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LNJ Logo 「日の丸・君が代」問題で都教委へ要請行動
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 2月13日、都教委包囲首都圏ネットワークのメンバー約10名は、都教育委員会に対して要請行動をおこなった。教育庁の職員が対応したが、「聞いて伝える」だけの誠意のないものだった。約30分にわたってメンバーは「都教委が教育を破壊している」など強く訴え、月末までに質問に回答するよう要請した。写真は、署名を手渡すところ。


教職員及び生徒に対する「日の丸・君が代」の強制に反対し
「10.23通達」及び「3.11通知」の撤回などを求める要請

東京都教育委員会  委員長 木村 孟 様
          教育長 中村正彦 様

 2003年10月の「10.23通達」から2年以上の年月が経過し、この間に行わ れた周年行事卒業式・入学式で東京都教育委員会は300名を超える教職員を戒告・減 給・停職などの処分を行いました。同一の自治体で同一の件でこれだけの数の処分を次 々と乱発することは、教育行政史上かつてなかったことです。「国歌斉唱」時の“不起 立”というギリギリの意思表示に対して加えられた苛酷な処分は、憲法に保障された思 想信条の自由を奪い、教職員に「踏み絵」と「思想転向」を迫るものです。

 2004年3月には「3.11通知」を出し、都立高校における「内心の自由」の説 明を「不適切な指導」として禁止しました。これは生徒の内心の自由を奪うばかりでな く、教育活動に対する不当な介入です。

 卒業式・入学式は特別活動であり教育活動の一環です。式の形態を画一化し、それに 異を唱える教職員を「処分」で脅し、学校現場に教育庁職員を派遣して教職員を監視し 、不起立者の現認を行い、生徒や保護者の不起立を上部に報告し、それを理由に校長や 教職員にさらなる処分を加える。これは明らかに教育基本法10条に定める教育に対す る「不当な支配」以外のなにものでもありません。

 都教委は「不当な支配」をさらに強化しようとしています。05年12月8日の定例 都議会での一般質問に答えて中村教育長は、卒業式で生徒の不起立が多数出た場合など には、「生徒を適正に指導する旨の通達を出す」と明言しています。「3.11通知」 を「通達」に“格上げ”して教育指導の内容を理由とする懲戒処分を教職員に加えよう としているのです。

 都教委はこれまでに、被処分者に対しては二重処分にあたる「再発防止研修」と称す る人権無視の「思想転向」の強要を行ってきました。加えて、05年12月1日には、 05年7月21日に行われた「再発防止研修」時の「ゼッケン着用」などを理由に、1 1名にさらに戒告や減給などの「処分」を加えました。 「処分」の乱発で都教委は何 をしようとしているのでしょうか?

 都教委は、卒業式・入学式において生徒・保護者を含め全員が「国旗に向かって起立 し、 国歌を斉唱する」という状況を作り出した上で、儀式的行事を教育行政の管理下に 置き、これを糸口にして教育内容への全面的介入に乗り出そうとしています。06年度 から、教育内容の監視を常時行うことを目的として「都立学校経営支援センター」が設 置されます。07年度からは都立高校全校に「奉仕」が必修とされようとしています。

 このように、石原・中村教育行政が目指しているものは、教育を時の政治権力の監視 と支配の下に置き、そのプロパガンダや「教化」の手段とするものにほかなりません。 憲法・教育基本法とまったく異なった教育の体系を作り出そうとしているのです。

 都教委の「日の丸・君が代」強制は、「つくる会」教科書導入の策動と本質を同じく するものです。戦争のできる国づくりをめざす一部右派勢力の動きとタイアップして暴 走を続けている都教委は、05年には、義務制の学校に過去の侵略戦争を美化する「つ くる会」教科書を大量に導入しようとして横山前教育長以下奔走してきました。「つく る会」教科書を、2005年7月28日の定例教育委員会で、中高一貫校やろう・養護 学校に強制的に「採択」しました。

私たちは都教委の数々の暴挙を満身の怒りを込めて糾弾します。

私たちは、都教委がこのような暴走をただちに中止し、これまでの行いを反省し、憲 法・教育基本法にもとづく本来の教育行政に立ち返ることを強く要請し、以下の諸点を 申し入れます。

1.2003年の「10.23通達」を撤回し、卒業式・入学式等の実施に関して学校現場への不当な介入をただちに中止すること。

2.生徒への内心の自由説明を禁止した2004年の「3.11通知」を撤回し、教育指導の内容に対する不当な介入をただちに中止すること。

3.「10.23通達」に基づいて出された「職務命令」の違反を理由とする教職員に対する処分をただちに撤回すること。

4.卒業式・入学式等の監視のための教育庁職員の派遣を中止すること。

5.被処分者に対する「再発防止研修」をただちに中止すること。

6.週案提出強制、指導主事派遣など教育内容への日常的な介入を中止すること。

7.白鴎高校附属中学、 目黒地区中等教育学校など、中高一貫校4校の扶桑社版「つく る 会」社会科教科書の採択をただちに撤回すること。

8.都立ろう・養護学校への扶桑社版「つくる会」社会科教科書の採択をただちに撤回 す ること。

9.区市町村教育委員会の教科書採択への直接・間接の介入をただちに中止すること。 また、不公正な教科書採択過程を内部告発した杉並区の教職員に対する恫喝と不当処分を行わないこと。

10.小中学校の教科書の選定・採択に現場の教職員の意向を反映させる制度的保障を 復 活すること。

11.長距離通勤、校長による恣意的異動など教職員への不当な人事異動を撤回すること。不当な異動を可能にしている現行異動要綱を撤回すること。

12.都立学校経営支援センターの2006年4月開設を中止し、設置を撤回すること 。

13.不起立等による「処分」を理由とする嘱託不採用をただちに撤回すること。

14.2005年の12月8日の中村教育長の、「生徒を適正に指導する旨の通達を出 す」 との発言を撤回すること。

2006年2月13日 
都教委包囲首都圏ネットワーク 代表 見城赳樹


  東京都教育委員会に対する15の質問

2006年2月13日  

都教委包囲首都圏ネットワーク 代表 見城赳樹

◎「10.23通達」について
(1)貴委員会の公式見解によると「10.23通達」は都立学校長に対する“職務命 令”と考えているようであるが、その法的根拠は何か、お答え願いたい。周知のように 、学校教育法28条3項は校長の職務権限を定めたものであるが、その職務は「命令を 承けて」行うものとなっていない。教育行政が教育の具体的な内容にかかわることがで きるのは「指導、助言」である。また、通達は職務命令と同一ではない。

(2)(1)の“職務命令”は、地方公務員法32条の「上司の職務上の命令」をさして いると思われるが、どういう「上司」のどういう「職務上」の命令なのかを明らかにさ れたい。

(3)「実施指針」に書かれてある内容と「高等学校学習指導要領」第4章特別活動の 項目にある「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとと もに、国歌を斉唱するように指導するものとする。」という文言との関連について説明 願いたい。この文章のどこをどう解釈すると、「実施指針」の内容になるのか説明され たい。

(4)卒業式・入学式は学習指導要領にもあるように、特別活動であり教育活動の一環 である。また学習指導要領は具体的な教育内容に対しては「大綱的な基準」であるにと どまる。「10.23通達」及び「実施指針」は「大綱的な基準」をはるかに逸脱して おり、教育内容に対する干渉である。かかる東京都教育委員会の行為は教育基本法10 条2項の教育に「必要な条件の整備」の範囲を逸脱していると考えられるが、貴委員会 としてはどう考えているか、お答え願いたい。 

(5)卒業式・入学式の内容について、学校の自由裁量の余地は全くない。2005年 4月26日付福岡地方裁判所民事5部判決は、「校長が文部省又は教育委員会の指導、 助言に従わざるをえず、その裁量を行使できない場合には、そのような教育委員会の指 導、助言は、教育基本法10条1項にいう『不当な支配』にあたる」と判示しているが 、この判決に従えば、都教委が04年、05年の卒業式・入学式で行ってきたことは、 明らかな「不当な支配」に相当すると考えられるが、どうか? 貴委員会のお考えをお 聞かせ願いたい。

◎校長の職務命令について
(6)04年、05年の卒業式・入学式に際して校長は“職務命令”を乱発したが、東 京都教育委員会は校長に対して「職務命令を出せ」と強要したことは周知の事実である 。人事委員会審理でも多くの校長が証言している。このことを事実として認めるかどう か、お聞かせ願いたい。圧力を背景としたこのような「指導」は、事実上の強要であり 教育の主体である学校に対する教育基本法10条1項に規定する「不当な支配」である と考えられるが、どうか。考えをお聞かせ願いたい。

(7)卒業式・入学式などの儀式的行事は学校の決定する教育課程の一環である。その 実施は教育内容に属することである。学校教育法にもあるように、「校長は校務をつか さどる」のであって「教育をつかさどる」のではない。したがって、今回の校長の職務 命令は教育内容に対するものであって職務命令としての要件に欠けると考えられるが、 どうか?考えを聞かせていただきたい。

◎卒業式・入学式等における教育庁職員の派遣について
(8)04年、05年の卒業式・入学式において、あいさつした教育庁職員は本来は来 賓のはずであるが、主催者側からあいさつした。その根拠をお聞かせ願いたい。

◎「君が代」斉唱の生徒指導について
(9)2004年3月11日付の高校教育指導課長名で出した通知の内容は、教育指導 の内容に対する不当な干渉であり、生徒や保護者の内心の自由に対する重大な侵害であ る。憲法19条及び教育基本法10条違反である。違法な通知は撤回すべきものである と考えられるが、どうか?

(10)2005年12月8日の都議会定例会において中村教育長は一都議の質問に答 えて、卒業式で「国歌斉唱」時に生徒の不起立が多数出た場合などには、「生徒を適正 に指導する旨の通達を出す」と明言している。このことは、「3.11通知」を「通達 」に“格上げ”して教育指導の内容を理由とする懲戒処分を教職員に加えようとしてい ることを意味している。このような通達を出す法的根拠について説明願いたい。  教育指導の内容により、懲戒処分を出すことは教育基本法10条が禁じている「不当 な支配」であると考えられるが、貴委員会の考えをお聞かせねがいたい。

◎教職員の「処分」について
(11)憲法・教育基本法・学校教育法等に反した職務命令は無効であり、したがって 職務命令違反を理由とした「戒告」などの「処分」は無効と考えられるが、どうか?

◎教科書の採択について
(12)教育委員会が採択権をもつという法的な根拠を示していただきたい。

(13)当事者である教員を、採択過程からどうして除外したのか? そのことが教育 的に適切な判断であったかどうか、考えをお聞かせ願いたい。

◎都立学校学校経営支援センターについて
(14)「都立学校学校経営支援センター」設立の法的根拠を示していただきたい。

(15)「都立学校学校経営支援センター」については、疑問の声が各方面から上がっ ている。中止するつもりはないか?

以上の各項目に対して、項目別に誠意をもって2月28日までにご回答いただきたい。


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