労働側に加えて経営側からも反発を受ける事態になり、導入のめどは立っていないとのことですが、とにかく法案化される前に阻止する必要があります。

 4.裁判所の動向と問題点(弁護士・萩尾健太さん)

鉄建公団訴訟に弁護活動でも知られる萩尾さんのお話で、最近の労働裁判の動向が紹介されました。労働者にとって「地獄の高裁」と言われていますが、高裁で逆転勝訴の例もあり(筆者注:郵政4.28の裁判など)、裁判所に対する運動によって司法も動揺している、とのお話しでした。


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