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4.12反戦デモ in ベルリン

 2003年4月12日のベルリンのデモは参加者数約1万人(主催者発表)でした。事前の案内は、2週間前に「die tageszeitung」(旧西ベル リンの左の立場をとっている新聞)に一度掲載されたのみで、テレビ、ラジオなどによる呼びかけももちろんありませんでした。私はインターネッ トをつなげない状態にあったので、前日になってもデモ開催を知る手立てがなく、デモの開催自体半信半疑の状態で、当日の朝「朝刊に載ってい る」と知人から電話をもらい、ようやく時間と場所を知ることになりました。こちらでは、真夜中に飲み屋やレストランにいると、早くも次の日の 朝刊を売りにくる人がいます。どういうシステムで0時をまわった頃に翌朝の朝刊を売ることができるのか不思議です。そんなふうに昨夜買った新 聞には、デモの事前案内記事はありませんでした。今朝買った旧東ベルリンの有力紙、「ベルリナー新聞」でも扱われていませんでした。ただし、 明日のニュースになるのではないかとは思います。ただ、後で調べたところ、前日にアメリカ大使館前で「座り込み」をしていたグループが配って いたチラシの中に、今日のデモの案内もあったので、まったく呼びかけがされていなかったというわけではなさそうです。なお、デモ自体が「die tageszeitung」が強力にかかわっていたということで、出発会場でも「die tageszeitung」が号外を大量に配布していました。「die tageszeitung」はフランスの「ル・モンドディプロマティーク」ともつながっている新聞です。

 こちらのデモでは、日本とちがって労働組合ののぼりを揚げるグループはありません。組織の旗や横断幕はあります。しかし、組織に属していな い人のほうが多いのではないかという印象を持ちました。グリンピースはスタッフが黄色いジャンバーを着ているのですぐにわかります。デモの際 に、日本では交通規制は一車線ですが、こちらでは全面通行止めになり、参加者が道路いっぱいにあふれます。その周りをデモの参加者ではない ジョギングや散歩をしている人が、観客になったり一緒に歩いたりしていてなごやかな雰囲気です。そのさらに外側は警察が厳重に固めているの で、警戒に関してはものものしいと思われるかもしれませんが、日本とはだいぶ様子がちがいます。警官もデモの中に入って参加者になっていた り、参加者と同じ風船を持ったまま談笑していたり、プリュッツェルというドイツ独特のパンを買ってかじっている人すらいます。もちろん警官に もいろいろ種類があり、目つきがちがう集団もあります。警戒態勢で並んでいる中に、小型カメラでデモの様子を撮影している警官がいたのが気に なりました。自分のための記念写真であればよいのですが、警察の記録として残すのであれば、警察がデモ参加者の顔写真を保存することになりあ まりいい気持ちはしません。

 シュプレヒコールにはおもしろいバリエーションがいくつもありました。特に「跳んで、跳んで、跳んで、跳んで、跳んで〜、5・4・3・2・ 1・た〜!」の掛け声にあわせて、一斉にジャンプしたり走り出したりする若者集団が大人気でした。掛け声は前を走る軽トラックの運転手が大音 量のマイクで叫びます。これはデモのコースが直線の広い通りだからできることで、東京ではまず無理です。走り出す勢いは全力疾走で、前を横 切った自転車がなぎ倒される場面もありました。地上2メートルはありそうな、信じられないような高い竹馬に乗って行進している人もいました。 ピエロの格好をしていて、本職はサーカスなのではないかと思うくらいうまく遅れずに歩いていました。

 デモ会場ではソーセージやプリュッツェルを売っていて、デモの参加者はみなよく食べます。すべて車輪付きなので、デモ行進では売店も一緒に 移動します。参加者も主催者も警官も食べています。大きな機材を担いだ報道も、カメラを台にして食べていたりします。さすがにケチャップたっ ぷりのソーセージを、機材を皿がわりにして食べる人はいませんが。今回は、グリンピースが実物大に近い大きさで戦車の形をしたデコレーション ケーキをつくって、山車のようにひいてデモを行っていました。終着後、5人ぐらいのスタッフがナイフを持って2時間かかって奮闘し、切り分け るそばから参加者が受け取って食べていました。無料でもいいのですが、小銭を寄付してケーキをもらう人がほとんどです。本体はカステラを砂糖 クリームでコーティングしてつくっているのですが、場所によって種類がちがい、3種類ぐらいの味を楽しめます。戦車の砲撃筒はチョコレートの ロールケーキでした。今日のベルリンはよく晴れて乾燥した気持ちのよい春の天気だったので、ケーキがとてもおいしかったです。  集会は、デモの前は20分くらいの簡単なステージ演説だけです。終着のブランデンブルク門には本格的な野外ステージを設置して、2時間ほど 音楽や演説が行われました。骨に響くような大音量のロック演奏もあり、観光客にはこれが反戦デモだということがわかるのだろうかと思われるス テージもありました。演説では「まだ戦争は終わっていない。抵抗しよう。」と何度も繰り返されます。ドイツ語はアクセントが強いので演説に向 いている言葉だと思いますが、イラクの子どもについての演説をケーキやソーセージをほおばりながら聞いている参加者の姿が、威勢のよい演説と かけ離れていてあたたかい気がしました。

ドイツ国内にも、一部にもう戦争は終わりだという雰囲気があります。会場では、それが今回の1万人という参加者数に影響しているという声があ りました。また、参加者の中には、少なすぎると嘆いている人もいました。しかし、日本のデモに慣れていた私にとっては大きなデモでした。来週 は平日に小さなデモが街中で何度か予定されているので、また行ってみるつもりです。

2003年4月12日(土)ベルリンから

早川みを子


Created byStaff. Created on 2003-04-13 10:41:28 / Last modified on 2005-09-05 02:59:15 Copyright: Default

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