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●ノーモア尼崎事故キャンペーン・国際シンポ資料

韓国における鉄道民営化の動きと鉄道労組の闘い

《韓国の鉄道事情と鉄道労組の現状》

韓国鉄道の総キロ数は7,746km(営業キロは3,378km)で、韓国鉄道公社の従業員数は、正規職が31,480人、非正規職が3,113人です。労働組合については、韓国では現在、企業単位の複数労組が法的に禁止されているため(2007年から企業単位の複数労組を認める)、 韓国鉄道労組が唯一の交渉団体であり、労使間にユニオンショップを団体協約で締結しています。組合員数は25,762人で、このうち非正規職組合員が1,300人程度になります。韓国鉄道労組は2001年に委員長選挙を組合員直選制に民主化し、2002年上部団体を韓国労総から民主労総に変更して、自主的で民主的、闘争的で社会連帯的な労働組合運動路線を堅持しています。そして運輸産業ひいては公共部門の産業別労組建設を推進しています。

《民営化・分割化はこれまでどのような形で進行してきたか》

1999年、キム・デジュン政府が鉄道施設と運営を大分割・鉄道民営化政策を立案しましたが、 2002年2月の鉄道労組ストライキで留保となり、2003年 4月、ノ・ムヒョン政府と鉄道労組の合意で維持補修は運営と統合して建設だけ分離する小分割に転換し、鉄道民営化政策を撤回されました。2004年1月、鉄道建設を担当する韓国鉄道施設公団が発足し、2005年1月、鉄道運営と鉄道施設維持補修を担当する韓国鉄道公社が発足しました。したがって現在、韓国政府の具体的な鉄道民営化推進計画はありません。

ノ・ムヒョン政府は2003年6月に鉄道公社化立法を行いながら、高速鉄道建設負債10兆ウォン余りの政府引き取りを要求する鉄道労組のストライキを公権力投入で弾圧して韓国鉄道公社に押し付けました。このため2005年1月に発足した韓国鉄道公社は過度な負債による赤字急増で、政府の計画及び戦略経営計画に基づいて全面的な商業化構造調整に出ています。韓国鉄道労組は、政府が鉄道商業化構造調整を先行した後、民営化を再度推し進める可能性を憂慮しています。

《安全面での規制緩和や利益優先によって安全を脅かされているような事例は》

韓国鉄道は2004年まで政府機関である鉄道庁だったので、安全に関する別途の法令なしに内部規定で安全に関する規制をして来ました。2005年韓国鉄道公社発足とともに鉄道安全法が制定され、安全に関する規制をしていていますが、1人乗務の条件、車輌整備及び維持補修の周期、駅運営など安全と密接な関連のある事項について法的基準を提示しておらず、韓国鉄道公社はこれに関する規制を受けていません。この間、韓国鉄道公社は収益追求を優先する商業的経営を通じて、安全に及ぼす影響について客観的検証なしに車輌整備及び維持補修周期の拡大、1人乗務の拡大、無人駅と委託役の拡大を推進しています。

《「民営化・規制緩和」が鉄道における雇用形態の外注化・下請化・非正規化を進行させている》

韓国鉄道公社に直接雇用された非正規職は正規職の10%水準です。初期にはサポート業務と季節的業務にだけ非正規職を雇い、その規模が1千余名以内でしたたが、1997年IMF 通貨危機以後、韓国社会に新自由主義の労働市場自由化が公共部門にまで拡散しながら駅務、乗務、車輌管理、施設管理、電気など正規職と等しい常時業務への契約職採用が拡がり3千名を越すようになりました。韓国鉄道公社に間接雇用された外注下請人員の正確な統計はなく、 1万名を越えると推算しています。初期には掃除のような単純業務が外注化されたが、券売所を通した駅業務外注化、車輌整備及び施設電気維持補修業務の外注化、準備機関士外注化、KTX女性乗務員外注化など正規職と等しい常時業務への外注化が拡がっています。これらの非正規職拡大の問題点は、専門性と責任性の不足で列車の安全及び鉄道サービスの質が悪化し、等しい業務を行う鉄道労働者間に差別が発生するということです。外注下請の場合、内部取引き及び管理費用の増大で経営の效率化に逆行しています。

《鉄道部門の人員削減とその影響》

1996〜2000年の第1次国有鉄道経営改善計画により36,389人から29,418人に7千名余が削減されました。以後、韓国鉄道労組の闘いと高速鉄道開通、昼夜24時間交代から3組2交代への転換など勤務体制改編によって1万名余の新規人員が必要でしたが、2005年31,480人へと2千名余が増えるに止まりました。無理な人員削減と新規事業への増員抑制は、正規職の労働強度強化と非正規職の拡大として現われています。この結果、鉄道労労働者には労働安全と健康を脅かし、鉄道利用者には列車安全と鉄道サービスの質に悪い影響を及ぼしています。

《この5年間での死傷事故やその原因》

2000〜2004年の5年間、旅客死傷は1,732人(死亡215人、重軽傷1,517人)、業務死傷は415人(死亡121人、重軽傷294人)が発生しました。業務死傷のうち、かなりの数は隠されており、実際の数字はこれより多いでしょう。191人が死亡した2003年の大邱地下鉄惨事のような大型死傷事故はありませんでしたが、年間平均40人余りの旅客が死亡し、20人余りの鉄道労働者が死亡しています。列車事故の原因は列車衝突が2件、列車脱線が14件であり、業務事故の原因は作業中の列車接触や過労死などです。

《鉄道労組に対する権利の侵害や解雇などこの間の労働組合攻撃、鉄道労組としての闘い》

鉄道民営化に反対する2002年2月ストライキ、一方的な鉄道公社化立法に反対する2003年6月ストライキ、鉄道公共性強化を要求する2006年3月ストライキなど、韓国鉄道労組の闘いの過程で、政府と経営陣の弾圧により、それぞれ10〜30人余りの指名手配及び拘束者が発生し、20〜80人余りの解雇者が発生しました。現在67人の解雇者がおり、2006年3月ストライキで委員長が拘束され、追加の解雇が発生する予定です。労働基準法や団体協約の違反、不当労働行為の横行など、労働組合の権利を侵害し組織力を弱めるための経営陣の攻撃は、日常的に現われています。

この間の韓国鉄道3月ストライキの主要要求は、鉄道の公共性強化、一方的な構造調整中止と完全な週5日制を勝ち取ること、非正規職差別撤廃とKTX女乗務員の正規職化、解雇者復職などでした。4日間の前面ストと1ヶ月間の現場闘争を通じて、4月1日、労使合意を導き出しました。その内容は、公共割引縮小計画を修正し、鉄道利用者の鉄道運営参加を講ずることにしました。組織改編と統合情報化を労使協議を通して進めることにしましたし、乗務分野の週5日制合意が行われました。非正規職の労組活動保障と団体協約の拡大適用が行われました。現政府以前の解雇者をまず復職させることにして、鉄道構造改革関連解雇者の復職のための労使協議体を作ることにしました。問題点は、KTX女性乗務員正規職化要求が受け入れられず、現在までKTX女性乗務員のストライキ座り込みが続いており、政府と経営陣の鉄道商業化政策は未だ撤回されず、ストライキと係わる民事・刑事責任及び懲戒問題が懸案になっています。現在、一番力を入れていることは、3月ストライキ関連の民事・刑事上責任及び懲戒最小化労使協議の履行、第2四分期から予定されている組職改編及び統合情報化に関する労使協議、6月政府の鉄道経営改善対策発表に関する鉄道商業化撤回のため高速鉄道負債の政府引き受けと鉄道公共性強化のための対政府活動、解雇者復職のための闘い、2006年賃金及び年金不利益交渉闘争を準備しており、2007年企業別複数労組許容と専従者賃金支給禁止に備えて現場組織力強化、財政自立、産別労組建設を推進しています。

《安全問題での労働組合の関わり、日本の「尼崎事故」への受け止め方》

団体協約に「鉄道労使間に現業所属、地域本部、中央に労働安全衛生委員会を同数で構成して運営する」ようになっており、これを通じて会社に問題提起することができます。当局には鉄道安全法、産業安全保健法施行令改正時、労組が意見を開陳していますが、常設的な協議機構は設置されていません。

「尼崎事故」については、民営化ならびに私鉄の利潤追求のための熾烈な競争体制から機関士に定時運転への過度なストレスを与えることで、曲線区間で制限速度を無視して無理な回復運転をして脱線事故を起こしたものと理解しています。曲線区間の線路設計が制限速度に一定の余裕を置いて行われるという点から見て、線路維持補修の外注化で線路状態にも異常はなかったのか疑問点を持っています。

《鉄道の安全・労働者の権利との関連について》

韓国鉄道が民営化されはしませんでしたが、政府と公社経営陣の商業化政策により、鉄道の安全が疎かになっており、労働者の権利が攻撃されています。収益追求を優先する経営計画により、安全に係わる分野まで費用節減の観点でアプローチするようになり、列車安全業務と人員の運営が削減されています。鉄道労働者は構造調整による年金不利益を経験し、雇用不安と労働強度強化を憂慮しています。鉄道利用者たちは収益至上主義の経営により公共割引制度の縮小、一般鉄道及び地域鉄道サービスの縮小を経験しています。

《民営化政策に対する世論・メディアの動向》

韓国マスコミの大部分は、公共部門の民営化を主張しています。一方、世論は、鉄道民営化のケースでは反対が若干多く、国家基幹産業の場合では民営化時の公共料金値上げや海外売却を憂慮するケースがかなりです。ノ・ムヒョン政府がこのような世論を勘案し、ネットワーク産業の民営化見直しを公約に掲げて大統領選挙当選に役に立った事があります。

《「民営化・規制緩和」と闘う国際連帯の必要性》

新自由主義グローバル化、鉄道など公共部門の民営化商業化に反対する国際連帯と共同闘争を展開しなければなりません。「利潤より安全と普遍的サービスの優先を!」を鉄道運営のキャッチフレーズに全世界民衆の中に広げなければなりません。各国の鉄道公共性を強化するための闘いを活性化し、国際的に支援連帯しなければなりません。このために各国の新自由主義鉄道構造改革状況と労動者民衆の闘いに関する情報の相互共有、国際シンポジウムなど共同対応戦略の樹立、鉄道の安全と公共性確保のための共同キャンペーン、鉄道公共性確保のための各国ストライキ及び闘争への支持と労組弾圧に対する抗議声明及び共同行動など、共同実践を拡大して行かなければなりません。

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