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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 「ロレックス」の腕時計

  高級ブランド「ロレックス」の腕時計がボクの愛用品だ。しかもそんじょそこらのロレックスとは違う逸品であり、値段のつけようもないと専門家連中も言っている。何せ時計の文字盤の所には「カシオ」と書き込まれているのだ。

 「カシオ」の文字が入っている「ロレックス」は、世界中でボクの時計だけだ。本日はこの超貴重品を、読者の皆さんだけに特別に、ナント特価1千万円でお 譲りしたい。早い者勝ちだ。ボクは気前がよいので、更に値引き交渉にも応じる。ナントナント90%引きでもかまわない。どうしてももっとまけろと言うのなら、仕方がない、99%引きも認めよう。賃下げのご時世でこの値段でさえもキツイというワガママな人には、もうもうもうもう、99.9%引きだ〜 〜! これでも未だ買い渋るというのなら、エイツ!ヤブレカブレ!100円ショップで売っている腕時計70個もおまけに付けてしまおう!

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 価格などと言うものは在って無いようなもの。4月1日発足の日本郵政公社、生田正治初代総裁のお給料は一年で3千万円、他の独立行政法人等のボスよりも高給取りだという。年間賃金300万円の労働者の10倍も、世のため人のためにお役にお立ちになってあそばれるとても尊いお方で在らせられるのでございましょうか?

郵政民営化・公社化の「効能」はこういうところに現れる。自分が3千万円もゲットするのだから、新規採用の現場労働者にもせめて2千5百万円くらいは支払わねばとは思わずに、自分の3千万円を浮かすために現場労働者の賃金をもっと値切らなければと発想できる人間を生み出すのだ。昨年10月提示の「人事制度改革案」は、労働者の本給を10%カットしてこの分を「能力・実績主義」賃金や管理職へ回すという内容になっている。働く仲間を踏みつけにして「上昇」しなければ現行賃金を維持できない、踏みつけなければ踏みつけられる側に回るという内容になっている。

 ボクにしたって、1千万円の腕時計を売ろうと思えば年収300万円の労働者などナイガシロにして3千万円の生田総裁にヨイショしてしまう。99.9%引きで売って相手に喜ばれるよりも、嘘でもヨイショでも何でもござれで1千万円で売り切り多大な収益をもたらす方が評価され誉められる。南極に住む人に氷を売りつけられるのが、最高の営業手腕だと言われている。民営化・公社化の「効能」はすごい力を持っていて、ボクの人格を変えてしまう。

 そもそも「本来」的には公共事業に競争は必要ないはずなのだ。民間事業が参入してくるのは、これが儲けになるからだ。「本来」的には、あまねく公平に最低料金でサービス提供していれば儲けなどでる余地はないのだが、天下りだの特定局長や官僚・総裁の高給搾取だのがあるから、その分の儲けをこっちに寄こせと民間の資本家が参入してくる。金持ちどおしで競争するだけならどうぞ御勝手にだが、そのしわ寄せが郵政の現場・パート・下請け労働者にくるのは、そして劣悪労働条件の宅配便労働者等へ更に押し寄せるのは理不尽だ。利用者へも、誤配・遅配、金持ち優遇・貧乏人切り捨てなどのしわ寄せがくるのだから、もうもう、どう考えても理不尽だ。

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 話は元に戻るけれど、ボクはロレックスの腕時計の他にも、サンローランのタオル等々も持っている。メイドインチャイナの文字がある世界にたった一つのサンローランだ。これらもお安くお譲りしたい。そして値引きはできないのだが、9月早々「秋季ブドウ物販」を始めるので、こちらの方も、というより、こちらの方は、是が非ともご協力をお願いします。

                             名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙8月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:03 / Last modified on 2005-09-29 06:44:52 Copyright: Default

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