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郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

  ヒッチャカメッチャカでもスト打てぬ労組

 10月、「必修科目の履修漏れ」と偽りの名称で呼ばれているところの「履修偽造」報道に初めて接した時、ボクはヤバイと思った。何がヤバイのかと言うと、小さな怒りしか湧いてこなかったからだ。教育労働者やPTA、そして生徒まで含んだ学校総ぐるみのというよりも、教育委員会や4年前から必修偽造を知りながら知らんふりしてきた文部科学省など「日本の教育総体」の、この想像を絶するヒッチャカメッチャカさ。なのに何故大きな怒りではないのかと自問した。

理由の一つは、想像を絶するヒッチャカメッチャカがこの世に満ちあふれすぎているので、これは想像を絶していないこと、ボクらの感覚が麻痺させられていることなのだった。大量破壊兵器がある等々の嘘イチャモンでイラク人民10万人とも30万人ともいわれる命を奪い、且つ嘘がばれても奪い続ける「世界の民主主義の番人」国家と、これを支持し閣僚らの靖国軍神参拝も続ける「民主主義国」日本。参院で否決されたのに可決の衆院を解散するという違憲疑惑の「郵政民営化刺客総選挙」を行い、賛成得票総数は半数以下なのに小選挙区制等のマヤカシによって大勝し、早くも過疎地切捨て集配郵便局統廃合など大手を振ってやっている「公共事業」。27年前の話になるが今も継続中の、差別不当労働行為を国家が17年間も続けるので約2ヶ月間の全国闘争をしたら、労組指導部ではなく現場一般組合員の首を切った郵政4・28処分と、免職者への敵対に堕落した「権利の全逓」労組(現JPU)指導部等々。

 理由のもう一つは、現在の学校教育が大切でもなく面白くもないものになっているからだった。ちなみに「履修ナシは不公平だ」との声が巻き起こったが、「世界史」や「技術・家庭」などを「教えてくれずに損をした」との抗議ではなく、「教えたので損をした」との抗議だった。貧しい国々で、子供たちが「学校へ行けることになって嬉しい」と笑顔満面語るのと、どちらが真っ当な姿なのだろう? 本来、学ぶこと、人生とか世の中の秘密に触れることはとても面白いことなのに、これほどまでに面白くない苦役に作りかえてしまっている「学校教育」というマジックこそ、想像を絶するヒッチャカメッチャカなのだった。

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 当初は少数の報告だった「必修偽造」件数は、10月27日文科省発表「17都府県97校」で朝日新聞集計「41都道府県401校」。その後も増え続け「必修偽造」の「報告偽造」も、想像を絶しない通常行為である事が明らかになった。「公立校よりも私立受験校の比率」がダントツ、「高校だけでなく中学でも」履修偽造、「科目読替」テクニックを教師が生徒に自慢していた等々の、ものすごく悲惨な、それだけに想像を絶しないサモアリナンの報道が続いた。

 文科省は卒業できない生徒が大量発生したり、何年も前からの卒業生の資格剥奪をしたりすると、自分達への責任追及が吹き荒れるため、「学習指導要綱」という水戸黄門の印籠に匹敵する「法律」を自ら犯して「救済」することにした。国家ぐるみでの「法律違反」、警察が強盗に返金を求めず無罪釈放するようなものだ。「法律」なんて所詮こんなものなのに、この「学習指導要綱」という法的根拠をかざして,日の丸君が代処分・首切り弾圧をしてきたのではなかったか?

しかも99年発効の「国旗国歌法」は「強制はしません」との確認の元でやっと成立したのに。しかもしかも、この「学習指導要綱」は、文科省が勝手に「法的拘束力」と言っているだけで、多くの法律学者によれば「学校教育法の官僚の解釈を文科省告示として公示」したもので、政令・省令でもない代物なのだった。

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こんな連中が今やろうとしているのが、憲法の相棒である「教育基本法」の改悪だ。憲法の3原則=平和・基本的人権・国民主権に敵対する内容に変えようと言う。しかも、教師率先のイジメ・自殺・報告偽造の蔓延。そしてタウンミーティング8カ所中5カ所でのヤラセ質問に加え(八戸では401人参加者の半数以上が関係者、質問者10人中6人が政府側からの依頼者)、さくら質問や発言者への謝礼金、権限無しの政府調査委と報告不公表。これら大問題を引き起こしている犯罪人たちが法改悪を唱う。教師と生徒が窒息してしまうほどの管理強化と競争尻叩きという「教育基本法」に反する実態が元凶なのに、これら実態を生み出した犯罪人たちが法改悪を唱う。

 「履修偽造」の最大問題は、生徒たちへ嘘ゴマカシ・出世競争こそ大事・偽造不法なんでもありと、人間への不信感植え付け教育をしていることだ。これらヒッチャカメッチャカ教育になってしまった最大原因は、日教組の実質解体=全逓と同じ長年の「連合」労使協調路線にあり、基本法改悪でスト一つ打てないでいる。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


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