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LNJ Logo フィリピン: アシェンダ・ルイシタの虐殺についての緊急アピール
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アシェンダ・ルイシタ(Hacienda Luisita)のストライキの暴力的強制解散で14人が死亡、133人逮捕、数百人が行方不明

彼らが望んだものは、暮していくためのいくらかの耕地だった。 彼らが得たものは、永遠の眠りについた遺骸が横たわる丘の一角だった。

2004年11月16日、アシェンダ・ルイシタ(Hacienda Luisita)での 暴力的なストライキ強制解散で、 警官と軍の鎮圧部隊が発射した催涙ガスで窒息死した 2歳から5歳の2人の子供を含み、計14人が殺された。 犠牲者のひとりは、射殺された後、遺骸が工場の門にぶら下げられていたという。 少なくとも35人が銃により負傷し、133人が逮捕されて拘束されている。そして 数百人が負傷し、さらに百人ほどの行方がいまだにわからない。 この虐殺は、やはり零細農民が自分の農地を要求したことによっておきた 有名なメンディオラ(Mendiola)の虐殺とルパオ(Lupao)の虐殺を思い出させる 恐ろしいものだ。

アシェンダ・ルイシタの虐殺で殺された人のうち、以下の9人の身元がわかっている。 Jun David、Adriano Caballero、Jhaivie Basilio、Jesus Laza、 Jaime Pastidio、Juancho Sanchez、Neng Balete、Boy Versola、Jessie Valdez。 逮捕された133人のうち、177人はターラック(Tarlac)の Macabulos基地に拘束されているが、16人はターラックの犯罪調査摘発グループ (Criminal Investigation and Detection Group (CIDG))に拘束されている。 拘束された人の大部分は、昨日になってようやく解放された。

乱闘は、主席指揮官Quirino dela Torreに指揮されたターラック警察、および 北ルソン司令部(Northern Luzon Command (Nolcom))が アシェンダ・ルイシタ前に労働者が張ったピケットラインを強制的に破壊した後、 3時20分ごろに発生した。 警察は、労働雇用局(D0LE)が発行した司法権引き受け(AJ)の実行のために Nolcomを任命した労働事務官の Patricia Sto. Tomasの命令に従っただけだと語った。 DOLEは、業務復帰命令と出入り口の確保を命令し、 命令を実行するためにターラック警察を指定した。

AJを執行する警察を支援するために、 まるで戦闘地域のように、3台の装甲車(APC)、数台の消防車、 10台の軍用トラックがこの地域に投入されたという。 フィリピン陸軍の第69および第703歩兵部隊も、この地域に投入された。 高性能の火器を持った数百人の軍と警察の混成部隊が、ピケを張っている 労働者、および数千人の支援者に対して攻撃をかけた。 APCが労働者のバリケードに突入すると、軍と警察は繰り返し 放水銃、高性能ライフル、警棒と催涙ガスでストライカーと支援者を攻撃し、 結局、工場の門を確保した。

土地、賃金、仕事のための労働者のストライキ

アシェンダ・ルイシタの5000人以上のサトウキビ農園労働者とサトウキビ農民は、 11月6日にストライキに突入した。 Central Azucarera de Tarlac Labor Union (CATLU)のメンバーは 工場の二番ゲートをバリケードで封鎖し、同時に United Luisita Workers' Union (ULWU)のメンバーは工場の一番ゲートを 封鎖した。CATLUは工場の労働者の組合で、ULWUは農場の組合だ。

ストライキの原因は、CATLUとHacienda Luisita, Inc.(HLI)の間での 団体交渉(CBA)が暗礁に乗り上げ、ULWUに所属する327人の農園労働者が 10月1日、違法に解雇されたことだった。 この違法な解雇の中には、ULWU代表と副代表のRene GalangとIldefonso Pingul、 および8人の組合役員が含まれていた。

CATLU側は、100ペソ(1.78米ドル相当)の昇給と健康保険を要求した。 しかし、Central Azucarera de Tarlac (CAT)の経営者は たった12ペソの昇給と12,000ペソのボーナスしか出せないと言った。 CATLUと経営側は一連の交渉を続けたが、経営側は譲らず、 交渉は結局暗礁に乗り上げることになった。

賃金と仕事の問題ばかりでなく、土地の配分の問題も アシェンダ・ルイシタの労働者にとっては大きな要求だった。 ULWUに率いられた労働者たちは、株配分オプション(SDO)の控除を要求した。 SDOは、コファンコ家(Cojuangcos)が包括的農業改良プログラム(CARP)の下で 借地人に土地を分配することを忌避するためのものだと言われている。 皮肉なことに、1987年にCARPに署名したのは、家族がアシェンダを所有する コラソン・コファンコ・アキノ(Corazon Cojuangco Aquino)大統領だった。

欺瞞的なSDOは、2つの組合による大規模な削減と抑圧された大量動員を招いた。 彼らはまた、農園の収入の33%が共同所有者の農民に行っているという コファンコ家の主張とは反対に、たった3%しか株として配分されていないという。

労働者たちはまた、仕事を週一回に減らされた。 そのため生活をしていく上で、洗濯やゴミ集め、その他こまごまとした仕事を しなければならなくなったのである。 彼らの収入は1日190ペソ(3.39米ドル)だが、ローンの返済と現金の前借り のため、手取りはわずか9.50ペソ(17米セント)にしかならない。 借金は、労働日数と労働の機会の削減の直接の結果だ。 つまり、農園労働者は週一日労働の枠組みによって、 一週間を9.50ペソで暮していかなければならないことを意味する。

アシェンダ・ルイシタは、コファンコ一族が所有する6000ヘクタールの広大な土地で、 1988年8月23日に設立されたHLIによって所有、経営されている。 HLIの創立者は、Pedro Cojuangco、Josephine Reyes、Jose Cojuangco Jr.、 Teresita A. Lopa、Paz Teopaco ─ 全員が前のアキノ大統領の兄弟である。 2002年、HLIは5,067人の農園労働者と487人の使用人を持っている。 証券取引委員会(SEC)に提出された文書によると、この会社は 2002年には1400万ペソの純収益をあげ、同年の資産総額は15億9000万ペソである。

何年もの間、アシェンダ・ルイシタは SDOによる土地分配プログラムから免除されていることにより、 非常に論議を呼ぶ存在だった。そのため、零細農民にとって 本当の土地改革の闘いのシンボルになっていた。

社会的・階級的闘争

声明の中で、Kilusang Mayo Uno (KMU)は次のように非難している。 「アシェンダ・ルイシタでストライキをしていた農園および工場の労働者の 死と負傷を引き起こした過度な兵力の使用と暴力的な解散に対し、 可能な限り強い言葉で非難する」ピケットラインに飛び散った血しぶきは、 地主であり買弁ブルジョワであるJose "Peping" Cojuangcoとアキノ元大統領、 Gloria Macapagal Arroyo政権、DOLEの事務官Patricia Sto. Tomas、 軍隊と警察に導かれたアシェンダ・ルイシタの経営陣とコファンコ一家のためだ。

「アシェンダ・ルイシタのストライキは、もはやただのストライキではなくなった。 これは、搾取され続けてきたフィリピン人民と、地主、大規模買弁ブルジョワ、 資本家階級との間の、長年の社会的階級的闘争の実像を描き出すものだ」 KMUのElmer Labog議長はこのように強調した。

このストライキは、国内のターラックおよび他の地域のさまざまなコミュニティから 大規模な支援を受けてきた。11月15日には周辺の10のコミュニティから、 およそ12000〜15000人が労働者への支援のためにやってきた。 同時に、彼らは労働者のバリケードを解体しようとする 警察と軍隊による当初の試みを阻止した。

農園とサトウキビ労働者による11日間のストライキの中で起きた このような血なまぐさい解散事件は、4回目だ。この血なまぐさい騒ぎは、 コファンコ一族と彼の一家が関与する3回目の虐殺事件でもある。 他の2回は、1987年1月22日に13人の農民が殺されたメンディオラの虐殺と、 17人の農民が殺された1988年2月10日のルパオの虐殺(中ルソンにある)だ。 どちらの大虐殺も、コラソン・コファンコ・アキノ大統領の在任中に起きた。

闘争は続く

現在、虐殺の犠牲者たちは依然としてアシェンダ・ルイシタのゲートに横たわっている。 犠牲者の家族と2つの労働組合は、暴力的な虐殺の恐ろしい記憶のために 14人の遺体とともに行進することを誓った。 彼らは流血がますます闘争を続ける決意を固めさせたことを強調して、 また隊伍を立て直し、ピケットラインを張り直すことを断言した。 「飢え死にするより闘って死ぬ方がましだ」と労働者たちは言う。

昨日、進歩政党候補者グループのAnakpawis、Bayan MunaとGabrielaから 4人の代表者の訪問と同時に独立した事実調査が行われた。 労働者、および他の分野からの代表者に伴われた4人の戦闘的な立法者は、 アシェンダにでかけ、血なまぐさい解散事件の証人と証拠を集めた。 彼らは当初、ゲートをくぐることを阻止されたが、30分ほどの交渉の末、 許可された。

これらの候補者グループは議会に対して国会の委員会を作り、 この虐殺、および農園とサトウキビ労働者のストライキにより 引き起こされた問題についての正式な調査を要求している。

このような虐殺にもかかわらず、ストライキの参加者には 暴行の責任、違法な集会、暴動の示唆、悪意による損害などが待ち構えている。 Bayan Muna - Tarlacはまた、 兵士たちが近隣の村でストライカーとその支援者を狩り出して逮捕する ためのローラー作戦を行っていると報告している。

虐殺につながった軍隊と警察による過剰殺戮反応 (装甲車、高性能ライフルとM-60機関銃の使用) に対する抗議が雪だるまのようにふくらんでいる。 コファンコ一家は現在、殺戮の主な責任により熱湯の中にいる。

司法権委任の命令を遂行するために警察と軍隊を任命したことの責任をめぐり DOLE事務官のSto. Tomasの辞任を求める声もまた大きくなりつつある。 過酷な解散についての彼らの過失をカバーするためにコファンコ一家とDOLE、 そして軍は、ストライカーは合法的な労働者ではなかったと言うことによって この殺戮の裏にある本当の問題をぼかし、隠蔽しようとしている。 彼らはまた、左翼分子がストライキに潜入し、人々に闘わせるように扇動した という悪意的なうわさを流している。 なお、アキノ元大統領は祈りを捧げることだけはしたが、 Gloria Macapagal-Arroyo大統領は 2つのキャンプに冷静になるように要請する以外、何もしなかった。

KMUは、発生した大量殺人について、独立したグループによる 迅速かつ全体的な調査を強く要求している。 この非難すべきできごとについて、いかなる歪曲も許されるべきではなく、 調査は客観的でなければならない。 虐殺の犠牲者と、彼らの家族、そして農業労働者たちにすみやかに正義が もたらされなければならない。

あなたに何ができるか

虐殺の犠牲者に対する正義と補償の要求に参加してください。 ぜひ、抗議と非難の書簡を以下の政府機関、アシェンダ・ルイシタ経営陣、 議員、その他の関係者に送ってください。

Mr.Jose Cojuangco
President/Manager
Central Azucarera de Tarlac (CAT)
Brgy. Central, Tarlac City

Her Excellency President Gloria Macapagal Arroyo
Commander-in-Chief of the Armed Forces of the Philippines
New Executive Building, Malacañang Palace
J.P. Laurel Street, San Miguel, Metro Manila
Email: opnet@ops.gov.ph; kgma@yahoogroups.com

Hon.Chairperson Dr. Purificacion Quisumbing
The Commission on Human Rights
SAAC Building, Commonwealth Avenue
U.P. Complex, Diliman, Quezon City
Fax: +632 929-0102, Email: drpvq@chr.gov.ph

Hon.Sec. Avelino Cruz
Department of National Defense
Camp Aguinaldo, EDSA, 1110 Quezon City
Email: snd@dnd.gov.ph

Hon.Sec. Simeon Datumanong
Department of Justice, P. Faura, Ermita, Manila
Fax: +632521-1614, Email: sechbp@info.com.ph

Hon.Sec. Teresita Deles
Office of the Presidential Advisers on the Peace Process
7F Agustin Building, Emerald Avenue
Pasig City, Metro Manila
Fax: 632 638 2216

Hon.Congressman Jose de Venecia
Speaker of the House
House of Representatives
Batasan Hills, Q.C.

Hon.Senator Franklin Drilon
Senate President
Rm. 606, Senate of the Philippines
Pasay City
Fax Number: 551-2993
Email: sendrilon@senate.gov.ph

Hon.Senator Jinggoy Ejercito Estrada
Head, Labor Committee
Rm. 526, Senate of the Philippines
Pasay City

The Secretariat, GRP-Human Rights Monitoring Committee
Email: grp_mc@myway.com
or
The Secretariat, NDFP-Human Rights Monitoring Committee
E-mail: ndfp_Jsection@yahoo.com
6/F Immaculate Conception Multi-Purpose Building
71 Lantana St., Cubao, Quezon City

また、国際労働機構(ILO)およびジュネーブ条約に対しても、 アシェンダ・ルイシタで起きた暴力的な虐殺に対して注目するように 書簡を送ってください。

この緊急アクションアラートをみなさんが関係するすべてのネットワークを 通じて伝え、この凶悪な人権侵害行為に対し、国際的な非難の声をあげてください。

われわれの要求

a) 農園とサトウキビ労働者および支援者の死と負傷を引き起こした 血なまぐさい解散事件に関する迅速かつ全体的な調査。

b) この血なまぐさい解散事件と、労働者によって提起された問題についての 議会による正式な調査。

c) 労働者の奪われることのない権利である言論の自由と結社の自由に対する 弾圧の免責のためにDOLEが利用した司法権の委任の見直しと撤廃。

d) ストライキ労働者に対して申し立てられている罪状の撤回。 アシェンダ・ルイシタのストライキ参加者と支援者を見つけ出すために 近隣の村で行われている捜索活動の中止。

e) CBA交渉の再開と 327人の違法に解雇された労働者の報復行為のない復職

みなさんへのお願い

a) 労働組合に連帯メッセージを送ってください。 特にこの厳しい時期には、非常に大きな心の支えになります。 国際的、地域的な支援が雪だるまのように大きくなることは 労働者の問題を広く知らせ、 労働者の要求に対して政府が行動するように圧力をかけるために 大きな力になります。 支援のメッセージを以下の宛先に送ってください。

Mr.Ricardo S. Ramos
Union President
Central Azucarrera de Tarlac Labor Union
Brgy. Central, Tarlac City
c/o email address: kmuid@tri-isys.com

Mr.Rene Galang
President
United Luisita Workers Union
Brgy. Central, Tarlac City
c/o email address: kmuid@tri-isys.com

b) ストライキを行っている労働者への装備、物品、資金的な支援を 集めてください。陣営に加えられた先日の暴行は、若干ストライキの 力を弱めましたが、労働者たちは自分たちの要求を勝ち取るまで 闘いを続けることを決意しています。 物質的・資金的な援助は、特にピケットラインの再構築の計画にとって 貴重です。 支援は、犠牲者と家族の葬儀費用の支払い、 その他に必要な資金にあてるためにも使われます。 寄付は以下の宛先にお送りください。

Mr.Ricardo S. Ramos
Union President
Central Azucarrera de Tarlac Labor Union
c/o Balai Obrero Foundation
63 Narra St., Proj. 3,
Q.C., Philippines

Mr.Rene Galang
President
United Luisita Workers Union
c/o Balai Obrero Foundation
63 Narra St., Proj. 3,
Q.C., Philippines

資金の寄付は、口座番号 0274-0768-52、Bank of Philippine Islands, Timog Branch宛にお願いします。寄付していただいたときは、 寄付についてご連絡ください。そして、この寄付がアシェンダ・ルイシタの ストライキに関するものであることを伝えてください。

c) 可能であれば、あなたの地域や国のフィリピン大使館・領事館の前での ピケを組織してください。そして、アシェンダ・ルイシタの 農園とサトウキビ労働者の問題を知らせてください。 その他、可能な連帯活動があれば、ぜひお願いします。

あなたの書簡の写しを送ってください。あなたの活動を知らせてください。 よろしくお願いします。

原文

翻訳:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2004-11-20 22:10:45 / Last modified on 2005-09-05 03:00:07 Copyright: Default

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