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脱WTO草の根キャンペーン集会 「今、格差社会を問う」

 私たちが日々の生活で「格差社会」という言葉を耳にすることは、もはやめずらしくない。4月13日に文京シビックで「今、格差社会を問う」と題する集会が、脱WTO草の根キャンペーン主催のもと開かれた。そこでは郵便局、市営図書館、北海道の農業、野宿者という四つの現場で、今いったい何が起きているのかが、赤裸々に語られた。

 まず郵便局員の須藤さんは、Japan Post System方式のもとで、労務管理が強化されている現状を報告した。「受箱配達」は非常勤職員の仕事になっている。常勤職員は、「対面配達」(顧客に直接会って手渡す書留や速達)に加え、郵便商品の販売も任されるようになっているそうである。常勤は人員削減が進んでいるため、一人一人の職務量が増えている現状を話してくれた。

 次に図書館員の三好さんは、公立図書館の現状を語った。図書館は職場の7割を占める非常勤職員なくして仕事は回らないそうである。正規職員は図書館以外の職場を転々としているため、図書館の職務に必要な専門性が欠如している場合が多いと報告された。こうした現状にもかかわらず、非常勤は賃金や休暇などに関して差別的な扱いを受けているとの話であった。

 三番目に北海道から来た白川さんが、農民たちの苦しい生活を教えてくれた。農民は借金して生産規模を拡大しようとするものの、現在のWTO体制のもとでは米の価格下落は止まらない。農民たちは日々の生活をしていくので精一杯で、借金返済の目途がたたない。しかもコミュニティの人間関係も、地域の中小商店が次々と店を閉じるなかで、崩れてきているそうである。  四番目に山谷争議団の荒木さんが、野宿者の現状を教えてくれた。今年1月には大阪のうつぼ公園で野宿者が強制的に排除された。東京でも「公園適正化」のかけ声のもと、夜公園で寝ている野宿者がガードマンに追い出されているそうである。野宿者が自立する話を報道することはあっても、公園から追放されている現実を伝えないマスコミに対する不満を語ってくれた。

 四人の報告者は現代の「新しい貧困」の現実をそれぞれの現場から伝えてくれた。これらの報告はともすれば私たちを陰鬱な気持ちにさせがちである。しかしながら、たとえば三好さんは、指定管理者制の図書館への導入を拒否させる運動に勝利したことを、荒木さんは野宿禁止地区に小屋を作るという新たな動きが出てきていることを報告され、私たちを元気にしてくれた。

 討論のなかで、ある報告者は別な報告者の言葉に見受けられた非正規職員への差別的なニュアンスを指摘した。指摘された側は、その場で自分の無意識に発した言葉を反省した。このように「新しい貧困」を生きる報告者たちの間でも、差別や排除とは無縁ではない。しかし上のやり取りのように、お互いの考えをぶつけ合い、自分を見つめなおすことなくして、つながりは形成されないことを痛感させられた。

 討論の最後に、「新しい貧困」に対する二つの対峙の仕方が確認された。一つは今回の集会で見たように、それぞれの厳しい現状のなかで、人としてのあたりまえを求める運動を起こしていくことである。そしてもう一つは、同じような状況下にある各地の運動とつながることである。次回の集会では、特に二つ目の対峙の仕方に関して、アジアの活動家を招いて議論をする予定とのことである。


Created by Staff. Last modified on 2006-04-17 03:58:14 Copyright: Default

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