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JR福知山線快速電車脱線転覆事故についての声明

 昨日(4月25日)午前9時18分頃、JR西日本管内の福知山線塚口〜尼崎駅間の第1新横枕踏切手前のカーブで、宝塚発同志社前行き快速電車(5418M)が脱線し、隣接するマンションに激突、大破するという大事故が発生しました。  快速電車は、7両のうち5両が脱線、1、2両目はマンションに激突し、台車から分離した客車の車体がL字形に折れ曲がるという大惨事となりました。本日朝で判明しているだけでも乗客約580人のうち、死者72人、重軽傷者442人に及んでいます。いまだ1両目は救出中であることから、死傷者はさらに増える可能性もあります。1991年5月の信楽鉄道事故(42人死亡、628人負傷)をはるかに上回る、JRはじまって以来の大惨事となりました。この事故で亡くなられた乗客の皆様のご冥福と負傷された方々へのお見舞いを心から申し上げます。  事故の原因について、マスコミなどでは「運転士(23歳)の速度超過によるカーブでの脱線が原因ではないか」と報じられています。また、車両の軽量化が被害を増大させたともいわれています。現在、JR西日本や国土交通省・航空鉄道事故調査委員会、兵庫県警などが調査中であり、その判断を待ちたいと思いますが、私たちはこの大惨事を痛恨の想いで受けとめ、直接原因のみならず、背後要因についても、さまざまな観点から究明していかなければならないと考えます。  これまでJR西日本は、安全よりも運行優先・利益優先の立場をとり、事故の責任を現場社員に転嫁する姿勢をとり続けてきました。90年の国際鉄道安全会議へのJR西日本労使のボイコット以来、翌91年5月の信楽鉄道事故や99年11月の山陽新幹線トンネルコンクリート崩落事故、昨年の保線検査記録の改ざんなど、JR西日本は多くの事故や不法行為を繰り返してきました。02年11月のJR東海道線救急隊員触車死亡事故では、大阪地裁もその判決文で「ややもすると列車ダイヤの早期正常化に関心を傾け過ぎて運用されていたJR西日本の指令業務体制」と指摘しています。  ささいなミスを口実に乗務員に「日勤教育」という名のいじめを行い、尼崎電車区の運転士・服部匡起さんを自殺に追いやったことは記憶に新しいところです。  しかし、JR西日本は、新中期計画「チャレンジ2008」にも見られるように、いままた「ダウンタイムの短縮」と称して現場社員に無理な回復業務を強いようとしています。現在提案中の新賃金制度においても、社員への「評価主義」を全面化し、社員間の競争をあおる労務管理の強化が意図されています。  このように企業利益や運行を優先し、安全を軽視するJR西日本の企業体質が背景にあることを指摘しなければなりません。その意味で、私たちのこれまでの警告と過去の教訓が生かされず、ふたたび悲惨な事故が惹起されたことは極めて痛苦な事態です。  私たちは、現場労働者への責任転嫁に反対しつつ、「責任追及から原因究明へ」を掲げ、今回の事故原因の究明に真剣に取り組んでいくものです。そして国鉄改革の原点に立ち、JR各社における安全第一の企業風土を創り上げるために、JR西労をはじめとする仲間たちとともに全力で努力していくものです。

2005年4月26日

全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)

元記事URL(JR総連のサイト)


JR福知山線快速電車脱線転覆事故についての見解

 4月25日9時18分頃、JR福知山線(通称:JR宝塚線)塚口〜尼崎駅間において、宝塚駅発同志社駅行き上り7両編成快速列車(5418M)が走行中に脱線転覆するという事故が発生しました。この事故での死者は90名以上、重軽傷者も450名を超えるなど、JR発足以来、最大規模の事故となりました。不幸にもお亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族のご心痛をお察しし、負傷された皆様に心からお見舞い申し上げます。  事故発生の当初、置石ではないかなどと原因が推察されましたが、列車は時速100キロを超える速度でカーブに突っ込んだなどとされています。しかし、運転士がそこまでスピードを出す必要性に迫られた背景に、事故原因の重要なキーポイントがあるといえます。いずれにしても関係各方面からの総力により徹底的な原因究明と早急な再発防止が求められることに、労働組合としても重大な責務を感じます。  振り返ってみるとJR西日本は90年に開催された国際鉄道安全会議のボイコットにはじまり、翌年の信楽高原鉄道事故、新幹線「のぞみ号」の度重なる故障やボルトの飛散、山陽新幹線トンネルでのコンクリート剥落事故、救急隊員の触車死亡事故、保線記録の改ざんなど、たびたび事故隠蔽・不安全な企業体質が指摘されてきました。国土交通省(運輸省)からの「警告書」や、裁判判決での不安全性の指摘なども出されています。  しかし職場においては、JR西労の組合員を敵視した労務政策と並行して、「評価」による賃金・昇進制度の導入を「活用」した高圧的な社員管理、逼迫した要員需給など、会社の労務管理と労働組合対策の実態があります。さらに、この間行なわれてきたミスをした乗務員に対する徹底した「日勤教育」と称した責任追及を看過するわけにはいきません。先ごろJR西日本が発表した『2004−2008中期経営目標 チャレンジ2008』では「安全安定輸送の確保」の中での「ダウンタイムの短縮」という内容にも会社のそうした体質が内包されているといえます。  私たちは労働組合として鉄道事業を支え、安全な鉄道を目指してきました。それを支える職場環境を会社に求め、世論にも訴えてきました。しかし残念ながら私たちが訴えてきた「安全優先」「人権尊重」は最悪の結果で証明されたと言えます。逆に会社の信用は大きく失墜したといえます。  私たちは乗務員への事故責任の押し付けを許さず、今だからこそ今回の事故での原因究明と再発防止を徹底的に訴えるとともに、この間一貫して訴えてきた安全第一の企業風土の構築に向け、さらに努力をしていくものです。

 2005年4月27日

JR西日本労働組合 中央本部 (JR西労)

元記事URL(JR西労のサイト)


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