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郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

官僚様相手の交渉はたいへん

 争議解決のための活動や交渉の内容などが、2/13最高裁勝利決定以降、これほど多岐にわたり時間を要するものだとは、知っていながら知らなかった。さらに、最高裁決定が最高の法的力をもつものではないと、知っていながら知らなかった。最高裁決定を上回るのは、労使で取り交わす協定文だと、石原均・全造船東芝アンペックス元委員長に教えてもらった。

 民間争議の、悪徳弁護士や中小企業のオヤジを相手とした解決交渉では、延々と何年もかかることがある。最高裁で勝っても職場に戻れないこともあるし、裁判で負けても職場復帰する例もある。復職条件はピンからキリまで様々だ。

 4・28の争議解決諸行動は、現在進行形だが、既に大成果を得ているものもある。当初の、元免職者との交渉には一切応じない高圧的な当局の姿勢、これを、全国連鎖集会や行脚、東京総行動での公社抗議、祝勝会の成功等々、そして何より郵政ユニオン(4・28ネット拡大会議)による中央交渉が半分だけ変えさせた。

 「原告7人全員の原職復帰」「郵政共済組合員資格の完全復帰」といった法規的に守らざるを得ないことは、中小企業のオヤジとは違うので守るのだが、その内容は当局の勝手な法解釈による指示・通達で事足れりにしてしまおうとする。バックペイ等は計算次第で3倍程の開きができるという。バックペイ=復帰時賃金=年金額などでは、倒産寸前の中小企業とは違い支払いはするのだが、郵政ユニオン交渉で、14号俸(月1万7500円程)アップの再計算・遅延損害金の確定・各免職者への説明などを確約させなかったら、どうなったか分からない。

 しかし、「共済組合長期(年金)掛金の徴収権2年時効や、許される給料からの天引きは先月分のみ」「所得税徴収の5年時効」などの、法律・通達・判例などは守らない。国は平気で法を犯す(だから「重大且つ明白に違法」の4・28懲戒免職を28年も続けたのだ)。「年休権」の当局にとって都合の良い解釈、まして法規に明文のない「謝罪(慰謝料)」要求には、これだけ違法な悪さをしていても応じない。

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「年休20日間x免職期間約28年=560日」この年休を取得している2年余の間にさらに年休が40日余増えるので、そうすると「停年退職の時期を迎える」。集会などでこのように発言すると、笑い声と拍手などもおこって面白いので、あっちゃこっちゃでしゃべりまくった。28年間もの年休、これは大胆な要求かとも思ったが、考えてみたら28年間も首切りを続けていた方が悪いのだ、知ったこっちゃない。

実際には、民間争議の解決交渉では、年休日数を減らした分は「解決金や慰謝料に上乗せ(年休の買い上げ自体は法的に禁止されているので)」など、互いの都合を出し合い知恵を絞って着地点を探す。郵政公社は「国の機関」なので、官僚的発想からして、こういった諸状況に柔軟に対応することができない。

その後ちょっと調べてみると、28年間分の年休は、弁護士によって“労基法上の権利”という人もいれば“労基法的には難しく、民事法上の損賠請求の方がよい”という人もいることが解った。

 当局は「年休60日間付与(今年度、前年度、前々年度分)」と通達し、一度通達すると、何せ官僚様なのでなかなか変更をしない。「交渉解決前に年休60日間期限が来れば、61日目の年休申請をすることになる。そうすると現状では年休不承認の処分発令になり、そうすると10月1日民営化になって以降も、年休処分の係争=4・28争議を続けることになるのは、お互い望まないのでは。労基署訴えや裁判係争をしながら交渉するよりは、そうなる前に交渉で解決点を見つけた方が、お互いに良い」と、親切にアドバイスしてあげているのに、そして八王子局総務課長は「支社にそういう方向を尋ねてみる」と言うまでになったのに、未だ「ゼロ回答」だ。

 “そもそも「重大且つ明白」な違法行為を28年間も続けて、謝罪(慰謝料)もしないですまそうというのは盗っ人猛々しく、そんな前例を作るわけにはいかない。そもそも、3/1職場復帰手続き日を指令し急がせたのが悪い。そもそも指令できる立場ではないだろう。そもそも、交渉解決してからの職場復帰という常識を逆転させたのが悪い。それ故、本来使わなくて良い年休を使って、争議解決に当てるハメになっているので、今までの消化年休を復活するくらいしても罰は当たらない。民営化前の9月末迄なら、休暇の融通など、本社の一存でどうにでもなるはずだ。郵政官僚の保身・責任問題で言えば、民営化後も争議を引きずってしまう方が、大きなバッテンだ。本来なら、総裁が「謝罪・慰謝料」を内外に大々的に明らかにするべきだが、それができずに「大々的」を「中小的」に留めたいならば、実質謝罪の意味をもつ年休他での上乗せが必要だ”とまでアドバイスをした。

 こちらは「要求100%実現」のかたくなな態度ではなく、柔軟で、早期解決をホントに望んでいるんだよとも伝えているのに、何せ相手は官僚様なのだ。

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 6/25から年休61日目になるところ、年末までの年休申請を6/5に出した。6/11に八王子総務課長から「東京支社連絡による」回答を局内で受け取った。「6/25〜7/5の年休を、“各月1日ずつという前々年度分の計画年休”の7月から来年3月までの9日間を振り替えて承認する。7/6からが年休61日目となり、7/6以降は現段階では欠務処理扱いにせざるを得ない」という「苦肉の策」の裏技回答内容で、カッコ付きながらではあるが、9日間を「勝ち取った」。

 当局が、就業規則を逸脱してまでの特例措置に踏み切ったことと、「今週中に回答を」との要請に応じたことは、争議継続、東京総行動や10/1を越しての門前行動、年休提訴などをできれば避けたいと思っていることを示してはいる。でも、年休60日間は未だ譲っていない。

 年休権等(慰謝料)に関しては、以下のようになっている。

*労基法では「時効2年間(就業規則でも同じ)(ただし免職期間は時効中断)」「全労働日の8割以上出勤で6年以上勤務者に20日(就業規則でも法内休暇20日)」。

*5/29郵政ユニオンと本社との団交席上(庄野・名古屋元免職者も説明員として出席実現!謝罪など迫ることが初めてできた!)、年休担当菅原氏は「労基法に関連する通達で、何年か前の同様の懲戒免職からの復帰事例で、(使用者の責に帰すものであっても)労働日ゼロの場合は年休の発給要件を満たさない」「79年4月28日クビ切り時点で保有の年休は、時効中断としても、日数の記録が無いので、現行規定(就業規則)上最大の60日間付与をさせてもらった。だからゼロ回答ではない」(「今年のみの3月末勧奨退職者への失効年休に関する特例は、元免職者へも3月期の勤務実績一日以上で適用する」。尚、元免職者への3月期の年休などは経過措置的な特例扱いがなされた)。

*この団交席上、責任者石川氏は「慰謝料として支払うものはない。が、慰謝料という部分があるかと言えば、免職期間中の他社就労賃金を控除しないでバックペイ計算をしたことかなと」とも言った。「公務員は“兼職禁止”なので控除できない」とは言わず、自分達だって柔軟なのですよと示したかったのかもしれない。

 法律は、通達や省庁内規や前例や運用を含め、有って無いような側面を宿しているものだと、改めて実感した。年休問題に関しては、近々、仲間と相談して対応を決めることになるだろう。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


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