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Document 20100918
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●ドキュメンタリー映画「ANPO」
「60年安保」とは何だったのか アーティストたちの「50年前」

 50年前、安保闘争があった。あれは一体何だったのか。戦後、日米間でひそかにとりきめた「安全保障条約」を改定し、駐留米軍へいっそうの便宜をはかるとともに自衛隊を増強し、軍事同盟色を強めようとする動きに、「再び戦争をしない」を旗印に起こった犢駝嬰大運動瓩澄

 この安保闘争下で、日本の芸術家たちは日々をいかにすごし、それをどう表現したのか─を追究したのがリンダ・ホーグランドの「ANPO」というドキュメンタリー。彼女は2007年、米国人の視点から神風特攻隊の問題に照明をあてて評判になった「TOKKO/特攻」という映画のプロデューサーである。

 彼女は日本で宣教師の娘として生まれ育ち、黒澤明などの映画の字幕翻訳の仕事をとおして日本映画が好きになる。映画も戦後まもなくは明るく希望にみちていたのに、1960年を境に暗く絶望的なものが多くなったことに疑問を抱き、その転換点に安保闘争の挫折があったことに気づいたという。そこで闘いにかかわった20人のアーティストにインタビューし、彼らの絵や写真と記憶の断片を重ね、より合わせながら戦後の日本の成り立ちをあぶりだしていく。朝倉摂、池田龍雄、石内都、加藤登紀子、中村宏、山下菊二などなど。

 例えば横尾忠則のケース。彼は70年安保の折、米『タイム』誌に依頼されて、時の首相佐藤栄作が国会議事堂の帽子をかぶっている肖像画を描く。よくみると米国旗のシャツを着て帽子のひもがのどを絞めつけているではないか。あれでは米国が佐藤の首を絞めているみたいではないか、とクレームがつき、ボツになった、と。

 映画は「改定」時の首相だった岸信介をその張本人として俎上にのせている。保阪正康氏らは、岸は日米開戦の詔書に署名した閣僚でA級戦犯とされたのに、戦後は米国にとりいって改定に努力した人物だと明らかにしている。

 この変節漢のねじれた個人史が、そのまま日本人の戦後史になっている。(木下昌明/「サンデー毎日」2010年9月26日号)

*映画「ANPO」は9月18日から東京の渋谷アップリンク、横浜のシネマ・ジャック&ベティほかで公開。全国順次公開


Created bystaff01. Created on 2010-09-18 10:28:20 / Last modified on 2010-09-18 10:30:10 Copyright: Default

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