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LNJ Logo 韓国山本労組の社前行動〜門扉以上の大きな壁
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News Item 0915-3
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9月15日(金)、東京総行動の一貫である韓国山本闘争の行動に参加した。 板橋区の山本製作所前の社前行動である。韓国山本は日本の山本製作所が 100%出資し、韓国馬山自由貿易地域に1973年に設立され、時計の文字盤など を制作してきたという。しかし、今年7月に労組と何の協議もなしに稼働停止 を宣告、現地社長が逃亡し、やむなく労組組合員たちは日本の本社に対して、 争議解決の要求に来ている(経過の詳細はレイバーネット参照)。

 今回は当該組合員と上部団体・韓国金属労連の役員の方、合わせて14名が 来日し、抗議行動に参加していた。会社の入り口は門扉が閉ざされ、「関係者 以外の立ち入りを禁ず」「門扉に手を触れないように」との張り紙がある。

 集会は20分ほど遅れて始まったが、当該が太鼓と鐘を鳴らしながら韓国式で にぎやかに登場すると拍手がおこった。集会の発言は、全統一の鳥井さんが「30年、 働いてきた労働者に対して、工場閉鎖の何の説明もないのはどういうことか」と 怒り、在日の団体の方は「日本の企業は韓国人を使えるだけ使い、儲けるだけ 儲けて使い捨てにしている。こういった経済闘争も日本と韓国の誤った関係認識 からきているのではないか」と発言していた。韓国金属労連の方は通訳を通し、 「日本と韓国に違いはあるが、労働者に国境はない」と力強く言った。

 当該の女性委員長は「日本にきて、今回の行動は6回目だが、会社の対応に誠意 は見られない。生きる権利を守るために今後も闘い続ける」と悔しさをにじませ ながら、元気よく発言していた。会社の屋上からは会社の役員だか労担だかが、 ときどきのぞいていた。また、近所の人らしい50代くらいの女性が「うるさい!」と 怒鳴り、支援の人と何か話しているのが見えた。

 集会は韓国式と日本式のシュプレヒコールで終わった。参加者はざっと見渡して 150人くらいはいただろうか。集会後、気が付くと門扉前にいた組合員たちが、話し合 いに応じるようにとの大声を出していた。中をのぞいてみると門扉の向こうには固まっ た表情の社員たち7,8人が並んで門扉を押さえていた。鉄格子の門扉を揺さぶりながら、 叫ぶ組合員たち。しかし、向こう側にいる社員は何も言わない。悔しさに泣いている女性 の当該を見て、私の方も泣けてきた。私自身も解雇争議の経験があるが、同じように親会社 の従業員に無視され続けた事があった。同じ労働者なのに、会社の言うなりになる人と労 働者として闘う人にはあの鉄格子の門扉以上の大きな壁があり、心が通じない。

 次の行動にいく道すがら、通訳の支援もしているKさんが「途中で『うるさい』って 言ってた人と話をしていたんだけど彼女は『会社の倒産で解雇されるなんてよくあるこ とだ。私もなんどもそういう目にあっている。騒ぐもんじゃない』って言ってたのよね え。日本の普通の人の感覚はそういうものになっているのかしら」と言っていた。 確かに、会社の一方的な通告で解雇されても、文句も言わずに「しょうがない」と辞めて いく人がほとんどなのだろう。でも、韓国山本の当該労組員の中でも「解雇されるまでは 普通の人だった」と言う人もいるというし、私も労働組合を結成するまでは何の運動にも 関わったことのない人間だった。闘うことで労働者としての、人間としての尊厳を意識 することができた。闘わない人はその人自身の尊厳さえ保てないのではないだろうか。 会社の門扉の内側にいた社員も、「うるさい」と言っていた女性もどこかでそれを感じ、 理解する時がくるのだろうか。

 次の闘争へ行く電車の中で、「次行った時は門扉は変わってるかもね」「電流が走って たりして」と当該たちが笑って話しをしていた。

 次にたどりついた闘争の現場は鉄建公団前。20年も闘争を続けている国労闘争団の集会 だ。参加者は430名。「普通」じゃない人ばっかりだ。要求しているのは「普通のこと」 ばっかりなのに…。労働運動の原点はやはり、争議の現場だということを改めて感じた。 すべての争議が解決するまで闘おう!

(レポートと写真・A.H/出版労働者)


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