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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 ブッシュの理不尽をボクは許さない

 イラク攻撃を正当化するための決議案を、2月24日に国連安全保障理事会へ米政府は英・スペインと共に提出した。「この決議案が通らなくても単独攻撃をする」と言いながら。会議で自分の言い分が通らなくてもやりたいことをやってしまうだけで非民主的なのに、それを公然と口にするとはとても傲慢だ。しかも皆が止めるにもかかわらず勝手に自ら決議案を提出しておいて、のことだ。

 そもそもがおかしい。昨年10月ブッシュは「イラクは脅威だから早く攻撃を」と述べ、マイヤーズ統合参謀本部議長は「イラクは今弱体化しているから早く攻撃を」と述べ、要は、何でもいいから早く攻撃をと米議会から承認を取り付けてしまった。

 そして、史上最強の権力を持つ国連査察団を派遣。米政府はこの査察団へも圧力をかけつつ、査察で大量破壊兵器等の証拠が見つかれば攻撃、見つからなければ証拠を隠していると言って攻撃、要は何でもいいから攻撃と着々と増派など準備を進めた。

 2月5日には大見得を切っていた「新証拠」を国連で提示したが偽造可能な証拠ばかりで(米政府には何回もの前歴がある)全然説得力が無く、とりわけテロ組織・アルカイダとの関連では欧州各国等の捜査機関の情報と(9・11以降徹底的な調査をしていた)ソゴをきたしてしまった。

 そんなことはお構いなし。国際法違反も、国連憲章違反も(51条・自衛権の規定)なんのその。なにせ、世界軍事費の50%・世界30カ国に軍事基地配備・10600個の核弾頭保有(イラクよりもずっと危険だ)の米政府。「イラク戦争後の中近東の政治支配と石油の利権、これの配分・おこぼれをちらつかせれば皆黙る。独・仏・ロも平和主義で反対しているわけではない」「札束で頬を殴ってやれば皆黙る。ブレア君だけでなく小泉君だっている(最近小泉首相・川口外相も国内説明抜きで米支持を勝手に表明、経済難の安保非常任理事国等へ札束攻勢をやっているようだ)」。米政府が「危険な国」と断定すれば戦争でもなんでも出来る(イスラエルは危険ではなくイラクは危険だ)。従って、米政府が何らかの権益を奪いたいと思えば「危険な国」と断定さえすれば良い。

     *       *       *       *

 ブッシュが夢想するこの新世界秩序。こういった理不尽に対し、ボクら4・28反処分を闘う者たちは郵政官僚や全逓本部のおかげで免疫力ができているとはいえ、その危険性は比較にならない。既に91年の湾岸戦争以降、経済制裁での最貧生活も含めイラクの庶民は多大な犠牲を出しつづけている。フセインら支配層ではなく子供や貧乏人らがいつも一番ひどい犠牲を強いられる。物事を判断するとき、これらの人々の視点から考えなければならない。劣化ウラン弾では米兵にも後遺症が出ているが米政府は何の補償もしていない(世界の兵士達は抗命権を含む「労働組合」の結成へ向かおう!)。本来ならブッシュはこれらの人々にお詫び行脚をしなければならない立場なのだ。

 2月15日、南極も含む世界600都市で1000万人以上の反戦ウエーブがなされた。日本2万5千人、ニューヨーク75万人、ロンドン200万人、スペイン300万人等など。世界各国での世論調査で戦争反対が50%未満なのは米国とイスラエルだけだ。日本でさえ78%が反対している。オノヨーコも、ジョーン・バエズも、マドンナも反戦の声をあげている。信頼できる反戦の力は、世界の労働者・民衆の下からの国際連帯だ。

 英国の二人の鉄道労働者は1月7日兵器輸送を拒否し、国防省は秘密裏にトラック輸送に切り替えた。米国では100余の労働組合(組合員数200万人以上)が反戦決議を行い、この中にはAPWU(米国郵便内勤労働組合)という全国組織の名もある。日本において、郵政全労協(600)人と郵産労(5千人)等は反戦活動に取組むが、全郵政(8万人)と全逓(14万人)の連合二労組が取組んだという話は寡聞にして聞かない。

 基本的に植民地争奪戦であった第一次・第二次世界大戦で漁夫の利を得、世界一の帝国主義国となった米国は、ソ連崩壊後唯一の超大国となって新しく意味付与される「帝国」へと上り詰めた。だが、その新世界秩序をきっちり築き上げる前に早くも「帝国」の崩壊を始めた。どうせ崩壊するのだから、イラク侵略戦争という不幸を置き去りにすることなく崩壊してほしい。

                             名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙2月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:41:00 / Last modified on 2005-09-29 06:44:51 Copyright: Default

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