本文の先頭へ
LNJ Logo 名古屋
Home 検索
 


名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 スクリーンに映ったボクのでかいツラ

 ちゃんとインタビューされることも、従ってそのビデオを観ることも、多分初めてのことだった。しかも単発インタビューではなく、それなりの長期間にわたり撮り溜めて他の映像も加えて編集してくれるとなると、まったくの初体験、それなりに心して向き合わねばならないことなのだとやっと自覚が出来てきた。

    *       *       *       *

 ビデオプレス製作「国労冬物語・・・人らしく生きよう」の全国上映運動は200ヶ所を突破、大学でも上映が行われアッチャコッチャで若者たちをはじめとして感動を引き起こしている。これの郵政版みたいのを作りたいとの話が打診されたのは、今年になってからだったっけ?・・・ボクは記憶力がものすごく悪い!「もしかしたらまるっきり違ったタッチの作品にするかもしれないし、数ヶ月で作るか数年で作るかも含め何の構想も固めていないが、撮影が進むなかで固まっていけば」というようなお話だった。この、構想よりも感性を研ぎ澄まして制作へあたる姿勢というか、ただただ大雑把なだけの制作姿勢というか、とにかくそういう話だった。

 ボクとしてはこんな有り難いお話、シェーシェーであり、すべてご自由にご一任、でも撮り進むうち「これはダメだ」と気付いたらいつでもボツにしちゃってねという、相手の大雑把さを上回る大雑把さで応えたのだった。ビデオプレスの佐々木有美「監督」と松原明「監督」とは、2000年「国労4党合意問題」以来の“戦友”的な間柄。手抜き大好きのボクは、感性鋭く「すべてご一任」が一番楽だと見抜いたのだ。

    *       *       *       *

 「労働」を観よう・聴こう・話そう=「レイバーフェスタ2002」が11月4日に東京で開催され400人が集まった。この第1部「映像メッセージ/世界から日本から・・・アナタの仕事・ワタシの権利」は、何でも有りの自主制作3分ビデオ20本一挙上映と各2分間のトーク。20本のうちの1本が、佐々木有美さん制作「郵政4・28処分、判決の日」で、2分間トークは制作ノータッチのボクがやらされた。

 ボクはでかいツラをしていた。こんなでかいツラをしたのも生まれて初めてだった。なにせ銀幕いっぱいにこのツラが映し出されたのだから。とても気恥ずかしい。そしてその顔は徹夜明けのハレボッタイ顔・・・今度撮られそうな日の前夜にはいっぱいいっぱい寝て、ホレボッタイ顔にしておこうと内心固く決意したのだった。

 驚いたことに、インタビューでしゃべった中身の多くを忘れていたことが判った。東京地裁の不当な「判決の日」は今年の3月27日、そんな昔の話ではない。いくらボクの記憶力が悪いったって・・・そして別のことを思い出していた。地裁前で急にマイクを付きつけられたとき、判決後抗議行動の段取りか何か他のことに関心が向いていたのだ。でも「首切りから23年目の判決を迎えるにあたっての胸の内は?」と、当然にもなされた質問内容に、慌てて「それらしい」回答を探したのだった。嘘は言っていないが、当該がドジだとこのようにして答えは平準化されていくのかもしれない。

 判決後の記者会見ではボクがすごく真剣な顔でしゃべっているのに驚いた。あれは、新聞記者が一行も書いてくれないと困るので、書く気になってもらうため懸命だったことを思い出した。夜の仲間との飲み会では、笑いながら判決のデタラメをコケにしていたのとは表情が全然違う。両方とも「真実」なのだが、記者会見と飲み会とでの表情を間違えなくて良かった。

 3分ビデオには出てないが、松原さんと佐々木さんがわざわざ八王子の自宅まで来てくれて(おまけにわざわざ部屋の散らかっている部分に焦点を当てて撮ったりしていたが)、インタビューされたときのことも思い出した。尋ねられるまま気楽に冗談を飛ばしていたが、あれは知り合いの2人に通じるのであって、映像を見る不特定多数の人には多大な誤解をもたらすだろう。特定の人に向けて話のポイントを意識して語る記者会見や集会発言とは違い、ビデオインタビューは編集者の視点や感覚次第でどのようにでもなる危険と面白さとを秘めている。

      *       *       *       *

 インタビュアーとビデオ編集者が同じ人なのは幸いだ。この製作者と信頼関係があることは、とてもとても幸いだ。そしてインタビューされる側は、映像を見る人々に何を伝えたいのかも考えず肝心な点をはずしてしまったりの、非主体的な「すべてご一任」語りを反省すべきだろう。

 製作者の2人は、新潟での郵政全国職場交流会や郵政非正規労働者交流合宿など、独自取材をいろいろやり始めている。どんな作品が出来てくるのか目茶楽しみだ。        

                             名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙11月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:20 / Last modified on 2005-09-29 06:44:54 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について