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香港特区政府はWTOに対する抗議者を釈放せよ

グローバル市民社会の共同声明

わたしたちは世界各地からあつまった労働組合、農民、漁民、女性、宗教、学生、研究者などの団体です。わたしたちのメンバーは異なる言語、肌、民族、国籍をもっていますが、同じ信念---WTOが世界各地の労働者民衆を搾取し被害をもたらすことに反対する、という信念を共有しています。

WTO第六回閣僚会議は香港で閉幕したばかりですが、わたしたちは交渉の結果および「香港宣言」に対して失望しています。おなじくわたしたちが失望し憤慨していることは、香港政府があろうことか平和的に示威行動をしていた千名を越す人々を大規模に拘束したことであり、拘束された人々の大多数が非人道的な扱いを受け、そのうち14名のデモ参加者が政府によって不法集会に参加した罪で起訴されたことです。

WTOがすすめる不公平な貿易や資本の拡張および大企業の独占政策によって、毎年世界各地で数え切れないほどの人々の生活が耐えられない苦しみに陥り、多くの人々が活路なき道へと追いやられています。WTO---それはまったくもって全世界の市民に対する暴力的支配の組織です。2005年12月17日、世界各地からWTOに抗議するために集まった民衆の平和的示威行動が会議場へ近づき、すべての交渉代表者に対して、人々はWTOに対して反対しているのだという声を上げようとしたとき、香港警察は理不尽かつ暴力的に立ちふさがり、弾圧したのです。

わたしたちは、後に知ったのですが、当日WTO会議が行われているときに、ある交渉代表者はWTO当局がこの件に介入し、デモ参加者の意見を聴取し、請願書を受け取るという方法で会場外で発生した衝突を収めるよう要求したが、WTOの担当者は会場外のデモおよび反対の意見は無視するという意向を示したのです。このことは、WTOが実際には閉鎖的で、人々の声に関心を持たない政治とビジネスの癒着した組織であることをいっそう明らかにするものです。そして香港政府は本来の中立的立場さえなげすて、逆に政治とビジネスの癒着にいっそう固執し、WTOという国際的な政治とビジネスの癒着の集団に対する民衆の抗議の声のまえに立ちはだかり、悪人を助け悪事を働いたのです。

その晩、香港政府はさらに恥知らずにも示威行動を騒乱としてバッシングを行いました。わたしたちはこのことに対して怒り、抗議の意をここに表明します。実際には12月17日の示威行動の中では略奪や商店や歩行者への襲撃、車の焼き討ちなどの行為はまったく発生しておらず、どうしてこれを騒乱ということができるのでしょうか。

香港警察によるデモ参加者への殴打による頭部からの流血や、なんら警告もないまま使用されたペッパースプレーおよび催涙弾などのデモ参加者に対する暴力行為に比べ、示威行動は抑制的で理性的でした。WTOが世界の人々にもたらしてきた被害に比べ、当時の示威行動が市民にもたらした不便さは許される範囲のものです。実際に、示威行動は多くの香港市民の支持を受けているのです。

わたしたちがさらに受入れがたいことは、12月17日の夜から12月18日の正午にかけて行われた一連の拘束のなかで、香港警察が海外参加者に対する差別的扱いをおこない、香港の身分証を持つ人にだけその場から離れることを許可しただけでなく、拘束された示威行動の参加者は充分な食事や防寒着も与えられず、トイレにも行けず、屋外に10時間以上も留め置かれたということです。

さらに拘束された人によると、拘束期間中に平手打ちを受けたり、衣類を全て脱がされて体を捜査されたり、弁護士との接見を邪魔されたり、長時間集団で寒い屋外で立たされていたといいます。また香港警察は拘束された人々に対して充分な防寒着を提供せず、狭い拘留室内に多数が詰め込まれたとも言います。香港警察のこれらの行為は、拘留者の基本的人権に対する重大な侵害です。わたしたちはここに強い抗議の意を示します。

最後に、重ねて申し上げますが、WTOに対する抗議行動への参加は、なんら罪になるようなことはでなく、香港政府はいかなる容疑によっても起訴することはできないだけでなく、それは逆にグローバルジャスティス運動の重要な一環であるということです。なぜならWTOに対する抗議や世界的な政治とビジネスの癒着に対する抗議は、人々の権利だからです。わたしたちは以下のことを強く要求します。

1)香港特区政府はただちに無条件で示威行動参加者への起訴を撤回すること
2)香港特区政府はただちに当日示威行動を騒乱とした発言について謝罪すること
3)香港特区政府はただちに被拘束者に対する非人道的行為について謝罪すること
4)WTOはただちに世界各地の人々に被害をもたらす交渉を中止すること

2005年12月29日

レイバーネット会員稲垣氏による翻訳。 原文はHKPAのサイト


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