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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 チョッピリ哲学的に考えてみた

 

 今日はチョッピリ「哲学的(?)」なお話し。

 「ボクは記憶が悪い」と以前書いたような記憶があるようにも思えるのだが、もしもそうだったとしたならばそれは間違いだということに気が付いた。「アッ、忘れてた」とか「思い出せない」とかがよくあるのだけれど、これはこういうことがよくあるという事を記憶している証拠なのだった。「忘れてた」こと自体を忘れていたり「思い出す」という行為自体を忘れていたりする人々・・・郵政官僚や全逓本部が行ってきたことを指して書いているわけではない。何せボクは記憶が悪くそれらをいちいち覚えてはいないのだから・・・に較べれば、すごく記憶が良いわけだ。だがしかしこうして、ボクよりも記憶が悪い人が「忘れる」ことも「思い出せない」ことも一度も経験したことのない、とても記憶の良い人となってしまうのだ。

 ところで、ホントに記憶の良い人も、それよりもっともっと良い人に較べれば記憶の悪い人になってしまうだろう。良いとか悪いとかは相対的なものだ。弁証法によれば「すべての事物は相対的である」。

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 ちょっと横道にそれるが、ギャンブル資本主義・新自由主義の落し子だった大会社「エンロン」。ブッシュに湯水のごとき献金をし急成長し見事に破産して次々不正経理が暴かれているこの会社は、2800ものペーパーカンパニーを作っていたという。2800もの会社名を、いくら記憶が良かったとしても経営陣は覚えられなかっただろう。この新自由主義・競争への驀進が破産したことは、忘れる暇さえない最近のことなのに、小泉改革・郵政民営化の道をヒタ走る人々は現存する。

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 「エンロン」の急膨張は偶然の産物だが、その破産は必然であった? 「必然は一連の偶然によって構成され、偶然の事象の背後には必然の糸がある」といったようなことを「自然の弁証法」の筆者=Fエンゲルスが書いている。こうしてみると「必然」と「偶然」も「相対的」なものに見えてくるが、ボクの記憶が「良い」か「悪い」かも含めて考えると「奇弁と弁証法との区別は難しい」。これは弁証法の生みの親であるヘーゲルが言った言葉だそうだから、やはりホントに難しいのだろう。

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 すべてが相対的であるということは、対局にある絶対的な対立部分を除くその他中間の圧倒的多数は、相互に浸透しあい入れ替わったりもするということだ。「対立物の相互浸透」という奴だ。4・28反処分と首切の真犯人である資本家政府は対局的な位置にあるが、中間にいた全逓本部は当初郵政省と対立し反処分を掲げ、今は4・28切捨てで郵政官僚と癒着し、「対立物の相互浸透」という弁証法の正しさを実証してしまった。第二組合=全郵政とあれほど「対立」していたのに、来年は「相互浸透」で一緒の組合になるという。すべては「誕生・成長・発展・死滅」をたどる。全逓は来年、最終的に「死滅」する。当局も「誕生」期に逓信省、郵政省を経ての現郵政事業庁、そして来年4月の郵政公社で限りなく公共性の「死滅」へと向かう。

 弁証法には「量質転化」というキーワードもある。全逓本部は悪事の「量」を積み重ねそれが一定の蓄積段階で4・28切り捨てへと「質」へ転化した。郵政当局の儲け主義の「量」的蓄積は、郵政民営化・公社化へと「質」的転化をとげる。

 そして「原因は結果となり、結果は原因となる」。当局の4・28マル生弾圧が「原因」となり全逓の事業防衛・権利放棄へと「結果」し、この全逓の変質が「原因」となり当局のより酷いマル生体質・儲け主義へと「結果」し、この当局の新マル生体制が「原因」となり全逓のより酷い堕落へと「結果」し・・・しかしこの「成長・発展」はいつか「死滅」する。

 最後に「正・反・合」。矛盾を克服する事によってのみ事物は発展する。発展する為には矛盾が必要だ。「正」=4・28反処分というテーゼが79年にできた。「反」=全逓本部の裏切りというアンチテーゼが91年登場、矛盾の発生だ。「合」=古い官僚的労働運動の矛盾を克服・止揚しジンテーゼへと至る新たな4・28闘争へ!

 

                             名古屋哲一(4・28免職者)

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙12月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:40:59 / Last modified on 2005-09-29 06:44:51 Copyright: Default

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