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映画『三池 終わらない炭鉱の物語』

上映会場で“三池の主婦の子守唄”響く

ドキュメンタリー映画『三池 終わらない炭鉱の物語』(熊谷博子監督)が、東京・東中野のポレポレ東中野で劇場公開中(モーニングロードショー)だが、4月8日(土)、映画上映の前に、熊谷監督、三池炭坑の現地・大牟田市からのスタッフを交えての“炭坑メロディー・ミニコンサート”が開催された。当日は、学生さんからご年配の方まで、会場に入りきれない大勢の人で溢れかえり、開始が20分近く遅れるというアクシデントが起きていた。

 上映に先立ち、映画製作の切っ掛けとなった大牟田市職員との出会いの話が熊谷監督よりあった。監督は大牟田市から駆けつけた職員を紹介、企画にたずさわった担当者からは「大牟田の出来事は、地元では“負の遺産”と言われてきた。しかし、炭坑で働いた人の思い、誇りを歴史の中で証明していかないと将来展望がないと考えた」と、この映画に込めた想いの程を語っていた。熊谷監督は「この映画は行政と一緒に作った映画」と、改めて協力者に敬意を表していた。

 続いて、大牟田からのスタッフと一緒の“炭坑メロディー・ミニコンサート”がおこなわれた。「炭坑節」「三池の主婦の子守唄」「炭掘る仲間」の3曲がアコーディオンの伴奏で披露された。三池争議当時、主婦たちがたたかいながら、座り込みをしながら歌った唄だという。♪♪「かあちゃんたちの正しさが勝利の朝を呼んでいる」♪♪や、♪♪「家族ぐるみのあと押しが明るいあしたを呼んでいる」♪♪といった歌詞が場内に響き渡った。

 “三池炭坑”という言葉で連想することといえば「大争議」「強制労働」「大事故」というのが代表的なところなのかも知れないが、映画では、事故や争議の際に夫や子どもたちを支えた主婦の姿、自らが炭鉱労働者として働いた女性労働者の存在、じん肺となり病とともに今を生きている元炭坑労働者の姿など、生の人間の姿、生活の局面が随所に描かれている。

映画の冒頭では、まるで遺跡の様にたたずむレンガ作りの抗跡の建物が映っているのだが、登場人物の言葉が積み重なるうちに、次第に遺跡のような建物に命が吹き込まれ、映画の最後の頃には、建物の向こう側で働く人間の姿が、過去ではなく、現在、そして未来のこととしても見えてくるから不思議だ。ちょうど、映画「タイタニック」で、海底に沈んだ船の残骸から次第に当時の船内の物語がイメージできるように、三池炭坑の入り口からは、かつて炭坑で働いた労働者の姿やたたかいの軌跡が蘇ってくる。

三池炭坑は確かに過去のことかもしれない。しかし、映画が私たちに迫り、訴えているのは、まぎれもなく今現在のこと。そして、この映画が投げかけたことに対しての答えは、私たちがこの先考えなければならない未来の問題としてもあるのだろう。

映画は、ポレポレ東中野で好評上映中。土、日はゲストによるトークあり。(杜 海樹)


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