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中国 : 重慶特殊鋼工場労働者の闘争・続報
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中国重慶市 特殊鋼工場労働者の人権獲得闘争を鎮圧、死者3人に

  2ヶ月近い闘争を堅持している重慶特殊鋼工場労働者の人権獲得闘争は激変を繰りかえしてきたが、第5回アジア太平洋市長サミットが重慶市で開幕する前日に至り、完全武装した1000人以上の機動隊により圧殺された。死者の数は、7歳の子供を含め3人に上ると言われている。以下は自由アジア放送局特約記者・柯華の報告。

  国慶節(10/1)の期間中、特殊鋼工場労働者はアジア太平洋市長サミットのチャンスに、政府に対し重慶特殊鋼工場の残存資産を法律に従って精算すること、腐敗分子を取り締まることを要求すると表明していた。6日には1000人以上が市役所前で座り込みを行った。政府は大量の官憲を出動させ、わずか4日間でこれを鎮圧した。労働者代表5名と多くの人権擁護団体員が逮捕され、2人の老人と1人の児童が殴り殺され、多数が負傷し、人権擁護団体の幹部多数が警察の監視下に置かれた。月曜日(10/10)、つまり第5回アジア太平洋市長サミットが重慶市で開幕する前日、国道入り口と特殊鋼工場前の花園広場には守衛の姿はなく、かわりに完全武装した機動隊1000人以上が立っている。当放送局の情報提供協力者達も、記者の取材を受けると、取材に応じるのは不便であるとか、情況をつかんでいないと答えているが、彼らの一部は大きな圧力を受けているものと思われる。

  元特殊鋼工場職工・張女史の報告(録音あり):
(張女史):数十人が負傷した。3人が殺された。子供1人と大人2人だよ。子供が「警察のおじさんはえらい」と言ったら、この子を殴り殺したんだ。7歳のお嬢ちゃんだよ。メチャクチャに殴ったんだ。腹がたつ。正義なんかあるものか、メチャクチャの殴るんだ。まわりで見ている人、通行人も気をつけていないと、すぐ殴られるんだ。日本人が南京大虐殺をしたのと同じだ。
(記者):守衛室には人がいますか?
(張女史):守衛室には警官がいる。怖くて近づけない。メチャクチャに殴るんだ。狂っている。全員機動隊だ。みんな日本の(軍隊)みたいに、鉄兜、盾、完全武装だ。あっという間に1000人ばかりがやって来た。

  今回のアジア太平洋市長サミットは、はじめて中国で行われるものであり、開催以来最大の規模でもある。政府筋の話では、取材に訪れた国内国外のメディアは123社、記者は455人に達する。政府がサミット開幕前に、この様な処置をとることは、ネット上の人々は予測していた。

  サミット開幕前にこの様な暴力事件が起きたことは、海外の多くのメディアの注目を集めてしまった。そこで当局は外国メディアの取材を警戒するようになった。サミットに関するごく基本的な事柄について質問しても、回答を拒絶される有様。市共産党委員会宣伝部からサミット準備委員会ニュースセンター班、ニュース調整班、ニュース対外発表処などなどへと、次々に5ヵ所もたらい回しにされたが、何処でも電話口に出たすべての係官はサミットの基本的事柄に関してさえ知らない言い、回答しようとしない。最後に、多くの係官が、この人なら発言権を持っていると推薦した、重慶市外事事務所所長・蔡振龍氏と連絡して見たが、彼は再三再四、自分は所長であるが、一介の木っ端役人すぎず、発言出来ないと答えた(録音有り)。

  重慶市市長・王鴻挙氏は新華社ネットの記者を招待した際、今回のサミット開催は重慶に計り知れない就業の機会をもたらすだろうと述べた。だが、それが実現する前に、重慶の失業労働者がまず暴力による鎮圧に遭ってしまった。

  注目すべきは、重慶市でこんなに大きな暴力衝突事件が起き、児童と老人が殺されているのに、現地のメディアが一言も報道していないことだ。

  海外メディアの博訊ネットに、次のような文章が掲載されている。政府が威信を守るために、政府の権威が傷つくことを恐れ、大衆が真似して立ち上がる事を恐れて、人民に対してごくわずかな経済的妥協すらしようとしない。政府は常に高い位置から下を見下ろしながら、「解決」をはかろうとして、人民と誠心誠意交渉しようとしない。これは人民政府の取るべき態度ではない。鎮圧は政府の権威を一時的には守るだろう。しかし、それは汚職官僚をはびこらせ、さらに横暴なふるまいをさせ、勝手放題にしてしまうだろう。そして最後には人民が一斉に立ち上がって、これをひっくりかえす事になるだろう。

(10月10日 自由アジアより訳出)

Created by staff01. Last modified on 2005-10-11 12:45:26 Copyright: Default

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