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サムスン半導体工場の白血病

全国労働安全衛生センター連絡会議(略称:全国安全センター)は、各地の地域安全(労災職業病センター)を母体とした、働く者の安全と健康のための全国ネットワークとして、1990年5月12日に設立されました。

2008

半導体工場の白血病

6番目は韓国からで、韓国労働安全衛生研究所のKONG Jeoung-Okと三星の女性労働者が報告。

高校卒業後すぐに三星半導体器興邑( Giheung)工場に就職した女性が、2年後に白血病を 発病し、2007年に22歳の若さで亡くなった。会社は、「他に同じ病気になった労働者は いないから仕事が原因ではない」、しかし、人道的立場から医療費の援助はすると言って、 その見返りに白紙の権利放棄書にサインするよう求めたという。これに怒った父親の努力に 民主労総や安全衛生、人権活動家らが応えて2007年11月に、三星半導体における白血病調査 及び労働者の権利立のための合同対策委員会を結成した。

当初は同僚のほとんどが証言することを敬遠したが、対策委員会の取り組みがメディアによっ て知られることによって、現在までに器興邑と温陽(Onyang)両工場で少なくとも13人の白血病被害 者がみつかった。そのうちの1人は、最初の女性と同じ職場の同僚で1年後に30歳で死亡していた。

他にも、再生不良性貧血、黒色腫、ヴェーゲナー肉芽腫、直腸がん、脳腫瘍、多発性末梢神経障 害、流産、皮膚疾患等にかかった人たちもいるとの情報が寄せられている。

これまでに5件の白血病について勤労福祉公団(WELCO)に労災請求がなされたが、韓国で初め てのケースということで、同公団は韓国産業安全公団(KOSHA)に業務起因性の判定を求めてい る。KOSHAは2008年1月から半導体製造産業全体の「大規模」調査を開始した。

合同対策委員会は「半導体産業労働者の健康と権利連帯(SHARPS)」に改称し、被災者へ の労災補償と、三星の中で死文化している労働者の基本権の実現、そして、新自由主義に基づく グローバリゼーションの暗黒面を暴露することを掲げて活動を展開している。彼らは、白血病を何か 単一の原因に特定しているわけではないが、労働者たちが数多くの化学物質や放射線に防護なし に曝露させられ、頭痛や吐き気、皮膚のかぶれ、無月経、不妊、流産等を体験していることを指摘。

原因を究明する責任は被害者ではなく、国と企業にあると主張している。

2009

三星:KOSHAの疫学調査結果

昨年初参加の韓国・三星半導体における白血病、その他のがん等の多発事件に取り組む SHARPSは、約20分の映像にまとめた英語字幕入りのビデオを用意して紹介してくれた。

昨年1年かけて韓国産業安全公団が、韓国半導体産業協会( KSIA )加盟の6つのウェハー製 造会社について雇用保険や健康保険、全国がん登録等のデータを使った疫学調査を実施。女性 の非ホジンキンリンパ腫のSMRが2.06で有意に高く、女性の白血病でSMR1.48、脳腫瘍については 男(SPR1.36)女(SPR1.28)と「赤信号」であったのに、結論は「半導体労働者の白血病リスクは統計 的に著しく上昇してはいない」とあいまいだったため、メディアが「三星半導体と白血病は因果関係 なし」と報じる結果となった。

一方、5人の三星労働者の白血病の事件が、労災保険を担当する労働福祉公団(KOMWELL) に請求されているが、KOSHAの結論があいまいだったために、「諮問委員会」を設置。同委員会も 業務起因性を確定することができず、公団は5件すべてに不支給処分を下した。

さらに1人の脳腫瘍の労働者が労災請求した。SHARPSは2009年3月に、「疫学調査と職業 がん補償制度の問題点」に関する公開討論会を開催したほか、三星、KOSHA、KOMWELL等 に対する行動を継続している。(cafe.daum.net/samsunglabor:韓国語)