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News Item 20050525m1
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 ゼネラルユニオンの山原克二です。 「JR西日本と関西私鉄とのバトル」について、やや、マニアックな持論を紹介します。

   JR西日本が分割の必然として、JR東海や東日本と会社相互間で険悪なのは有名で、さらに民営化後の、西日本の超営利主義はモーレツです。京阪神私鉄との競争の結果と言われていますが、もう何年も前に、「スピードのJRの圧勝」で勝負はついています。今回の事故車両や新幹線車両と同様、ステンレス・アルミの「新快速」が、その立役者で、京阪神間などで、今日もジェットコースターのように揺れながら、爆走しています。京都ー西明石間の複複線の半分が、もともと貨物線であったものを、新快速用にしたもので、私鉄特急のように、同じ線路での追い抜きや、待機も少なく、ポイント通過も最小限となったため、130キロの高速で軽量車両の運行を強行してきたのです。    阪急・京阪も、国鉄当時から、沿線客を無視して、京阪間はノストップで競争してきました。人口50万の大都市の枚方市議会は「京阪特急の枚方市停車決議」をあげましたが、無視されてきました。しかし異変は起きました。新快速が止めどもない増発とスピードアップを加速したのです。大阪は、市営地下鉄が第3軌条(下から電力を取る)のため、私鉄との相互乗り入れが困難で、滋賀・兵庫(播磨・丹波)など遠距離通勤の増加もあり、直通のJRの一人勝ちとなりました。  (但し、私鉄に同情していても、何も生みません。阪神は甲子園で支えられているものの、私鉄系バスはクリスタルでの派遣に、タクシーは悪名高い第一交通などへの売却。阪急では、駅員も下請け別会社化したほどです。) 賢明な私鉄もあります。大阪ー名古屋間の近鉄特急のTVコマーシャルは、「2時間という、レム睡眠・読書・映画(DVDレンタルしている)に丁度良い所要時間です」、というものです。ちなみに、沿線の景色もきれいですが、ガラガラです。

 私鉄は方針転換し、特急の停車駅を、茨木・長岡天神・桂・樟葉・中書島などと一挙に増やし、特急を急行のようにスローダウンしてきました。現在、阪急の梅田ー河原町は四十数分。京阪の淀屋橋ー出町柳は五十数分が最速で、2〜3年前より10分近く遅くなっています。ちなみに、ターミナル駅の立地は違いますが、新快速は28分・新幹線は15分です。ところがJRは、さらにあくどい攻撃をしかけました。それは、勝負がついたあとなのに、高槻・中山寺などの駅に「私鉄の客を横取りすることのみで」停車を開始したのです。しかも、停車駅が増えても、所要時間はまったく増えないのです。また現在建設中のJR新駅の数駅は、ライバルを叩きのめすために、私鉄駅の付近ばかりです。レールの幅=軌間は、JRは狭軌。関西の5大私鉄の本線は、(南海・近鉄南大阪線などを除いて)標準軌で新幹線と同じです。その差は約30センチもあり、安定感が全然違います。脱線・転覆のリスクもJRの方が高いと言えるでしょう。

 福知山線は、もともと尼崎で東海道線と交差し、尼崎港までであり、後に、大阪駅に乗り入れた、単線・ディーゼルのローカル線でした。その乗り入れのカーブは緩やかだったのですが、東西線開通の際、「同じホームで乗り換えが可能」なように、東海道線の複複線の真ん中に割り込む線形が作られました。これは大阪地下鉄・大国町駅と同じく、複雑な立体交差とカーブが必要です。

 「東日本は労使一体で、西日本より安全」という、とんでもない冗談を言う人が居るみたいだけど、首都圏はもっと通勤地獄で、過密ダイヤそのものです。関西や名古屋ではクロスシートが少なくないが、関東は快速でもロングシートである。山手線では、シートのない車両まである。すなわち、新快速・サンダーバードのような、高速は不可能であり、それどころか、遠距離運転もあって、慢性的遅延が続いています。もちろん、高速でなくとも、過密で事故は起きます。尼崎でも、市民が踏切のボタンを押したため、150メートル手前で特急が間一髪急停車し、二重事故が避けられたほどです。関西では阪和線が東京型過密で、逆に、東横・京浜打倒をめざす、埼京ー湘南快速が、関西型の新快速に類似してきています。

 関西の庶民は、「できるだけ私鉄に乗る」「先頭車両に乗らない」など、自衛策でもちきりですが、最前の策は、ATC−Pも良いけど、スピードダウンが最も有効です。私が、台湾震災時に台湾国労を訪問した際、「新幹線の地震への備えは」と聞かれ、「平素から在来線なみのスピードでおさえるしかない」と、答弁したことを思い出します。今、JR西日本は、20〜30秒の停車時間を延長する、と言ってますが、最高速度のダウンに抵抗しているようです。みんなの力で、スピードダウンをかちとりましょう。考えようによると、これは、明治維新以来、鉄道開設以来の画期的なことになるかも知れません。

 この持論の次回テーマは、「JRに、まともな労組が存在していれば、、、」という、シリアスものの予定です。


Created byStaff. Created on 2005-05-25 10:23:04 / Last modified on 2006-05-16 17:38:27 Copyright: Default

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