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LNJ Logo 4・30弾圧〜警察のねらい
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小倉です。

30日の「自由と生存のメーデー06」のデモを弾圧した警察当局は「共謀罪が 成立したらデモを計画段階でつぶしてやれたのに」と思っていたに違いない。

この日のデモに対して動員された警察官の数も尋常ではないことから、警察側 は、あらかじめ検挙を目的とした露骨な弾圧を意図していたとみることができる。

この弾圧は、次の三つの点で、たいへん大きな問題をはらんでいると思う。

第一に、。デモ出発にあたって、警察は、音楽を流すことを禁じた。これは、明 らかに、憲法が保障している言論・表現の自由へのあからさまな侵害行為だ。た かが音楽がそんなに「恐い」のだろうか?

第二に、昨年12月の天皇誕生日に、おなじ渋谷区で行われた反天皇制運動連絡 会の集会への右翼の抗議では、街宣車が大音量の音で会場周辺を練り歩いていた が、警察はこうした大音量を規制していない。私は、規制しろといいたいのでは ない。右翼に対しては寛容な警察というあからさまな不公正を身を持って実感し たということである。

第三に、尋常ではない事後の弾圧だ。ガサ入れや逮捕者の交通権を認めない態度 がますます露骨になっている。

警察の過剰反応には一体どのような「心理」が働いているのだろうか。警察は、 今回の集会、デモの主催者を、ワールドピースナウなどの大手反戦運動とは一線 を画す周辺的な存在とみなして、暴力的な弾圧を行っても大きな批判や反発はな いとみなしているふしがある。他方で、渋谷の若者ウケするDJとサウンドシステ ムは、多くの若者の飛び入り参加を生み出した「実績」があるために、その可能 性にビビッている側面もある。

立川テント村のビラ入れ弾圧や厚木基地監視活動への弾圧にもいえることなのだ が、警察の対応は、アクティブで影響力のある周辺的な運動をつぶすことにかな り大きなエネルギーを割いている。運動内部の分断をはかり、徐々に弾圧の輪を 狭めようというわけだから、現在の弾圧は、広範な大衆運動全体への弾圧なのだ という視点をもたなければいけない。運動のスタイルや考え方が違っていたとし ても、その違いは、警察の弾圧を正当化しないし、警察の弾圧に無言であってい いということでもない。警察の行動が不当であるかぎりは、はっきりと抗議の意 思を示すことがたいへん大切なことなのだ。

令状無しの逮捕は、それだけの緊急性がなければ認められない例外的な警察権力 の行使であるというのが建前であるが、デモ、ビラ入れなど人々の政治活動や市 民運動、労働運動への警察の対応は、この建前をすっかり捨て去り、いつでも好 き勝手に逮捕勾留できるかのようだ。何の緊急性もなくやみくもに逮捕勾留し、 しかも勾留期間は勾留期限ぎりぎりまで引きのばされ、異常に長い。欧米の反戦 デモなどで、警官隊と衝突して逮捕されても、即日釈放か、長くても翌日には解 放される。逮捕も、警官隊との衝突という混乱を回避する緊急手段以外の意味は ない。

しかし、日本の場合の長期にわたる逮捕・勾留の意図は違うところにあ る。裁判もなく、長期の勾留を課す意図は、その結果として職を失うなどの損失 を与えて、事実上の精神的物質的な苦痛を与えるある種の拷問であり、デモなど の反政府的な言論、表現行為そのものを抑圧しようという意図を持っている。 「二度とデモをするな」というわけだ。これほど明白な人権侵害がまかりとおっ ている国はめずらしい。これは、明確な思想信条の自由の侵害であるが、外形上 はなんらの市民的自由の侵害もなされていないかのように装う詐術に警察は長け ている。

現在、国会では共謀罪が審議中だ。今回のような弾圧体制が日常化しつつあるな かで、共謀罪が成立すれば、確実にデモを計画する段階で共謀罪で検挙される可 能性がある。共謀罪容疑で検挙して、ガサ入れをし、勾留期限ぎりぎりまで勾留 して釈放する。こうしたことが、600以上の犯罪を対象に、共謀だけで日常的 に繰り返される確率は非常に高い。共謀罪が成立したら合法的なデモすらできな いくなるのだ。


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