●映画「ハーツ・アンド・マインズーベトナム戦争の真実」
「沖縄」から飛び立った米軍が何をしたのか…を改めて見る

1975年9月5日、一本のドキュメンタリーが日本のテレビで放映され、人々に衝撃を与えた。テレビ界の旗手ピーター・デイヴィス監督の「ハーツ・アンド・マインズ」。米国では一時上映妨害に遭ったものの、この年のアカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞に輝いている。
自国のベトナム侵略を告発しているが、声高な反戦映画ではなく、歴代の大統領の演説や政府要人のインタビューを挿入しつつ、愛国心を訴える元捕虜の下士官を熱狂的に迎える市民集会や、負傷して人生を棒にふった兵士の証言など、当時の米国内の諸相と好戦的な精神構造をとらえている。それらと米兵が非道の限りをつくすベトナムの現実を対比する。例えばニクソンがB52の成果をたたえる映像に続き、同機が大量の爆弾を投下し、家を吹き飛ばされた農民が娘たちの死を涙声で訴えるシーンをとらえるといった具合に。また、当時の司令官が「東洋では西洋ほど命の価値は高くない」と断言したあと南ベトナム兵の墓穴の長い列と棺にすがって泣き叫ぶ子どもを映す。なかでも米兵が農民の家に火をつけるのを親子でじっと耐えているシーンなど今みても胸が震える。
当時はまだ報道管制が敷かれていなかったので、目を覆いたくなる映像が米国の茶の間に流された。これはその戦争映像を集大成したものだ。
映画は35年の時をへて�爛戰肇淵狎鐐菲嵌�から50年 映画で見る戦争の真実�瓩箸靴篤�本未公開の「ウィンター・ソルジャー」(72年)と併映される。これがまたすごい。副題は「ベトナム帰還兵の告白」。米兵が自らの残虐行為を証言しているが、これをみると、かつて日本兵が中国で行った三光作戦とほとんど変わらないのに驚かされる。中国人は日本兵を「日本鬼子(リーベンクィズ)」とののしったが、ベトナムでの米兵は、まさに「米国鬼子」だったのだ。いまも世界は変わっていない。(木下昌明/「サンデー毎日」2010年6月6日号)
*映画「ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実」と「ウィンター・ソルジャー/ベトナム帰還兵の告白」は6月19日から東京・恵比寿の東京都写真美術館ホールで公開。ほか全国順次公開
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Created on 2010-05-26 11:38:47 / Last modified on 2010-05-26 11:42:32 Copyright:
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