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新しい反戦運動の可能性―レイバーネット日本4月例会の感想

 4/24レイバーネット日本の例会は、反戦運動に関してさまざまな角度からディスカッションを行い、刺激にあふれたものになりました。反響も大きく、参加者からメーリングリストなどを通じて感想が寄せられています。到着順にこの欄で紹介させていただきます(現在6件)。参加されたみなさん、お気軽に感想を寄せてください。→labour-staff@jca.apc.orgへ。(写真は報告者の中島浩さん)


●人間の盾について思うこと 中山弘樹(4月27日)

 自治労日野市職の中山と申します。 24日の例会の報告、興味深く拝聴いたしました。残念ながら私は遅刻し、 また2次会にも参加できなかったため、会員の皆さんと意見交換できなかっ たのは残念でした。

 この間のイラク戦争を巡って、私の周囲では「人間の盾」をどう考えたら よいのか議論してきました。「人間の盾」参加者の主観的意図、それとは無 関係に果たさざるを得ない客観的(というより「政治的」)な役割・機能、 日本政府の対応等。  「人間の盾」の配置により、その施設を攻撃させないという論理が米国相手 に通用するのかどうか(特に彼らが欧米の白人でなく、黄色アジア人であって みれば、)・・・という疑問もあったのですが、今回は爆撃を受けることがな かったのですね。  ただ、私たちの間では、こうしたねらい・意図を評価するよりもむしろ、 「民衆に可能な非暴力の手段による最大限の抵抗」として捉える声が出され心 に残っています。また、イラク民衆の痛みを他人事としてではなく、文字通り わがこととして引き受け、人間の盾の苦悩が本人をとおして、その家族、周囲 の人々、出身国の人々へと伝えられていき、戦争への関心をより深いものとす る、そうした役割こそが積極的に評価されるべきだという意見もでました。  また、私たちの職場の仲間は「人間の盾」に参加するということだけが抵抗 のスタイルではないと自らなぐさめつつも、湯浅さんなど実際に参加した人々 の勇気ある行動に引き比べ、パレードや集会への参加、アメリカ大使館の前で 「戦争反対!」と叫ぶことぐらいしかできない自分たちの無力さに打ちのめさ れそうになりながら、事態の進展をながめつつ日々を過ごしていたのでした。

 湯浅さんの報告はそんなことどもを思い浮かべながら、興味深く拝聴いたし ました。「人間の盾」帰国者の皆様には「戦場」の現実をありのままに語りつ づけていただきたいと希望します。(以下略)


●「新旧の合流」が成功の秘訣では 松原明(4月27日)

4/24の例会の感想を以下、思いつくままに。

・「週刊金曜日」のイベント案内にも間に合わないくらいの短期間の取り組みで、ニュースレター・インターネット・クチコミ中心の呼びかけにもかかわらず38人とたくさん集まった。それも半数くらいが初めての人とか会員外だった。企画がよかったことが一番だが、World Peace Nowの運動の拡がりという背景もあったと思う。

・バクダッドから帰ったばかりの湯浅和代さんの報告は、感じたこと見たことをずばり語っていてよかった。「戦っているイラク兵士とアメリカ兵士がともに20歳前後の若者で、“澄んだ眼”は一緒だった。どちらも死ぬな!と思った。戦争したいなら、45歳以上が行け」。本質をついた話だった。

・中島浩さんの報告で、World Peace Nowの運動の仕組みがよくわかった。若者グループ「チャンス」と環境・人権NGOそれに旧来の反戦市民運動などが合流して、つくりだされたいったことがわかる。World Peace Nowというと若者中心の運動というふうに思われがちだが、報告を聞くと「新旧の合流」に特徴があることがわかる。つまり「ノウハウを蓄積した運動のベテラン」と「若いパワー&センス」が合流して成功した。これはレイバーネット日本が昨年成功させた「レイバーフェスタ実行委員会」のやり方にも共通している。

・今回の反戦運動の特徴は、多様な手作りプラカードに見られるように、「自発的にモノ言う市民・労働者」がはっきり登場したことだった。今後は、このモノ言う一人ひとりをつなげるようなネットワークがつくれるかが鍵だと思った。

・ビデオについては、おおむね好評だったのでホッとしているが、ブラジルの作家・パウロ・コエーリョの「ありがとうブッシュ大統領」の使い方については、二次会で賛否両論が出され、とても勉強になった。なおこれがきっかけで、5/1の反グローバリゼーションメーデーでも上映することになった(渋谷勤労福祉会館18.30)。

・私は「World Peace Nowと政治党派との問題」について質問をしたが、大衆運動を拡げていくなかで、影を落としており、避けて通れない問題のひとつだと思っている。実際のケースを通して、いろいろ考えていきたい。

・3/8のWorld Peace Nowから運動に加わったという吉川さんの会場発言、およびその後寄せられた投稿にとても共感した。吉川さんは「切実で共感できるスローガンの大切さ」を強調していたが、これまでの運動はその点が弱く、内輪にしか通じないスローガンが多かった。ある問題を訴えていくときにどうそれをどう表現し伝えていくかは、運動の基本であることを改めて教えられた。

・二次会には初めての人も数名参加し盛り上がった。ところで、二次会は一気飲みの若者グループと隣席したため、大変なノイズのなかでの交流となった。私たちも負けずに大声を出したが、ちょっと疲れた。次回はいいところを確保しておこう。


●人間としてのあたりまえのモラル 佐々木有美(4月26日)

例会に参加された吉川さんの感想を読みました。

今回の反戦運動に参加した人々は、吉川さんも書いておられるように、つきつめ れば「殺したくない、殺されたくない」という人間としてあたりまえのモラルで 行動した人々だとおもいます。だからこそ、ああした質の高い運動が展開できた のでしょう。「人間の盾」としてイラクに行かれた湯浅さんの報告も、そういう ものとしてわたしは受け止めました。

有事法制や「北朝鮮」情勢など課題は山積していますが、それを包み込む大き なスローガンが必要とされているのだという吉川さんのご意見に賛成です。


●全くの個人として WPNに参加してきたものの感想 吉川(4月26日)

3/24のレーバーネットの例会に参加しました。そのとき発言もさせていただきました が、改めて個人として参加してきたものとしての意見を書きます。例会そのものに対 する感想とは少しはずれますが、ご容赦ください。

私は市民団体にも労組にも所属していない、全くの個人として参加してきました。 WPNとも無関係です。52歳の会社員(男)です。 たまたま米国滞在中に、2/15の世界規模での「戦争反対行動」の高まりと日本の参加 者の少なさに衝撃をうけ、帰国して、朝日新聞の3/3のGreenPeaceの広告 と「声」欄の投書をみてから、決心して集会に参加するようになりました。  以来、3/8から戦争反対のデモに参加することを中心に、3/8(日比谷、WPN)、3/15 (日比谷、全労連系?)、3/18(日比谷、全労連系?)、3/20(虎ノ門、大使館抗 議、WPN高田さん)、3/21(芝公園、WPN)、3・26(芝公園、全労連系?)、4/2(明 治公園、全労連系?)、4/5(代々木、WPN+シンポジウム)、4/12(坂本公園、WPN協 賛)、4/19(代々木、WPN)と行動してきました。また自分の社会活動とは全く関係ない 趣味のHP (www.neosys.ne.jp/uncleites)で「戦争反対」の立場を表明し、友人を中心として てメイルで集会の案内等をまわしています。 

**気になっていること:

1) 3/8、3/21の盛り上がりを見た時点ではパラダイムシフトが起きたかと大変高揚 していました。しかし、イラク戦争が終焉に近くなってめっきり、デモ、集会への 参加者が減ってきている事が大変気になっています。 有事法制など、戦争に直結する問題が迫っていますが、あたらしく参加してきた個人 の関心を引き付けられていないようですし、関心もかならずしも高くないと思えま す。中核になっているのは2000-5000人位でしょうが、これを何倍かにして定着させ たいものです。  WPNへの結集を貴重な財産として、平和、非暴力、民主主義を求める統一戦線の ようなものにつなげていくことはできないのでしょうか? この言葉は古臭い感じですが、多様なNGO、NPO、平和を求める個人が共有できる目 標、スローガンのもとに違いを超えて、労組、政党を結集していく方策が絶対に必要 だと思います。  今、何をKeywordとして結集していけばいいか、しっかり考える時だと思います。 ほっておくとWPNに結集してきた力が雲散霧消しそうで大変心配です。

2) 今回、個人で参加してきた多くの人は、政治や経済の論理から抽象的な「戦争」 を見ているのではありません。 自分の妻が、夫が、子供が、親が、友人が一瞬にして抹殺されてしまう、親しい人た ちが有無をいわさず死においこまれてしまう「戦争」 というものを、我が事として捉えるが故に、反対しているのでしょう。  国連決議があろうがなかろうが、「戦争」に反対なのです。ものごとの解決手段と して忌まわしい「戦争」を選択すること、その事の非人間性、非道徳性に対し、心か らの反対の声を挙げているのです。

ですから若者が、お母さん達が、お年寄りが一生懸命に頑張っています。その後を、 団塊世代、中年がとまどいながら、かろうじてついていっているのが実情でしょう。  ですので、WPNの活動を永続的なものとしていくときに、理屈で、理論で今回の人 たちを巻き込もうとしても駄目だと思います。「人間としてやってはいけないこと、 モラルとして許されない事 は 絶対に許さない。」というところ基軸にする、その 項目を一致して掲げる という論議をうんとする事、それを判りやすく皆に訴えてい く事が重要と思います。

4/5の雨の中のピース・パレードの途中で、コンビニから出てきた3人の小学生(女 の子でした)が手を振って、「頑張ってください」と声をかけてくれました。子供た ちも今回の「戦争」の嘘を見破っているのです。「自分たちもイラクの子供たちのよ うに殺されちゃうかもしれない」と漠然とした不安をもっているのかもしれません し、安易に「戦争」に賛成してしまう大人を不安に思っているのかもしれません。

 「自分一人が反対したところでどうにもなるものではない」と思っていた人たち が、「今回だけは許せない、どうにもならないかもしれないがとにかく「戦争反対」 の意思表示だけはするんだ」と考えを変えてきているのだ、と思います。  自分の意思を明確に表明することの大切さ、を今回皆は改めて胸にきざんでいる と思います。

3/24の朝日夕刊に、「べ平連」の生みの親の鶴見俊輔さんの寄稿が載りました。京都 のピース・ウオークを見られて、38年前のベトナム戦争反対のデモ行進とは違う性格 をもっている、と看破されています。   その中で「大正から昭和へ、教授たちははじめは平和を説き、やがて戦争を支持 した。日本の知識人全体の、この連続転向を問う事が必要だ。戦争反対の根拠を、自 分が殺されたくないということに求めるほうがいい。理論は、戦争反対の姿勢を長期 間にわたって支えるものではない。それは自分の生活の中に根をもっていないから だ。」と書かれています。さらに「イラクでは、女性、子供、そして戦闘力のない老 人が殺される。その事は、アジアの中で大きな富と武力をもつかつての日本がアジア に対してしたことを思わせる。これに反対する運動は、新しい形を必要とする。」 と。

例会でのビデオ・プレスの映像は良く纏まっていると思います。3/8以降はすべて の現場にいましたが、よく雰囲気が捉えられていました。 WPNも理想形ではなく、見えない問題をかかえているのだろうと想像できます。 もっと厳しい戦いを現場で繰り広げてこられたレーバーネットの方々の辛口の評価が 聞けるのかなと思っていましたが、時間切れで残念でした。2次会ではでたのかも しれませんね。   


●キーワードは協働と継続 岩川 保久(4月25日)

日本で、そして世界中で反戦のうねりが高まったにもかかわらず、ブッシュをは じめとするネオコン(新保守主義)の暴走は確かに止められませんでしたが、そ れに対抗するためのキーワードとして、協働と継続の2つを挙げたいと思います。 協働は、主に反グローバリゼーションの活動との協力(戦争の背後に常に経済利 権あり)、そして、「継続は力なり」、多大な犠牲を止めることはできませんで したが、それでも、かつてベトナム戦争を止めた原動力です。

それから、ビデオプレスの新しいビデオ「立ち上がる市民−イラク反戦運動ドキ ュメント2003春」、今までデモに参加することなど考えられなかったような 人がどうして参加するようになったか、その背景がわかりやすく表われていたと 思います。


●感想一筆 村岡 到(4月24日)

 4月24日、東京・シニアワーク東京で開かれたレーバーネット4月例会に参加し た。その感想だけを一筆します。  参加者は40人とかで主催者は予想よりも多かったと喜んでいました。内容もよかっ たです。思いつくままに。

 (1)報告者の中島さんが、この間の運動の共通認識の一つに<非暴力>をあげていま した。彼は説明しませんでしたが、1960年代のベトナム反戦運動のときには、この点 も重要な分岐点になっていました。武装闘争だの暴力革命だのを展望・主張していた 新左翼――私もその一員でした――は「非暴力」を下らない、あるいは誤ったものと 非難し、共産党は逆に「ニセ左翼暴力集団」と罵倒してきました。それから、40年以 上たって、今やごく一部を除いて<非暴力>が共通認識になりました。問題は、その 根拠がなぜなのかを明らかにすることだと、私は考えています(長くなるからその点 は省略。興味ある方は私のホームページへ)。

 (2)次に、私は今後の運動の質として、国連の改革・強化、その活用を鮮明に掲げる 必要があると考えます。本日の集会ではだれも国連に触れませんでした。

 (3)上映された出来上がったばかりのビデオについて。とてもよいと思いました。た だ、デモ参加者のインタビューで「平和を守る」という発言を拾っていたのは残念で した。そう考えていたら、二次会でこの会の代表の伊藤さんが、「平和は創るもの だ」と強調したので、ここでこの点も取り上げることにしました。昔は共産党は「平 和擁護運動」を唱え、新左翼は「反戦」をスローガンにしました。第4インターは 「ベトナム革命連帯」を主張。私は82年に「平和擁護運動」と「反戦」に代えて、 <平和の創造>を提起しました。その後、このスローガンは湯川秀樹などがもっと前 から提起していたと知りました。いまでは、インターネットで検索すると数多く出て きます。共産党さえ、最近は「平和擁護」とは言わず、「平和をもとめる」と表現す るようになりました。

 二次会での「討論」も活発でした。  本日付けで入会しましたので、こんどともよろしくお願いします。

 私のホームページへはhttp://www.nn.iij4u.or.jp/~logos/ です。


Created byStaff. Created on 2003-04-25 12:21:13 / Last modified on 2005-09-05 02:59:16 Copyright: Default

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