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名古屋コラム

郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 まだ日本にもオアシスが残っていた

 たまには、何か真面目でタメになる、すごく難しいことでも書いてやろうと思ったけれども、これはすごく難しい作業なので、そしてボクはすごく難しい作業がすごく嫌いだったことを、すごく鮮明に思い出したので止めることにした。それで、ほとんど何のタメにもならない、すごく難しくは全然無い雑感を書きつづることにしたので、編集担当の人がボツにするのも有りだし、もしも編集担当の人が間違って掲載してしまってもこれを読まないのももちろん有りだし、もしも読者が間違って読んでしまって「ほとんど何のタメにもならなかった」とボヤイテも、そのボヤキ自体はすごく正しいのだけれども、そのボヤキの責任をとるのは執筆者のボクではなくて、執筆者のこの親切な忠告を無視して読んでしまったアナタ自身にあるのだということを、最初に、親切な執筆者はアナタへの親切な忠告を書いてしまっておくのであった。

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 4月11日から16日までボクは旅をした。この旅の期間、偶然にも毎年恒例の「4・28反処分、中国地方連鎖集会(『4・28から』5月号に詳報)」を中国地方の各地域で催してくれていた。そしてこれまた偶然にも、ボクという重力とか磁力とかに規定されている一個のエネルギー物質が旅をしたエリアは、中国地方の各地域であった。一物質が体現した時間と空間とのこの偶然の一致、「アインシュタイン大活躍100周年を祝う2005年」に、すごくふさわしいような出来事が生起したのだった(ちなみに筆者は「相対性理論」のどうたらこうたらを知らない)。

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 この旅の途中、あらためて気付き記憶鮮明にしたのは、郵政仲間の某事務所がある広島市中心部の建物一階に設置された集合郵便受け箱。どの受け箱にも鍵が付けられていなかった。東京ではこんなのを見つけるのは難しい。鍵も無しで郵便物など盗まれたら「盗まれる方が悪い」と言われてしまいそうな東京という人心砂漠地帯に較べて、人と人との絆というか信頼というか暮らしの安心感というか、まだまだ日本にもオアシスが残されていると、隔世の感と共にホット胸をなで下ろし、且つ羨ましいなあと思ったのだった。

 ちなみに米国映画のなか、ニューヨーク辺りの安アパートにある一階集合郵便受け箱には、全て鍵が取り付けられていた。しかも制作は1970年だった。

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郵政仲間の某お宅に泊めてもらった。毎回こういったお宅の家族には、夜遅くに行ってはまたお酒を飲んでご馳走になったりで、スンマセン・スンマセン、アリガト・アリガトなのであった。

 夫婦2人住まいのこのお宅、広いリビングルームはほとんど白一色にコーディネングされていた。こんなおしゃれな家は、映画の中くらいにしかないのだろうと思っていたので、ビックリ&大喜びだ。これは、郵政仲間のオッサンのセンスではないと聞かなくても解ったし、従って、推察鋭く(鋭くなくても)連れ合いさんのセンスであるとすぐに見抜けたし、ジョンレノンとオノヨーコ2人が白い部屋の白いピアノの前で「イマジン」を歌っている映像を連想して、羨ましいなあと思ったのだった。

 ただ、郵政仲間のオッサンとジョンレノンのイメージがどうしてもダブラないのが難点だったが、こんなのは難点のうちに入らないことが発覚した。この仲間はこの部屋が気に入らないのだとお語りなされたのだった。その理由は、これまたビックリするもので、「白一色では靖国神社の中にいる気がする」というものだった。

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 帰郷してから約一週間後の4月25日、中国地方も管轄におくJR西日本が107人もの命を奪う尼崎事故を起こした。職員が自腹で高額切符を買わざるを得ない営業尻叩き、「安全よりも儲け」の職場、今の民営化路線を突っ走る郵政の公共性否定職場とそっくりだ。「命令と服従」、これこそ4・28処分の元となった郵政反マル生越年闘争が覆そうと望んだものであり、残念ながら今これが日本中で横行している。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:12 / Last modified on 2005-09-29 06:44:53 Copyright: Default

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