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パリの飛幡祐規(田代優子)です。

若者対象の初採用契約CPEをめぐるフランスの社会運動のつづきです。 4月4日のデモは前回と同規模、あるいはさらに上回るもの(主催者発表310万人、 警察103万人、おそらく200万人以上)となり、学生・高校生、労組ともに力を 得て、共闘体制を崩さずに撤回を要求をつづけています。

これまでの例では、これほどの人が路上に出て、また世論調査でも6割以上が撤回を 求め、与党内、経営者団体まで政府のやり方に批判がある状態では、政府は法案を取 り下げたのですが、今回は来年の大統領選挙を狙うド・ヴィルパン首相とサルコジ内 相の権力争いのせいで、(また、首相は議員経験もないため政治のかけひきがわから ず、独善的な姿勢を崩せない)フランスの現行民主主義制度の機能不全、つまり社会 危機だけでなく政治危機にまで陥っています。 (参考:「先見日記」http://diary.nttdata.co.jp/diary2006/04/20060404.html)

与党の議員団長と労組・学生・高校生組合の「交渉」が5日から始まりましたが、 これも不可解で不明瞭な大統領演説と同じく、反対派はもちろんCPE撤回をすべて の交渉の前提にしていますが、政府と与党内部の思惑はちぐはぐで、首相派はいまだ 最小限の修正にとどめようと考えているので、進展がありません。

一方、学生たちは先週末からデモ以外に「パンチ・オペレーション」と称して、鉄道・ 道路封鎖など、突発的で生活に影響を与えるような運動を開始しています。 大学・高校では6月の試験シーズンを前にして、早期解決しないと今年度の試験や単位 に問題が出てくるわけですが、教育省は「授業再開せよ」と言うばかりで何の対策も うたれません。そこで、大学学長代表はきょう、「もういい加減にしろ。撤回、廃止と いう言葉を言いたくないなどという態度を改めて、政治家はちゃんと責任をとってこの 状況を収拾せよ」と発言しました。労組・学生組合などは17日までの撤回を要求して いますが、パリなどでは今週の土曜から2週間復活祭休暇に入ります。政府側は時間を かせいで学生・高校生運動が下火になるのを期待しているのでしょう。

30年来フランスに住んでいますが、ここまで腐敗した政体を見たことはありませんで した。 なお、今度の日曜はイタリアの総選挙で、マフィア・賄賂政治のベルルスコーニ対 左翼連合の対決です。


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