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以下は、2/5に開催された「05けんり春闘・全国実行委員会結成集会」における記念講演とシンポジウムの紹介です。

非正規労働者を抜きにして労働運動は語れない・・・・西本敏子

シンポジウムは、野口やよい氏の「年収1/2時代の再就職」と題する記念講演から始まった。

 企業は正社員もリストラや賃下げを進めており、男性の一人稼ぎで家族全員の生計を支えることができる人は少数派になっている。リストラや賃下げの結果、あるいはそもそもフリーターとして入職した結果、「従来型の正社員」からはみ出した男性の妻たちが「子育て一段落後」まで待つ余裕を失って働きに出ているのだ。生き方が多様化している現状では、非正社員として働いて生活が成り立ち安定するという見通しを持てることは、フリーターなど若い非正社員男女にとっても、シングルマザーにとっても、リストラに怯える男性にとっても、安心材料になる、と提言された。

 野口氏から笑っていられない幼い子ども達の現象も報告された。最近の子ども達は「おままごと」では、お父さん役、お母さん役をやりたがらない、ペットの役をやりたがるそうだ。子ども達も不安を感じているのだろう。悲しい現象である。

パネルディスカッションでは、非正規労働者の実態・今後の取り組みが報告された。

ゆうメイト

 千葉中央郵便局の場合、職員1000名のうち6割がゆうメイト。賃金は指定表通り出勤して月15万円〜16万円。公社化されてからは、ゆうメイトにもスキル判断10項目を入れた給与制度が導入されたが、スキル基準・評価基準が不透明である。  郵政職場は全国で40万人、正職員28万人、ゆうメイト12万人である。千葉だけでなく、横に広げて各職場で起こっている問題を把握して連帯して闘っていきたい。

パート公務員

 千葉県の図書館に勤務する非常勤職員。時給830円、週3日、1年更新。 組合設立10周年を迎えた。2人からスタートした組合も3ケタになり、非常勤者数の半数を占めるまでになった。正社員と同等の権利・均等待遇を勝ち取ってきた。今では非常勤職員を解雇するケースはなくなってきた。パワーハラスメントも組合が介入し解決させている。
 立派な施設として新設された千葉市中央図書館では職員が130人いるが休憩室もなかった。職員が貧血で倒れたのを機に組合・ひまわり診療所・東京労働安全衛生センターが一緒に職場見学に行った時、安全衛生法違反を指摘し年度内に休憩室を設置させた。  千葉県では昨年、正規職員が賃金カットされたが、おつきあいで非常勤も20円の賃金カットを言い渡された。7年間1円も賃上げもなかったにも関わらずである。これに組合は断固として闘い撤回させた。千葉県では図書館の非常勤職員だけが20円カットを免れた。
 これからの問題は2006年9月までに導入の制定をせまられている指定管理者制度(民間委託)である。
 

委託労働者

 首都高料金収受員労働者の高速ハイウェイ共闘を立ち上げて35年たった。
収受員はかつては定年退職者が多かったが、現在ではリストラ解雇・自営業を廃業した人・年金に不安を持っている人が主体である。
 公団民営化とは何だったのか? 天下りは形を変えただけで数も人数も変わっていない。道路公団改革は労働者の生活破壊に過ぎなかった。新会社が秋にスタートするが、その前に公団民営化を口実に委託費が3年間で34%カットされる攻撃にさらされている。委託費とは殆どが人件費である。業者では賃金引下げ競争になっている。正社員・嘱託職員からパート・アルバイト職員に置き換えが進められている。
 安全コストゼロ発注、安全無視の委託業務発注で、ETC(自動料金収受システム)レーン作業で労災死傷事故が連続発生している。安全がおろそかにされている。
 いのち、雇用と生活を守るため、連帯してストライキ闘争を組み断固闘う覚悟である。

パート労働者

 印刷の製版部門。一年更新、職場のパートは殆どが中年で長期勤務。
フルタイマーが数名、殆どは30分短い7時間労働。職場は150名、うち非正規は約1割。
子どもが3人いるため、ダブルジョブ(二つの職場)で年間3000時間、死ぬほど働いた時期もあったが年収300万円であった。
 正社員の賃金を上げられないのに、パートの賃金を上げられるはずはないだろうと言われてしまう。
 派遣労働者は1ヶ月、2ヶ月、長くても3ヶ月更新で雇用が非常に不安定である。賃金が下がろうと、契約以外の仕事をさせられようと契約更新拒否が恐くて何も言えない。労働者の権利を知らない人も多い。正社員30代の賃金が非正規職の賃金に限りなく近づいている。男性も確実に非正規化に向かっている。

外国人労働者

 国籍により職場が分かれる。韓国人は建設・港湾で賃金は高いが仕事はきつい。フィリピン・バングラデシュは町工場、ラテンアメリカは自動車・電機の製造現場。
 ラテンアメリカは日系人が多い。時給は男1400円、女900円だが、これだけである。社会保険も無い、時間外割り増しもない。家族に送金するため長時間労働で、月28日間200時間位働く。これ以下だと職場を渡り歩く。熱しやすく、冷めやすい国民性。 まず労働基準法を守らせることが始めた。労災の相談も多い。雇用形態は下請け労働者が100%で、元請に対する交渉力を持たなければダメ。
 これからは外国人労働者の自立化、組織化の時代に入っていくが持続性が難しい。 労働組合に入りたがらない。それは出身国が軍事政権下なので恐がっているからである。不信感をなくすのがポイント。96年以後は出身国の通訳・スタッフをそばに置く体制が出来た。

総括

 95年から経営は「新時代の日本的経営」を打ち出してきたが、労働側はこれに対抗してこなかった。今、非正規労働者は1/3、これを抜きにして労働運動は語れない。今日のシンポで非正規労働者の実態・問題・課題がかなり明らかになった。
 非正規労働者の労働条件の改善、均等待遇の要求。生活できる賃金を要求していくべきである。非正規労働者の問題は正社員の問題である。
 大企業を中心に至上最高の利益を上げているが、これはリストラと労働法制、規制緩和の結果である。労働者への利益分配率が下がってきている。不均衡が広がっている。不当性や問題点をおさえて反撃することが問われている。


Created byStaff. Created on 2005-02-06 12:17:49 / Last modified on 2005-09-05 03:00:17 Copyright: Default

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