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名古屋コラム

郵政首切り20年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 椅子を蹴り倒し、席を立てる日を

   *     *     *     *

犠牲など慣れているわ

抵抗などできなかった

血を流す心に気づかないように生きればいい

It pressed me    <それは私を抑圧し> 

It pressed me    <それは私を抑圧し>

It blamed  me    <責めたわ>

again and again  <何度も何度も>

椅子を蹴り倒し

席を立てる日を日を日を日を日を

願ってた

*     *     *     *

この詩は、人権を踏みにじられている郵政関連労働者の願いでしょうか? それとも4・28免職者の叫びでしょうか? または、20歳前後のスインガーソングライター「鬼束(おにつか)ちひろ」の01年ファーストアルバム[INSOMNIA<不眠(症)>]に収録されている曲[シャイン]の一節で、もがき苦しむ自らの心の深淵を凝視する中で紡いだ言葉でしょうか?

 歌は、詩の言葉さえOKならばそれで良いというものではない。たまにボクは人様の詩を無断借用で使ってしまうが、ちゃんと自分の中の規準を守っていて、歌としても素晴らしく“お薦め”でなければ転載はしない。というよりも、よく考えてみたら、気に入った歌だけしかその詩の内容を知らないのだった。

  *     *     *     *

I am GODS CHILD <私は神の子供>

この腐敗した世界に堕とされた

How do I live on such a field?

 <こんな場所でどうやって生きろと言うの?>

こんなもののために生まれたんじゃない

 

突風に埋もれる足取り

倒れそうになるのを

この鎖が  許さない

 

I am GODS CHILD <私は神の子供>            

哀しい音は背中に爪跡を付けて

I cant hang out this world

 <この世界を掲げる事など出来ない>

こんな思いじゃどこにも居場所なんて無い

  *     *     *     *

この詩は、「鬼束ちひろ」の[月光]の一節で、TV連ドラ[トリック]のエンデイングソングともなった[月光]を歌う彼女の姿は、真剣過ぎてというのでは足りなく、何かに取り付かれてでもいるような切実さそのものだった。それは、強烈な印象と感動を与える光景だった。

毎年3万人を越す自殺者が日本でこの4年続いている(その4人に3人は40歳以上で、60歳以上の人は全体の35%を占める)。郵政現場でも自殺に追い込まれる人々が毎年多くいる。ボクが職場にいた旧マル生の時も、23年後の新マル生の現在も。「この腐敗した世界」がいつまでも続いてよいわけが無い。

自分の心の中を見つめ吐き出すことによって「今」という時代までをも語ることになる「鬼束ちひろ」は、<神の子供>ではなく<時代の子供>かもしれない。「椅子を蹴り倒し、席を立てる日を」切望し続ける他ない人の、なんと多い時代だろう。

                             名古屋哲一(4・28免職者)

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編集の皆様へ

初めて、ワープロではなく、パソコンのワードで書きました。苦労しました。何か不都合があればお知らせください。ちなみに、文の冒頭「It pressed me<それは私を抑圧し> 」の「It」は、ボクにとっては「パソコン」でした。

 

郵政九州労組・郵政近畿労組大阪北「機関紙8月末号」掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created byStaff. Created on 2005-09-04 20:40:59 / Last modified on 2005-09-29 06:44:50 Copyright: Default

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