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フィリピントヨタ労組の不当労働行為救済第一回調査
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 4月11日、午後2時より神奈川県労働委員会においてフィリピントヨタ労組の不当
労働行為救済の第一回調査が行われた。春嵐の中、約30名の労働者、市民が傍聴に参
加し熱気に包まれ、調査が開始された。
 この第一回調査で公益委員の神尾さんは申し立て側、被申し立て側双方の主張を整理
し、この調査の論点は
1)申立ての却下事由があるか否か。
2)当事者適格、使用者適格があるか否か。
3)救済内容が認められるか否か。
の三点にあるとまとめられた。第一回調査で述べられた支援する会事務局長小嶋さんの
冒頭陳述とエド委員長の挨拶を紹介します。なお、第二回調査日は6月6日(月)午後
2時と決まりました。多くの方々のご参加をよろしくお願いします。

フィリピントヨタ労組を支援する会 Oidon
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陳述書

 全造船関東地協・神奈川地域労働組合の執行委員の小嶋です。私は同じ労働組合傘下
の「かながわシテイユニオンヨコスカ」の執行委員長も兼務しています。
 このトヨタ自動車の不当労働行為救済の申立事件に関して、組合の中で私が担当し、
今まで深く長く関わって来ました。
 この冒頭陳述の場では、私は全造船・神奈川地域労組が何故この問題を取り組むよう
になったのか、そして神奈川県労働員会に不当労働行為の救済申立を行ったかを簡単に
述べたいと思います。
 2000年の1月ユニオンヨコスカに、以前から交流があるフィリピンのカトリック
団体からフィリピントヨタ労組(TMPCWA)への支援の要請がありました。その理
由は遡って私たち全造船が日本の造船会社のフィリピンでの公害輸出問題に関わったこ
とがあったからです。
 広島にある常石造船がフィリピンのセブ島に常石セブ造船所を現地資本と合弁で創設
し、新造船の建造と老朽船の解撤工事(解体)の操業を始めたことから、海が重金属、
廃油等により汚染され、大きな環境汚染問題を引き起こし、地元住民たちが造船所の操
業反対運動に立ち上がりました。そこの住民代表から私たち全造船に支援の要請があり
私たちは造船労働者と言う立場で住民運動を支援しました。その結果、日本政府が廃船
の解体事業に莫大な助成金を出していること、海が船底塗料の有機スズ(TBT、TPT=環
ホルモン物質)によって極度に汚染され、貝類のインポセックスまで起きていること、
更には造船所の敷地内に廃船から取り出された大量のアスベストが何の養生も無いまま
に放置されていること等の企業側の杜撰な対応が判明しました。これ等の調査結果は日
比両国の環境省、経済産業省、国土省、そして国会等でも大きな問題となり、日比両国
が批准している国際法であるバーゼル条約にも抵触し、結局常石造船は船の解体事業を
撤退せざるを得なくなりました。
 このようなフィリピンセブ島での一定の成果を知ったTMPCWAが私たち全造船に対して
国際的な支援要請をして来たわけです。私は、早速TMPCWAと連絡を取った結果、フィリ
ピントヨタ社には、常石セブ造船所で公害が輸出されたと同じように、不当労働行為が
輸出されていることを知りました。
 フィリピントヨタ社は日本のトヨタの現地法人として日本人の社長を送り込み、トヨ
タの意に従わない労働組合の存在を一切認めようとはしませんでした。トヨタはフィリ
ピンで操業を始めて以来、労働組合結成の動きが有る度毎に組合をことごとく潰して来
ました。トヨタの誇る生産方式とセットで会社による不当労働行為までもが輸出されて
いるのを目の当たりにして、日本の労働組合の一員としてフィリピンの労働者に対して
心から申し訳ないと感じました。私たちは日本の多くの労働団体、個人にTMPCWA
支援を呼びかけ、寄せられたたくさんの連帯メッセージを現地に送り、彼らの闘いに声
援を送り続けました。
 トヨタがTMPCWAの存在を根底から嫌っていることは、2001年3月15日、
労働雇用省が承認投票の結果、TMPCWAを正式な団体交渉権の付与された労働組合
であると裁定したその当日に、単なる無断欠勤を理由にトヨタがTMPCWAの組合員
233名を一挙に不当解雇するという暴挙が正に象徴しています。このような不正義が
許されて良いはずはありません。この時点から私たち全造船のTMPCWAへの支援が本格的
に始まったのでした。
グローバル企業の代表であるトヨタは、奥田碩会長自身が日本経団連の会長も担ってい
ます。トヨタは自らの企業の基本理念として「内外の法およびその精神を遵守し、オー
プンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす」ことを
第一に掲げています。それにもかかわらず、フィリピントヨタ社では結社の自由と団結
権を侵害し、フィリピンの労働法を遵守しない経営が行われているのです。
 フィリピントヨタ社はTMPCWAとの労使協議を頑なに拒否し続けて来ました。こ
の間、ILOによる「即刻労使協議を行い、正常な労使関係を築くようにせよ。」との
勧告にもフィリピントヨタ社は一切応じようとしませんでした。また、フィリピン司法
の最高府最高裁判決の決定も無視し続けています。
 フィリピントヨタ社は労使紛争を解決する努力をせずに、逆に更にTMPCWAに敵
対することで持久戦による組合つぶしを狙っています。このようなフィリピン法を無視
した態度は一フィリピン企業では不可能です。背景には日本のトヨタがいます。
 トヨタの海外子会社の現地法人であるフィリピントヨタ社が労使紛争解決の能力を持
たないとするなら、それは日本のトヨタの責任で解決することで収めるしかありません
。TMPCWAは日本のトヨタ本社に解決を求めました。しかしながら日本のトヨタ本
社も「現地の問題は現地で解決するよう指導している」と繰り返すのみで全く取り合お
うとしませんでした。トヨタとの労使紛争の解決を求めて、TMPCWAは2004年
9月16日に私たち全造船関東地協神奈川地域労組に加入しました。TMPCWAが私
たちの傘下の組合となり、上部団体である全造船が団交を要求するのは当然のことです
。しかし、トヨタも三井物産も団交を拒否しました。両者からは長引く労使紛争を早期
に解決する気持ちが全く見受けられませんでした。
 このような状況故に、私たちは打開の道を求めて今回神奈川県労働委員会に不当労働
行為救済の申立を行ったのです。この神奈川県労働委員会がトヨタ並びに三井物産の不
当労働行為を速やかに認め、フィリピントヨタでの労使紛争が一刻も早く解決されるよ
うに十分機能されることを願って已みません。
 グローバル企業のトヨタは国連が推奨するグローバル・コンパクトに参加出来ない理
由も、そのグローバル・コンパクトの基準である国際的に認められている規範(人権、
労働基準、環境、腐敗防止の4分野)を遵守せず、実践していないからに他なりません
。2005年3月現在で29の日本企業がそして世界では76カ国1982の世界的企
業・団体がグローバル・コンパクトに参加し、「良き企業市民」をめざし日夜努力して
います。企業の社会的責任(CSR)が企業評価の基準になり始めている今日的趨勢の
中で、欧米ではグローバル企業トヨタがSRI(社会的責任投資)不適格企業リストに
載せられる可能性も出始めています。トヨタはトヨタ車の販売台数を増やすだけが世界
的企業でないことを反省すべきです。トヨタ自動車及び三井物産は今こそ内外の法およ
びその精神を遵守して社会的責任を果たすべきです。
 トヨタの不当労働行為の海外輸出とでも言うべきこの事件の解決に向けて神奈川県労
働委員会が積極的な役割を果たすことを切に要望致します。
2005年4月11日

小嶋 武志

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神奈川県労働委員会殿
                               2005-4-11
心よりご挨拶申し上げます。
フィリピントヨタ労組は、非常に長い間正義を求めてきました。私たちの組合はいくつ
かの場において勝利し、とりわけフィリピンの最高裁は、私たち組合に対して有利な最
終判決を下しました。その事実にもかかわらず、フィリピントヨタ社とその親会社であ
るトヨタ自動車の両者は、そうした判決を冒涜し続け、フィリピントヨタ労組とトヨタ
経営陣の間で長期に渡って続けられてきた労働争議解決のための協力を依然として拒ん
でいます。

フィリピントヨタ労組は全造船との連帯のもと、神奈川県労働委員会がこの審理を公平
に取扱い、トヨタからいかなる干渉も受けないことを信じています。また、弾圧を受け
た労働者に味方して、近いうちに正義が勝利することも信じています。
よろしくお願いいたします。

エド・クベロ
フィリピントヨタ労組(TMPCWA)委員長


Created byStaff. Created on 2005-04-12 02:46:36 / Last modified on 2006-05-20 05:21:17 Copyright: Default

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